『新選組血風録』
~第五話「海仙寺党全滅」~


斎藤一キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!



いやいや、



左右田一平キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!





 司馬さんの原作では「海仙寺党異聞」という題名で、しかも主人公は斎藤一ではなく長坂小十郎という隊士になっています。
何故ここで敢えてメインを斎藤一に持って来たのか、それは知る由も有りませんが、このエピソードによって今後の『新選組血風録』における斎藤一の役回りが決定付けられたと言っても過言ではないと思います。



 さてこの斎藤一(演ずるは左右田一平さん)
播州明石藩脱藩浪士で、新選組三番隊隊長を務め剣術師範頭をも任されていた剣の達人です。
第一話で近藤局長愛用の虎徹を目利したのも彼です。
壬生の「浪士組」時代から参加していた隊士としては長命で、晩年は様々に名前を変え諸処を転々とし、没は大正四年(1915)九月となっています。
しかしこの斎藤という男に関しては謎の部分が多く、伝え聞きや語り遺しとして現存する文献書簡のみがこの寡黙な剣士を様々な像として現しています。
大酒飲みだった

とか、

左利きだった

とか、多くの諸説が真偽定かでないままに現在に伝え遺されています。


 この第五話までに数度登場した斎藤ですが、それまでの描き方を総合すると、
・播州出身だが訛りが無い
・剣術(この中には種々の格闘術も含まれる)に長けている
・知略、甚だ頗る
・寡黙
とまぁ、こんな感じでしょうか。

 こんな、史料も少ない剣客を見事に演じている左右田さん、さぞかし色々な苦労があったと思われます。


 司馬さんの原作「海仙寺党異聞」では長坂小十郎という甲州浪人隊士がメインキャラになっています。
同郷の中倉主膳が情婦宅で背中を斬られた、という事件が発端となります。
極端な倫理観を掟としていた新選組にとって、
背後から斬られ、尚且つその斬った輩を取り逃がした
となると、これは局中法度書の
「士道不覚悟」叫び
に中るとして、切腹という処置になるわけです。
果たして、中倉の介錯役にこの長坂が担当となります。
そして話の流れは中倉の仇討ちとして長坂が出向くという形になってしまいます。
中倉を斬った一味は水戸藩従士・赤座智俊率いる一派で海仙寺を分宿としている事が監察から報告されました。
長坂は単身、海仙寺に行き、赤座以下水戸藩士四人を斬り殺しました。

 この司馬さんの話とは主人公が異なりますが、子母澤寛さんが著した『新選組始末記』で同様の話が田内知という平隊士の名前で描かれています。
この中でも矢張り田内は妾宅にて背後から斬られ、そのまま新選組本陣に戻った事を近藤局長から諌められ、切腹。
時は慶応元年(1865年)とも三年(1867年)とも言われていますが、何れにせよ、あの伊東甲子太郎参入以降の事と思われます。


 ドラマでは前述の通り、長坂小十郎の役回りが斎藤一に置き換わっています。
明石藩時代の剣術稽古仲間だという中倉を入隊させ、情婦宅で士道不覚悟の傷を負わされた中倉の為

──彼を入隊させた自身の責任と、中倉の名誉の為──

に単身海仙寺へと乗り込む斎藤
たった一人で彼等を片付けたのを知った土方は、斎藤の腕前と剛胆に驚くばかりです。
偶々この討ち入りを知った沖田が駆け付けた時には、事は全て終わっていて、
「もう済んだよ。済んだんだ…」
斎藤は言います。


 このシーンの逸話として。
海仙寺のロケーションとして使われたのは、京都市中の然る古寺で、撮影時の三月にしては異常に寒い夜だったそうです。
しかも、左右田さんは風邪を抉らせ関節痛と倦怠感が体中を巡っていたとか。
カメラが回っている間は、そこは流石の役者魂、メインの殺陣ですから気合も入ったのでしょう。
カット!の声で体中の力が抜け、幾度にも渡った撮影も何とか終了。
前述の、沖田が駆け寄る場面での台詞は、左右田さん本人の実感がそのまま口をついて出たものだったそうです。


 斎藤沖田が将棋を指す場面が出て来ます。
いくら腕に覚えのある剣客集団とはいえ、やはりこういった息抜きの時間も多分にあった事でしょう。
特に新選組が発足して間も無い時期には、主たる活動内容は京都市中巡邏でした。
そんなに毎日々々人斬りしていた訳ではないんですよね。
だから、こういった仄々としたシーンに、隊士同志の繋がりを連想させられるわけです。
この斎藤VS.沖田の将棋指しは、これからも度々登場します。
そしてこの何気無いシーンが、沖田の最後を描いた第二十四話「風去りぬ」へと引き継がれて行くのです。
果たして、結局は何勝何敗だったのかも気になりますが…


