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歌枕/utamakura | ricky321のブログ
契りきな かたみに袖をしぼりつつ  末の松山 波越さじとは
           清原元輔 百人一首№42
「後拾遺集」より。詞書(ことばがき)に「心変はりてはべりける女に、人に代はりて」とある。つまりフラれたのは男の側だったということである。


実は元の歌がある。

君をおきて あだし心を わが持たば 末の松山 波も越えなむ
※おきて→をきて  越えなむ→越えなん と記してあるものも。ひらがなとはかなりいい加減なものです。
よみ人知らず 古今集№1093

【あなたを差し置いて浮気心を持ったならば、末の松山を波が越えるようなもの。後ののちまでもあなたを愛し続けます。】

これを本歌取(ほんかどり)と言う。古今集の歌をベースにして、つまり本歌にして、のちの世代の者たちが、本歌の持っている味を損なうことなく歌を作ったのである。

今日的な感覚であれば盗作ではないか、となる。実は平安時代にも盗古歌(こかとる)として批判する向きもあった。

が、清原元輔からすれば、「古今集だし、誰でも知っている歌だ。単なるシャレさ。」ということだったのだろう。本歌で永遠の愛をテーマに詠まれ、元輔はその答えとして「浮気心が起きるものだ」とした。パロディである。

時代が下って鎌倉時代になると、本歌取も許容された。藤原定家が是としたのである。前提として「○○さんの歌の真似したな」などということが無いように、先人たちが編集した有名な歌集から取ることを条件とした。藤原定家はかくのごとく後世への影響は大きい。

 

映画「三丁目の夕日」シリーズで、吉岡秀隆演じる作家の茶川がまだ幼いが賢い淳之介の創作したものを真似して子ども向けのSFをちゃっかり書き上げる場面があったが、こういうのはダメということである。もっとも茶川竜之介、古行淳之介という人物名からしてお遊びの要素が十分にあるのだが。