新しい営業エリア担当になりまして、実際に行ってみると、そもそも営業対象となる土地自体が

非常に少なく「これはまずいな」と思いつつ、少ない地主さんに飛び込み訪問をしている

時でした。いつものように営業をして基本的に最初から上手くいくはずもなかったので、

最初はあいさつ程度で訪問しようと考えて、

「ごめんくださーい」とチャイムを鳴らして飛び込み訪問をしたところ。

小柄で細身な地主さんでしたが、背筋がピンとされていてとても紳士的な地主さんが

「あら、○○ハウスさんですか。どうぞお入りください。」

とのお返事に私は「???」となりましてとりあえず家に上がらせていただきました。

最初は誰かと間違っているのかな。と思っていたんですが、普段飛び込み訪問でそんなに

丁寧に対応されることも無かったのであまり営業の事は考えず、世間話をしていました。

その地主さんがちょうどお母さんの家を、私が勤めていた会社でリフォームを行っていまして

それが飛び込み訪問をしても、温かく受け入れてくれた理由でした。

土地の件に関しては将来的には相続もあるので、何か活用はしないといけないかなと

考えているけど、今すぐには考えていないとのことでした。

当然、私もすぐにアパートを建てる人なんていないと思っていました。

それよりも私は昔から読書好きで地主さんも読書好きだったことから、趣味の話で盛り上がり、

色々と小説をいただいたり、他にも歴史の話をしたりなど、その地主さんのところへ行く時は

営業というよりもくつろぎに行くような感じになっていました。

話が盛り上がって時間が遅くなったときは、「もう遅くなっちゃったからウチでご飯を食べて

いきなさい」とご飯も頂いたりしていました。

そうこうして時々その地主さんに営業に行くというよりも、世間話をするという感じで

アパートの話をすることはほとんどなく、一年近くが経過した時にある日突然、

「福島くん久しぶり。福島くんが来るのを待っていたんだけど、私アパート建てますから

図面とか契約書を持ってきて」

と言われまたしても「???」となりまして思わず「えっ!本当にいいんですか!?」

と訳の分からないことを聞き返していました。

そこからとんとん拍子で話は進み、契約の時は契約書の説明をしていても、

契約書の説明なんてもういいからどこに印鑑押せばいいの?という感じであっという間に

終わってしまいました。

こうして初めての契約が終わり、私の人生で最初の契約をしていただいた大事なお客様と

なりました。今の立場になってからも交流は続いていまして年に一回はお会いして、その他に

もお手紙のやり取りなどをしています。

23歳の時にお会いして今年で初めてお会いして10年目になります。

あっという間に経ちましたが、その頃の事は今でも鮮明に覚えています。

今思うと営業の話もせずに本当に素の自分で世間話をして、気に入っていただいた事が

契約の始まりだったのではないかなと思います。

やっぱり出会いですね。

その後も一年ほど長崎で営業をし、佐世保市に転勤して1年の後、退職することになります。

次回は退職をし福徳不動産に入社するまでの決意を書きたいと思います。