 さて、ここで、この斎藤一を演じた左右田一平さんについて。
 生まれは北海道札幌市。
昭和五年(1930年)七月十日。
つい先日が御誕生日だったんですね。
七十七歳ですか。
本名は広田信夫。
芸名の「左右田一平」は、

「そうだ、いっぺい(一杯)飲ってから考えるとするか」

というのから来ているそうです。
これは俳優になる前に友人と一緒に名前を考えていた時のエピソード。
 中学三年の時に終戦を迎え、昭和三十年に中央芸術劇場入団。
後に東京芸術座団員として舞台やTV、映画に多数出演。
現在はフリーの役者さんとして活動されています。
新選組血風録』出演当時を振り返って語られたインタヴューで、
斎藤一と自分は、持っている感覚が近いような気がします」
とあり、当時さほど資料のないままこの役柄を演じる事になった左右田さんが、そのまま斎藤一に成り代わっていった感じが画面からも受け取れます。


 水戸藩士・赤座智俊には東映の楠本健二さん。
この二番手役として出演されているのが、後作『燃えよ剣』で原田左之助役となる西田良さんです。
第一話「虎徹という名の剣」や第四話「胡沙笛を吹く武士」等にも斬られ役としてちょこちょこ出演されています。
所謂、大部屋俳優の扱いだったのでしょう。
 ちなみに、新選組二番隊伍長・島田魁役の玉生司郎さん。
燃えよ剣』で斎藤一の役柄を担当しています。
左右田さんは裏通り先生という町医者役でレギュラー出演となります。
新選組隊士の面倒を細々と看るキャラクターなので、玉生さんの斎藤一とも絡んでます。
新選組血風録』を観た後に『燃えよ剣』を観ましたが、
斎藤一左右田一平
というのが頭にありますので、当の本人が「斎藤クン」と玉生さんに向かって話す場面にはちょっとした違和感が生まれてしまいます。
裏通り先生左右田一平斎藤一
で、
斎藤一玉生司郎島田魁
と、何ともややこしい事になるわけです。


 何か、自分でも書いていて訳が判らなくなってきました…

 ともあれ、鬼の土方歳三が驚愕した剣豪・斎藤一の働きっぷりをとくと御覧あれ。

 漸く、My居合刀を手に入れました。



『夏雲あがれ』太郎左役の青山草太クンからのお下がりです。



 それもこれも、このドラマで殺陣を担当されている車邦英先生のお力終えがあっての事です。

誠に有難い事です。


今は、

抜刀&納刀

の練習に励む毎日です。

これがスムーズに出来るか否かで、格好良さが格段に違って来るとの事。


刃が鞘を抜ける時の何とも謂えぬ音色に魅了されている今日この頃です。

『新選組血風録』
~第四話「胡沙笛を吹く武士」~


 奥州南部藩(盛岡藩─岩手県中北部から青森県東部周辺)脱藩の浪士・鹿内薫の顛末を綴ったエピソードです。
司馬さんの原作にかなり忠実に作られています。
しかしこの鹿内という男は司馬さんの創造のようでして、遺されている資料の何処にもこの人の名前は登場しません。
ただ、この寡黙で実直な男が「新選組」という特殊な組織の中で翻弄され、京女との契りを果たす為に命を落とすという如何にも人情劇的な物語としては秀逸な作品だと思います。

 事実、司馬さん御本人がこの回の脚本を読まれて、


心に染みとおるような台本でした


と絶賛したとの逸話が残っています。



 さて、このタイトルにある「胡沙笛(こさぶえ)」。
一体どんな笛なのでしょうか。
色々と調べてみても謎の多い楽器であることは確かです。
司馬さんの原作中では、

嘗て蝦夷(所謂アイヌ民族)が使っていた笛だ

とされています。
そもそもは、蝦夷の探検家がこの笛を「胡笳(こか)」だと思い込んだところから其の名がついた、とも言われています。
胡笳」とは、中国大陸北方の民族・胡人が使っていたとされる楽器で、葦の葉っぱを巻いただけの簡素なモノだそうです。
劇中に登場する「胡沙笛」も何かの樹皮を巻いただけの、凡そ笛とも呼べぬような粗末なモノです。
しかし、蝦夷人が使っていた笛は、吹き口に竹の筒を差込み、木の皮でぐるっと巻いてラッパ状に形成していたそうで、これでは劇中の「胡沙笛」と見た目の全く違う楽器になってしまいます。
 あえて例えるなら、
蝦夷の笛はクラリネット
に対し、
胡沙笛は篳篥(ひちりき)
でしょうか。

