高校生の女子、繰り返す嘔吐と腹痛で学校に行けないとのこと。
生理にも問題があり、西洋薬を服用している。
西洋薬の副作用が考えられるが、様々な理由で服用を止めれないため、現在の症状の改善で相談に来店された。
嘔吐と腹痛の症状はほぼ毎日で、時々めまいもあり、首・肩の凝りが激しい。
肝鬱気滞と瘀血の関与が考えられたため、大柴胡湯と駆瘀血剤を服用してもらった。
最初は1日3回の服用であったが、症状が和らぎ、通学できるようになると昼が服用しにくいため、1日2回としてしばらく続けてもらった。
症状が大分楽になったため、1日1回のみ服用を続けていたら、漢方薬を服用しなくても症状が現れず、治ってしまったため、現在は服用されていない。
大柴胡湯は傷寒論に「嘔不止、心下急、鬱々微煩」とあり、この場合急性熱病ではないが、胃熱が亢進して胃気を守られず、本来ならば下に降りていくものが、降りずに上に上がると「嘔吐」となり、胃熱が血熱に及び心下にかけて痛みが起こっていると判断し、大柴胡湯に含まれる「大黄」で胃熱を大便へと導くようにした。
また、大黄甘草湯という処方は専ら便秘薬として有名であるが、金匱要略の「嘔吐噦下痢病萹」に「食已即吐者、大黄甘草湯主之」とあり、元々嘔吐の症状に使用される処方である。
今回の症例では、これらの条文から処方を選択し、症状の改善につながったと思われる。