引きこもりが始まって1年。父親の転勤で引っ越す事になった。
そこで、幼稚園の2年間しか一緒に暮らしたことの無い両親や祖父や弟と、祖母も一緒に暮らす事になった。
当然、「家族」というものがよくわからなかった私は、特に両親とどう接すれば良いのかわからず、学校から帰ってきたら自分の部屋に閉じこもっていた。
祖父母は毎日喧嘩ばかり。両親も弟の事で必死で、私とは距離感があった。家は苦痛の場だった。どんなに罵詈雑言を浴びても、殴られても、祖母に引っ付いているしかなかった。
それが、中学1年のある冬の日、家に帰ったら祖母の姿が見えない。
「ばあちゃん、出て行ったよ」
母から聞かされた途端、
あ、私捨てられたんだ。
と思った。大事だったら、今回もまた私を連れて出ていくはずだ。
結局、幼かった私を連れて家出したわけは
「私を人質にとっていれば、母は自分達の生活費を入れるはずだ」
という考えのもとだったのだ。私を人身御供として扱っていたのだ。
もう誰も信用出来なかった。