尚、実際劇中で「胡沙笛」の音色にはクラリネットが使われています。


 さて、この胡沙笛を吹く鹿内薫役には東京芸術座出身の牧田正嗣さん。
鹿内が惚れた京女の小つるには高森和子さんが扮しています。
 顔だけは何となく認識のある牧田さん。
ネットで検索するも、『太陽戦隊サンバルカン』『恐竜戦隊コセイドン』『ウルトラマンタロウ』等にも出演されたそうですが、一向に記憶に有りません。
唯一覚えているのは、ビートたけし主演のTVドラマ『学問ノススメ』で国木田六歩役をされた事です。
もぅ、ドラマの内容そのものがハチャメチャだったので、誰が何の役柄でどんな設定だったのかいい加減だったと、それだけは強烈に記憶しています。
 高森さんも、私はあまり良く知らない女優さんですが、元々の御出身が大坂なので
ホンマモンの大坂弁
を話せるのが重宝されたようです。
伝説的な連続ドラマ『おしん』に主人公の姑役で出演されていたとか。
これもあまりよく覚えていません…


 今回の主人公であるこの奥州脱藩浪士・鹿内薫
非常に朴訥で純朴なキャラクターという設定であるのですが。
そのあまりの朴訥振りに、まず普通の会話が成り立ちません。
何を言っても何を聞いても、返って来る言葉は

はぁ。

こればかりです。
たまにこの「はぁ」の後に

駄目です。

とか

有りません。

とか、ちょこっと言葉を繋ぐ程度。
この劇中で鹿内が連発した「はぁ」の数、私が確認しただけでも
49回
ありました。
小つると関わっているシーンでは数度しかないのですが、隊内に居る時若しくは新選組の人間と言葉を交わす時には圧倒的にその頻度が増します。
と言う事は、自分より格上と判断した相手には徹底的に恭順する姿勢が身に染みてしまっているんですねぇ。
卑屈っちゃぁ卑屈ですが。


 縁あって、原田左之助率いる十番隊所属となった鹿内
とある時に出動命令が懸り、鎖帷子を着込む鹿内の姿を見掛けた土方
この時、鹿内の帷子には小さな穴が開いていて、
「ここを突かれたらどうするんだ!」
と交換を伍長に命じます。
そこへ隊長の原田が現れ、
「鎖(帷子)なんてナァほんの気休めだァ。真っ裸で飛び込むつもりでやりゃァいいんだ」
と言います。
この遣り取りで、土方原田は根本的に性根の違う男なのだと認識させられます。
こういう演出が心憎いですねぇ。
この後も、事ある毎に
「土方さん、あんたァ堅苦しくていかん」
と意見する原田
判ります、その言い分。
しかしこの鹿内という男に対する認識の違いが、結局悲しい結末を迎える事になります。

 十番隊任務として鹿内に大きな仕事が任されます。
それは、同じく妻を持つ原田隊長の心意気からでした。


愛する人が居てこそ、尚更張り切れる



これが原田左之助の考え方なのです。
 しかし、其の考えは裏目に出てしまいます。
小つるを想う余り、鹿内は隊士としての職務を放棄し遁走してしまいます。
しかもその所為で隊士一人が斬り殺されてしまったのです。
これではもぅ言い逃れは出来ません。
土方御得意の
士道不覚悟
です。
 最終的な処置は、隊長の原田鹿内を斬る事で決着します。
鹿内の末期のシーンでは、面白いカメラアングルが使われました。
斬られた鹿内自身の目線
なのです。
傍に居る小つるが映ったまま横倒しの画面になります。
よくよく考えてみると、割と在り来たりな映像なのでしょうが、
こういう時代劇でこんな演出がされたと思うと、スタッフも色々と考えて作品を作っているんだなぁと感心してしまいます。


 エンディングも中々秀逸です。
町中の子連れ夫婦に鹿内の姿を見た土方
同行した沖田はその一瞬の表情に何か感傷的なものを感じ取ります。
「どうしたんだろう、土方さん…」
そんな絶妙な沖田の表情が、決然と歩く土方の背中に向けられ。
大きな運命を背負った土方の後姿に、主題曲が重なるように流れ…


んむむむむむ


結局は何だかんだで美味しい処は土方が掻っ攫って。


VIVA!土方!


VIVA!栗塚!

