小学5年生の時だった。


学習発表会で私はたった1人のナレーターを任された。


これが上手くいけばばあちゃんの機嫌が良くなる!

そう考えて一生懸命練習に取り組んだ。


しかし、ある日の全体練習中、数人の子が貧血で倒れた。目は白目を向き、中には嘔吐した子もいた。

それを目前にして

「私も倒れたらどうしよう」

「吐くかもしれない」

と恐怖と不安で、その場に居られなくなってしまった。

その恐怖と不安は練習中だけではなく、全校集会でも現れるようになった。恐怖から逃れるために、練習中も集会も保健室で過ごしていた。


発表会当日、午前は児童の前でのみの発表。なんとか必死にナレーションするが、怖くて吐きそうになり、隣にいた女の子に思わずマイクを渡して「ごめん、無理。代わって」と。周りのみんなが「先生!fullmoonちゃん、気持ち悪いって!」と言ってくれたが、先生は誰も止めず、最後までナレーターを務めさせた。


午前の部が終わり、速攻保健室のベッドに潜り込んだ。

先生達が集まってきて

「大丈夫?私も照明が暑くて気分悪くなるんだよね」と。


違う。先生、私が怖いのは自分が人前で倒れたり、吐いたりしたらどうしようって思うことなんだよ。

その気持ちも上手く言えず、泣きながら

「午後は無理です…怖いです」

と訴え、頑張ろうよとか、大丈夫だよとか言われたけど、結局他の子が代役をしてくれた。