今週から気温が低くなり、これから風邪などの発熱性疾患が多くなっていくと思われます。
これからの季節は漢方でいう「寒邪」が旺盛になり、風邪のひき始めにはぞくぞくする「寒気」から始まり、咽痛から発熱となり風邪の種類によっては高熱が出たりすることもあります。
最初の寒気があるときには積極的に体を温めることにより治癒することもありますが、それがうまくいかないと症状が段々と進行して、発熱などの症状が出てきます。
また、高熱などの症状が出てくると、最初の寒邪の症状(悪寒・発熱・頭痛)から邪正闘争により、寒気などの症状が消失し、熱の症状のみが現れるようになります。
このような状態になると、身体の陰液がどんどん減っていきますので、熱を冷ますと同時に消耗する陰液を補っていくことが、非常に重要となります。
西洋医学でも、風邪の高熱による脱水に気をつけますが、表現は違っても東洋医学でも同じように陰液の補充を行うことが大事です。
これを疎かにすると、特に乾燥に弱い「肺の陰液」が傷害され、慢性気管支炎など、所謂「風邪のこじれ」となってしまいます。
つまり、漢方での風邪の治療にはそのタイミングに合わせた方剤の選定が非常に重要であり、だらだらと葛根湯や麻黄湯などの辛温解表剤を使用するのは発熱性疾患では良くないということです。