なんですな。

結局。

『新選組血風録』

~第三話「昏い炎」~



 さぁ、京都守護職から直々の
芹沢たちをやっつけちゃえ
という命令が下された新選組


 まず初めの標的となったのは、新見錦です。
前述の「北新地での乱闘事件」を教訓にした近藤一派。
まともに立ち向かったのでは到底敵う筈も無い訳です。
そこで、何とかして芹沢派を潰したい近藤派は、監察役の山崎烝を駆使して新見の尻尾を掴みます。
ここで言う監察役とは、まぁ今で言う偵察諜報──スパイ活動──の事です。
まぁ言うなれば新選組ジェームス・ボンドな訳です。


 余談となりますが、残されている史料等に拠ると、この当時山崎は監察役では無かったようです。
副長助勤──さしずめ副隊長補佐役──として沖田総司永倉新八原田左之助らと共に名を連ねています。
実際の監察役には、島田魁(劇中では二番隊伍長)、林信太郎(山崎の従兄弟)、川島勝司の三名が当たっていたようです。


 まぁ、それはさておき。
この山崎烝役には坂口祐三郎さん。
後に『仮面の忍者 赤影』主人公赤影役で一世を風靡した方です。
新選組における監察・山崎烝はかなり重要な役回りでして、彼の活躍抜きにはあの「池田屋騒動」も語れないでしょうし、もうそれは馬車馬の如く新選組の為に東奔西走した隊士として重宝されていたと思われます。
裏の仕事を任された役柄ですが、劇中にはかなりの頻度で登場します。

 さて、尻尾を捕まれた新見ですが。
罪状は
「局中法度違反」
です。
土方が考案した(当時の総長・山南敬介が草案したともされています)この「局中法度」。


 一、士道ニ背キ間敷事
 一、局ヲ脱スルヲ不許
 一、勝手ニ金策致不可
 一、勝手ニ訴訟取扱不可
 一、私ノ闘争ヲ不許


の五ヶ条から成る新選組の掟です。


この掟に背いた者は誰であろうと、切腹せねばならないという非常に厳しい約束事でした。
 新見が問い詰められたのはこの内の二つ──つまり


遊ぶ金欲しさに借金をし、それの返済の為に商家や民家から強請っている
そしてそれは武士の道に反する行為である


という内容です。
 もはやこれまで──と観念したか、太刀を抜いた新見土方はそれよりも疾く

──という展開ですが、史実では新見は切腹したと遺されています。
この辺の演出は、矢張り土方、いや栗塚旭メインで見せたかったからなのでしょうか。
いやに張り切って新見を斬り捨てていますから。
それにしても栗塚as土方、逆袈裟斬りがお好みのようですな。
斬り抜いた後にちょっと腰が浮くあたり。
「栗塚斬り」とでも名付けましょうか。



 腹心の新見が居なくなって益々苛々が募るばかりの芹沢
土方暗殺として雇った輩も悉く返り討ちに遭い、そろそろ金も無くなって来たので大和屋という富商へ献金を迫ります。
献金とは物の言い様で、様は何だかんだ理由を付けて金を寄越せと、こう言っているだけです。
この大和屋の妻おはま、実は先達芹沢に斬られた町職人の妹で、そんな奴に渡す金は無いと追い返してしまいます。


 おはま役には大映作品で数多く出演された三田登喜子さん。
時代考証もあってか、
眉毛無し&鉄漿(おはぐろ)
という、現代から見ると怖ぁ~い叫び形相になっています。
この時代の内儀(既婚女性)は揃ってこのメイクをしていたそうですが、風俗に疎い私はこのメイクの理由が判りません…
何か意味があってのこの様相でしょうが。


 結局このおはま芹沢の毒牙にかかり犯されてしまいます。
もぅここまでくると、芹沢は精力絶倫の単なるヤリチンに思えてきますな。
スゴイぞ、芹沢。
いくらスタイルが良くても、眉無し歯真っ黒な女性には、萎えちゃうなぁ。
ま、男としては、それくらいの腰力が羨ましくもありますが。


 おはまにしてみれば、芹沢土方も同じ「新選組」という括りでして。
芹沢に犯された=新選組に凌辱された
と思うわけです。
土方としては、そこはきっちりとケジメを付けたい処ですから、
芹沢は芹沢 俺達は俺達
と割り切った上で、おはまの下を訪れます。
しかし、おはまは許す訳がありません。

「その腰の物はお飾りでっか」


おはま、キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!


武士の命とも言える腰の大小を「お飾り」と来たもんだ。
これは、土方、否、武士にとっては最大の侮辱と捉えて良いでしょう。
そしてここで前述の独特のおはまメイクが生きてきます。
散々に凌辱された挙句、身を庇うように現れた土方に対して
眉無し&鉄漿
の女性が罵り言葉を投げ付ける訳ですから。



 もう、居ても立ってもいられない土方は、芹沢暗殺を決意。
時は文久三年(1863年)九月十八日の夜。
この晩、芹沢暗殺に出向いたのは、原作では
近藤 土方 沖田 原田 井上
の五人となっていますが、実際には近藤は参加せず、
土方 沖田 原田 井上(或いはこれに山南も加わった?)
というメンバーが実行犯だったようです。


