迷い道 -2-道に迷ったあの日から、私の心は完全に前を見失っていた。何社受けても落ちる面接、慣れない家事に荒れていく指先、おしゃれして友達と出かけることもなく、「このままじゃいけない」という思いとは反対に、ただ何となく過ぎていく時間に不安ばかりが積もってゆく。最近、行人は人事異動の時期が近いせいか、仕事の帰りが遅くて話もできない。早くあがれる日も、決まって後輩につかまって飲みに行っている。土日も出勤して仕事をこなしている。(今日も帰ってこないのかぁ)心のつぶやきが独り言になっている。突然、淋しいって思った。こんな日は寝てしまう方がいいと思って布団に入るけど、不安な気持ちに駆られて眠れない。深夜1時頃、鍵の開く音がした。行人だ。昔なら起きて飛んで行ったのに、今は素直に行動できない。そのまま寝たふりをしてやり過ごす。ベッドにいる私の姿を確認する気配の後、シャワーの音が聞こえてきた。水の音が、心の中をざわつかせる雨音みたいに聞こえくる。別れ…そんな予感が頭をよぎる。どちらから言い出すんだろう。そんな気持ちを抱えたままの日々は、しばらく続いた。