サッカークラブの粉飾決算とは3「SBAふっけんのサッカービジネス論番外編3」 | 元衆議院議員 福嶋 健一郎オフィシャルブログ Powered by Ameba

サッカークラブの粉飾決算とは3「SBAふっけんのサッカービジネス論番外編3」

サッカービジネスアナリストの福嶋健一郎です。

さて、前回の投稿

http://ameblo.jp/fukushima-kenichiro/entry-11981310395.html
でもお話ししたように、粉飾と言うのは、

「今期のもの(支出)は来期に回す」


「来期のもの(収入)を今期に取込む」

ということとなります。

一般的な企業における粉飾の手口は、
〇収入(売上)の架空計上
〇支出(経費)の圧縮
です。
収入の架空計上とは、例えば
〇存在しない収入を計上する
〇来期に計上すべき収入を前倒しで計上する
〇取引先と通謀してお互いに請求書を出す
というものがありますし、
支出の圧縮とは、例えば
〇今期に計上すべき支出を来期に繰延べる
〇処理すべき不良資産について処理を先延ばす
などがあります。
実際に手法はもっと複雑化しています。

サッカークラブ(運営会社)も一般企業と同じく
会計上の決算を行っていますから、会計上疑義の
ある(=疑念を持たれる)不適切取引を行っては
いけません。

「収入の不適切な計上」
Jリーグの試合は基本的に3~11月までです。
従って12月以降に試合収入(チケット売上)は
理論的にはありません。
翌シーズンの年間チケット先行販売による売上等
は、専門的に言うと前受金で仕訳をして、翌期に
収入として計上しなければいけません。
これを間違えると不適切な処理となりますね。

また、スポンサー収入についても、シーズンが
終了してから今期の契約をするということ等は、
基本的にはありません。
いわゆるサッカークラブが役務(サービス)を
提供する対価としてスポンサー料を頂くもので
あり、例えば「ユニフォームのロゴ掲出」と
いう役務提供が終わったシーズン後に、当期の
スポンサー契約をするということは、それが
妥当だという説明が求められます。

サッカークラブにも在庫はあります。
主なものは商品在庫とサプライ在庫です。
商品在庫とはクラブとして販売しているグッズや
スクール生向け商品の期末在庫のことです。
サプライとは、ユニフォームなどのチームに提供
される「もの」のことです。
これらを正しく棚卸をしないで計上することも、
不適切な処理の原因となります。

「支出の圧縮」
サッカークラブとして間違えやすいのは取引先と
の決算期の違いと振込時期を混同することです。
例えば、
〇今期、A社からサービスを受けた。
〇サッカークラブの決算は1月
〇A社の決算は3月
〇クラブとして、サービス料を2月に振り込んだ
とします。
この場合、支出(経費)の扱いはどうなるのか。
あくまでも2月に発生するのはキャッシュフロー
(現金)上の話です。
会計上では、細かく言えば
「当期のA社からの役務提供の対価」
であり、当期に計上しなければいけません。
これを「現金支払いが来期なので会計も来期」
と混同してはいけません。
サッカークラブの決算は1月がほとんどです。
(一部のクラブは異なります)
一方で、取引先企業の決算は3月が多いので、
取引先(先ほどの例ではA社)としては、
2月に入金があっても、会計上も当期の収入と
して会計上処理はできますが、1月決算である
サッカークラブは違います。
ここを混同してはいけません。

また、残念ながら取引先の経営が悪化するなどで
売掛金が不良化する、あるいは従業員の退職給付
会計で引当不足が生じる、といった場合で、本来
サッカークラブとして処理すべきものを処理せず
引きずっているのも適切とは言えません。

今お話ししたことが即粉飾ということではありま
せん。
しかし、不適切処理が意図的に続けば粉飾決算と
思われる可能性はあるのです。

2015年1月29日

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