南原幹男著『血汐首─芹沢鴨の女─(「新選組情婦伝」立風書房及び角川文庫刊に所収)でも、前述の四人が登場しますし、

子母澤寛著の『新選組遺聞(中公文庫刊)八木為三郎(当時の屯所・八木源之丞邸子息)回顧談にも同様の話が含まれています。
また、結成当初からのメンバーだった永倉新八が後に語った談話の中にも
 「(近藤の差金には相違ないが)大体刀を振るったの

 は、土方沖田原田井上などではないかと想像

 している」
とあります。


 まぁ、誰が手を下したにせよ、グデングデンに泥酔して寝ている所を襲われた訳ですから、いくら猛者揃いの芹沢一味とは言え呆気ない最後であった事に変わり有りません。
この当日に芹沢の愛人・お梅も寝床に居たのですが、ドラマでは彼女は一切出てきません。




 こうして心機一転、新選組近藤率いる一派が牛耳る事となり、いよいよその活動を活発化させていく事になります。
事後報告として京都守護職の下を訪れた土方は、帰り際にあのおはまと出会います。
 兄を殺され、その仇敵に犯され、そりゃぁもう精神錯乱状態となったおはま
土方を見掛けるや否や、件の「お飾り物やぁ」を連発。


 でもそんな事ではめげない土方。


「無礼者!」と掴み掛かろうとする面々を制し、ここで最終兵器が出ます!




栗塚旭の目力ビーム!!
栗塚旭as土方歳三




贋の虎徹を持ち込んだおみねに向かって発射した、あれです。


更に!


あの独特の栗塚ナレーションがこの目力ビームに被さって流れます!
とことんまで土方、否、栗塚旭さんを可憐に演出しようというこのベタさ!!




VIVA!栗塚

『新選組血風録』

~第三話「昏い炎」~



 「芹沢鴨の暗殺」という題名で原作に収録されています。

大まかな展開は同じですが、細々な設定がドラマ版では随分とオリジナルになっています。

そのあたりを比較しながら、今回のレヴューへと参ります。




 京都守護職の命で大坂へと出向いた新選組御一行。

この地域での浪士取締りという任務が与えられましたが、芹沢一派は完全にお遊び気分。

北陽新地へと繰り出した芹沢、道を塞いだ町職人をバッサリと無礼討ちにしてしまいます。

何事も無かったかの様に酒を飲み始める芹沢

勿論、職人仲間も黙っちゃいません。

大挙して芹沢達の居る住吉屋を襲撃しますが、凄腕の剣使いである芹沢一派に敵う筈も有りません。

瞬く間に斬り捨てられてしまいます。 

この騒ぎを聞いた京都守護職は、芹沢の粛清を近藤らに暗に促します。

これを機に、近藤土方らによる芹沢一派の粛清が行われ、近藤勇を局長とした「新選組」が動き出すのでした。




 大坂・北陽新地(または北新地)での騒動が冒頭で描かれていますが、これは原作とドラマ版とでは色々と相違点があります。


──司馬さんの原作では──

 ・大坂巡邏に向かったのは、筆頭局長芹沢鴨以下15名

 ・場所は、北新地手前の鍋島浜から老松町へ抜ける狭い小道

 ・道を塞いだのは、酔った角力(相撲力士)

 ・なので住吉屋を襲撃したのも力士軍団

 ・近藤土方も応戦


──ドラマ版では──

 ・大坂に出向いたのは、芹沢一派5名、近藤土方の計7名

 ・場所は北新地の木戸を潜ったすぐ

 ・道を塞いだのは町職人

 ・当然、住吉屋には職人仲間が大挙

 ・近藤土方はこの騒ぎを傍観



 はい、随分違いますねぇ。

まぁ、騒動の場所だとか、大坂出張に誰が随行しただとか、そのへんはあまり細かく突っついても仕様がないですが、


相撲力士と町職人


となると見た目にもかなりの違いがあります。


あくまで個人的な推測ですが、


角力エキストラが集められなかった


という事が一番の理由なのではないでしょうか。

いくら大部屋俳優を集めたところで、体格の違いは如何ともし難いですからねぇ。

それに、画面映えしませんもの。

角材だの棒だのを手にした力士軍団が怒りを露に大集合

これじゃぁ京極夏彦さんの『どすこい(仮)』です(笑)



