阿川佐和子さんの「強父論」を読みました。父で作家でもある阿川弘之さんの強い(頑固というよりわがまま)父親ぶりを描いたエッセイです。当人からすれば横暴な父親に忍耐を強いられるのは苦痛でしかないと思いますが、他人事として読むと面白いです。周りを散々振り回しておいて、自分に都合の良いときに甘える、頼るのは困りながらも親子の情が交わされる一場面にもなると思います。弘之氏は父親としては問題ばかりですが、作家としてはきちんとした信念を持っていて、厳しくもしっかりと佐和子さんの文章を手直しする場面などやっぱり作家として一流の人物なのだなと思わされます。帯にビートたけしさんが理想の父親ですと書いていますが、どういう意味で言っているのかが気になりました。

自分は穏やかで優しく、心底教師の父親だったので、こちらの言い分を聞かない阿川弘之氏のような父親は御免こうむりたいです。