昨日、フクヤマクライミングクラブは20周年を迎えました。

20年前の 3月27日、初めて生徒さんがレッスンに来てくれて、

FCCが始動し出したのでした。

子どもたち対象のクライミングスクールとしては多分、

最も歴史の古い存在であるかと思われます。

これまで続けてこられたのも、

ひとえにレッスンにご参加くださっている皆様のおかげです。

ありがとうございます。

 

20年の間に、少しずつ変化したこともあります。

以前は、自分が競技を行っており、

また、ユース日本代表の面倒も見ていたこともあって、

競技クライミングに力を入れていた時期もありました。

 

小さいころうちに来ていた みほう は、

長じてオリンピック選手になりました。

 

しかし、

競技における他者との競争や、

グレードを追うクライミング活動の在り方に大きな疑問を持つようになり、

少しずつ「子どもたち自身の人間性の成長に寄与する」方向に、

その指導理念をシフトするようになりました。

 

その中で、20年間で変わらずに心掛けていること、

それは子どもたちの「主体性」の育成と「心」の成長です。

何かに隷属せず、主体性をもって自分の足で歩く。

それでこそ自分の人生を生き切ることに繋がっていくと思うからです。

そして、自分の足で自立してこそ、他者と協調することが可能となる。

もたれあっていては、お互いに足を引っりあうだけですから。

主体性を持った個人個人が「心ある行動」によって、

お互いに仲良く「調和」してはじめて、

幸せに生きることができるのではないでしょうか。

 

競技を指導の中心に据えなくなったのは、

他者との比較が子どもたち同士の「調和」の足を引っ張り、

また競技結果が「努力」の動機付けに大きく関わることで、

本当の意味での「自立」を妨げることに気づいたからでした。

 

この「主体性」の育成と「心」の成長に欠かせないことが

「真剣」「本気」ということかと思います。

ただし、この「真剣」「本気」は

自分の「中心」から湧き出てくるものでなければなりません。

「大会があるから頑張る」などというものではなく。

 

この自分の中心から湧き出る「真剣」「本気」を継続する生き方を

「道」と言うのだと思います。

他者と比較することなく。

 

こうした生き方を、大好きなクライミングを通じて 

子どもたちの人生の礎に据えてあげたい。

クライミングを単なるスポーツとしてではなく、

「クライミング道」として捉える。

こうした取り組み態度はクライミングに限らず、

今後その子の人生で出会う あらゆることに通じていくと思うのです。

 

昨日、小さいころうちに来ていたMちゃんが、

「大学に進学して暫くこちらのほうには来ないので」と

お母様と一緒にご挨拶に来てくださいました。

彼女は特設クラスの「チーム」にも入り、

一生懸命に学んでくれた生徒さんでした。

お母様は

「クライミングの基本技術も、またクライミング以外のことにも通じる

 大切なことも教えて頂きました。

 こちらのスクールで習って本当に良かったです」と

おっしゃってくださいました。

嬉しかったです。

 

子どもたち一人一人を、優しく芯の強い人間に育てたい。

私の一貫した希望です。

 

 

Mちゃんがくれたクッキー