地響きがする──と思って頂きたい。




 この騒ぎを傍観する近藤土方コンビですが、これにはある思惑がありました。

芹沢御一行の太刀筋を見極める為だったのです。


近藤勇の観察結果は──

 芹沢を別にすれば、やはり新見が強い。

 次いで平山

 野口は少し落ちる。

 平間は腕力で斬っているが、技は粗雑だ。


お見事。


 目の前で人がバッサバッサと斬り捨てられる状況なんて、現在の日本では非現実的な光景でしょうが、まぁこの近藤さんの分析・洞察力に類するものは多くあると思います。


変な例えかもしれませんが、

ボクシングの公開スパーリング

なんかは結構近いかも。

少し脱線しましたが。



 今回のレヴューは長くなりそうなので、この先は後日Part.2という形で載せたいと思います。



それでは今日はこの辺で。




サイナラ、サイナラ。 

 NHKで木曜日に放送されている時代劇

『夏雲あがれ』


この作品で殺陣指導をされている車邦秀さん、

実は以前にこのブログで

剣の道

というタイトルで記事にしました

真剣試し斬り

で御世話になった方なんです。


以前この試し斬りの時に

「今日はイシガキ君という俳優さんが来る予定だったんだけどねぇ…」

と車先生が呟き、今になって


あぁ、このドラマの立ち回り稽古で繋がっていたのかぁ!!


と気付きました。




そして、私。来月7月からこの車先生の下に入門致します。

剣道の素地も無い私の事ですから、七転八倒の日々が待ち構えている事と思います…

 『新選組血風録』
~第二話「誠の旗」~

 このエピソードは司馬さんの原作には描かれていないのですが、次の第三話「昏い炎」での芹沢鴨暗殺事件への橋渡しとなる物語です。

 漸く「新選組」がグループとしての形を為しつつあり、
局長 芹沢鴨
    近藤勇
    新見錦

と三人のボスが居るという奇妙な組織体系の下、副長職の土方歳三は多忙な日々を送っていました。
ところが、芹沢は一向に局長らしい仕事をしません。
同派の仲間を連れて、

金を強請るわ¥

昼間っから泥酔するわお酒

乱暴狼藉の限りを尽くすばかりです。
堪り兼ねた近藤土方らの誠衛館道場一派──所謂、近藤派──は局中法度書を掲示し、隊規粛清を行います。
 さて、土方
隊旗を注文する為、さる染物屋へと向かいました。
女主人の土方の「新選組」への只ならぬ情熱に心打たれ、次第に懇意の仲となります。 
 隊の監察から事有る毎に付回され苛々の募った芹沢は、このお栄を手篭めにしてしまいます。
怒り心頭の土方は、しかし之を耐え忍び、何時か芹沢への復讐を胸にするのでした。



 出ました。
芹沢鴨です。
演ずるは、遠藤辰雄(後に太津朗と改名)さん。
後に制作された『俺は用心棒』(これも栗塚さん主演)や『新選組』(鶴田浩二主演)でも芹沢鴨役を演じました。
こういう憎々しい

如何にも悪役

的な役柄がピタリと嵌る数少ない役者さんだと思います。
壬生の屯営所でお栄を犯した後に、土方と対峙した時のあのふてぶてしいまでの表情!!
ああいうのが似合う俳優はそうは居ないんじゃないかと。
遠藤さん御本人も芹沢を地で行く位の酒乱だったそうで、


  私も、一日として酒盃を手放した事は無く、飲む程に酔うほど

  に祇園囃子にのって池田屋に斬りこんだ新選組に思いが至

  り、刀をひきぬき襖や障子はバラバラ。

  「芝居はカメラの前だけにしよし」と女房にはこっぴどく叱られ、

  長男次男には怖い目をさせましたが、さすがに四人の孫に囲

  まれてかれは、抜刀はやめました、馬鹿な男…。

  (『「新選組血風録」の世界』黒須洋子著 新人物往来社より)



とまぁ豪放磊落な方だったようです。
 さてこの芹沢鴨の暴れっ振りに関するエピソード。

これも資料や伝聞異聞に数多く残されていますが、私個人的にお気に入り(?)なのが


島原角屋事件


です。


 事の発端は、会津藩邸黒谷本陣で各藩の談合があった時の事。
 そこでの雑談中に、近江国水口藩(現在の滋賀県甲賀市周辺)加藤越中守明軌の公用方・松本礼次郎
「浪士組(新選組)の乱暴狼藉多く、京の人々が迷惑している」
と言った事が芹沢の耳に届いてしまいました。
この公用方を生け捕りにしようと躍起になった芹沢でしたが、戸田栄之助という剣客が間を取り持ち、遊郭島原の角屋で座を持ちました。
ところがどっこい。
この酒席で気に喰わぬ事が何かあったのか、芹沢は愛用の鉄扇を振り回して、店の椀や瀬戸物一切合切を手当たり次第に破壊。
更に、階段の欄干を引っこ抜いて階下でこれをぶん回す始末。
ありとあらゆる器をぶっ壊して、それでも尚気が済まずに
「この店、気に入らないから、七日間の営業停止ね。」
と勝手に処分を下したといいます。
 
 しかし、階段の欄干引っこ抜くってどんだけの馬鹿力なんでしょうか。




 染物屋の女主人・お栄には伊吹友木子さんです。
細面で目元が印象的な女優さんでして、元々は宝塚歌劇団の出身だそうです。

 このお栄は司馬さんの原作には無い役柄でして、この染物屋に発注したと劇中にある新選組のシンボルの一つ「」の隊旗は、実際は京都の古着・木綿生地商「たかしまや(現「高島屋」)に発注されたそうです。
大きさは縦が四尺(約120cm)横三尺(約90cm)で、緋色の羅紗生地に白地で「」と染め抜いたモノ。
もう一つの新選組シンボル、浅葱色の羽織は呉服問屋「大文字屋(現「大丸」)に特注したモノです。
赤穂浪士が吉良邸討ち入り時に着た羽織のデザインを真似、袖口と裾に白い山形の模様をだんだら染めにしてあります。
背中に「」一字が染め抜かれていたとも言われていますが、そうではないと伝える資料も有りますので、いやはやどちらなのか。


 こうした隊旗や制服等の製作費用は、京の豪商・鴻池善右衛門からの資金提供で賄っていたとされています。
新選組鴻池との出会いは第一話『虎徹という名の剣』でも描かれています。
大坂に本拠を構える鴻池は京都に別邸を持っていたのですが、そこに押し込み強盗があった際に近藤沖田山南の三人が退治したという恩があったのです。
ドラマ版では山南土方に置き換わっていましたが、いずれにせよこの事件以来新選組は金銭的に大きなバックアップを得たわけです。


ちなみにこの鴻池
元々は清酒造りで財を築き、両替商や回船問屋等で地盤を大きくし銀行業へと発展しました。
昭和に入り銀行合併で三和銀行となり、更に時代を経て現在の東京三菱UFJ銀行へと変遷します。
池田屋事変」直後には、数十億円もの融資を新選組にしたとも言われていますので、如何にその財力が巨大であったか計り知れません。
以上は余談。(司馬さん風ですな)


 さて、もう一人の重要な役処、芹沢鴨の片腕とも言える新見錦には飯沼慧さんの御登場となります。
文学座の重鎮であり、時代劇の悪役好きな人には堪らない役者です。
つるっとした細面に狡猾な目元、何となく狐っぽい感じです。
同じスタッフ&キャストで数年後に制作された『燃えよ剣』でも同役で登場。
たった二作品だけなのに
新見錦と言えば飯沼慧
と言われる程のハマリ役となってしまいました。





 さぁさ、お立会い。
お栄までもを手篭めにし
乱暴狼藉不埒な行い
おのれ芹沢、只では置かぬと
鬼の土方、立ち上がる!

次話、『昏い炎』をお待ちあれぇ!!

やったぁ~!!


この一週間、待ちに待ちましたよ!

『獣拳戦隊ゲキレンジャー』

新キャラの声優さんにあの


石丸博也さん


がぁ!!



日曜の朝っぱらから大興奮してしまいました。


そして何と次回(再来週ですが)は、拳聖四人が一挙に登場との事。


永井一郎さん

池田秀一さん

そしてそして

水島裕さん&石丸博也さん

の黄金コンビが久々に復活!!



って事は、五人目の拳聖は勿論

古谷徹さん

ですよね、東映さん?


『新選組血風録』
~第一話「虎徹という名の剣」~

司馬さんの原作では「虎徹」という題名です。
確か、第6話目だったと思います。

ドラマ版の脚本も当初は同じ題名で放映する予定だったのが、プロデューサーの上月信二さんが

「虎徹という名の剣」

と改題したそうです。


行き成り、冒頭の約20分が「池田屋襲撃」のシーンで始まります。

壮絶です。

もう、有無を言わさぬ乱闘シーンがこれでもかと繰り広げられます。

私自身、そんなに沢山の時代劇を見た訳では無いのですが、

舞踊のようなチャンバラにはリアリティが欠けているなぁ──

と常々思っていました。
其処へ持ってきて、生身の男達が刀を振り被っての肉弾戦という様程が

あぁ、実際に刀を持った人達でも斯く戦ったのかなぁ

と思わされる程、妙なリアルさを含んでいます。
蹴る殴るは当たり前。

刀の峰で撃ち、柄で撲り、揉み合い剣先で刺す

という、アクションシーンとしては見た目には甚だ格好の悪い殺陣が続きます。
このドラマ制作を担当されたスタッフの大半が映画制作を主にしていた方ばかり。
映画に比べて時間の短いTVドラマで、
──如何にして客(視聴者)を惹き付けるか──
という狙いが如実に表れていると思います。

 この「池田屋襲撃」という事件の陣頭指揮を執り、新選組局長として名を馳せる事となった近藤勇の刀が、今回の題名にもある「虎徹」です。
ここから後のストーリーは、この「虎徹」に纏わる話が展開していきます。


 場面は時を遡って、江戸の誠衛館道場へ。
文久三年の正月です。
この頃は未だ「新選組」という組織は無く、江戸の浪士達を掻き集めた所謂「浪士組」が上洛する直前の時でした。
京都に出向くのを機に名の有る刀を携えておきたいと考えた近藤は、愛宕日陰町の刀屋・相模屋へ赴き、虎徹という刀を依頼しました。
愛宕日陰町とは、現在のJR新橋駅付近だそうで、随分後の時代までこの辺りには刀鍛冶の店が軒を連ねていたようです。

さて、近藤が探し求めていたというこの「虎徹」。
刀匠は江戸初期の人で、名は長祖禰入道虎徹
元々は甲冑鎧の類を作っていましたが、やがて戦国の世も終わり太平の期が来ると甲冑作りをスパッと止めて刀剣を打ち始めました。
後世には贋作も多く作られ、

 虎徹を見たら贋と思え

と言われる程に、贋の虎徹が存在したそうです。


果たして、近藤は件の相模屋を経て念願の虎徹を手に入れる事となりました。
持って来たのは浪人の娘・おみね
窮迫した家計を助くる為に、家伝の刀を20両で売る事を決めました。
折り良く、近藤が申し出ていた値段が20両。
──刀の値打ちも判らぬ田舎モンにはこれでいいだろう──
とばかり、相模屋はおみねに其の刀を近藤に売り付ける事を推します。
刀剣に明るい者が見れば明らかな贋虎徹が、こうして近藤の下に届けられます。
が、当の近藤本人は嬉々として、
──これが虎鉄か──
と全く疑わず、その刀に魅了されてしまいます。
その傍らで。
新選組副長・土方歳三だけは、この贋物を正銘虎徹と偽って持ち込んだおみねを猜疑の眼で見ていました。
この場面での、土方役の栗塚旭さんの眼付きが尋常じゃァありません。
見る
というよりも
睨み付ける
が正しい表現でしょうか。
兎に角、睨む。
睨む。
睨む。
そして、睨む。
尚且つ、睨む。
睨み捲くった挙句、この後の沖田総司との会話では
──あの女を斬ろうと思った
と物騒な発言までする始末。
──女狐め──
という土方セリフ(いや、栗塚セリフかな?)が妙に印象に残っています。

おみね役には、当時東映の大女優だった丘さとみさんが扮しています。
大友柳太郎中村錦之助萬屋錦之助)、大川橋蔵といった東映時代劇俳優と共演されてきた下地があります。
おみねの父・弥左衛門には、あの嵐寛寿郎が出演されています。
嵐寛寿郎──通称・アラカン──と言えば、年配の方にしては「鞍馬天狗」を思い出す人も多いでしょう。
アラカンだけが所謂東映時代劇的なセリフ回しをしているところが、如何にもな感じです。
他の主だった出演者は殆どが新劇出身ですから、その辺の対比も面白いと思います。


その後、新選組の下には正銘の虎徹が三振り所有される事になります。

其の一は、おみねが身を窶して手に入れた虎徹
──これは結局、近藤の手に渡る事はありませんでした。

其の二は、大阪の豪商鴻池家から押し込み強盗退治のお礼として送られた虎徹
──唯一、近藤が使った証明の虎徹。
  しかしこれは近藤の思い込みから贋虎徹の烙印を押され、結局刀蔵へ・・・

其の三は、三番隊隊長・斎藤一が夜見世で手に入れた虎徹。
──剣術指南役で刀に詳しい斎藤が僅か三両で入手。
  これも刀蔵へ。


 画して、近藤は自慢の長祖禰虎徹を携え、新選組局長として名を馳せていく事となります。
場面は再び「池田屋襲撃」のシーンへ。
よくよく見てみると、斬られ役として川谷拓三さんやら福本清三さんが出演されています。
こういうエキストラ専門の時期だったんでしょうねぇ。
あと、後に同じスタッフ&キャストで制作された『燃えよ剣』で新選組隊士役となる西田良さん(原田佐之助役)や平沢彰藤堂平助役)なんかも長州浪士として斬られていました。


 こういう昔のドラマとかって、
「あの人がこんな役柄で!」
という見方も出来るから面白いですね。

 次回の『獣拳戦隊ゲキレンジャー』から登場する新キャラ


其の名も


シャッキー・チェン!!



そして勿論そのアフレコを担当されるのが



石丸博也さん!!




サモ・ハン・キンポーをもじったエレハン・キンポー役に水島裕さんを当てて来た時、

いつかはやってくれるんじゃないかと内心期待しておりました。


ビンゴですねぇ、東映さん。




あとは古谷徹さんがいつ出てくるか・・・