Irrecoverable
必死になって探していた。
もう時間がない事だけわかっていて、
この一瞬で動けなくなっても構わないとさえ思って走った。
体中の細胞が限界だと叫んでいても、
それでも僕は走り続けた。
今僕にあるすべてのものを投げ捨てて。
どれだけ走ったかわからない。
時間も場所もわからない。でも僕は辿り着いた。君の元へ。
何か理由が欲しかった。
君が隣にいなかった理由が。
遠くから君は僕を見て微笑んだ。
一歩ずつ僕のもとへ近づいてくる君は、どこか明らかにぎこちなくて
先ほど見せてくれた微笑みも近くで見ると引き攣って見えた。
目の前の君はもう人ではなくなっていたんだ。
肘から先の腕はなくなり、膝から下は僕の知らない固い異質なものがついていた。
君は髪を書き上げ後頭部を僕に見せてきた。
そこには大きな手術痕があり、それが原因だと言いたいようだった。
僕は何があったのかを聞いたが、
君は言葉さえ失ってしまって、普通にある事もままならず
動くたびに機械的な音を出していた。
それはもう僕が知っている君ではない事は明らかだった。
もう何も聞かなかった。
すべての理由は必要なかった。
僕はすべてを捨てて君を探した。
そして目の前にいるのが僕の知らない君でも、
僕は君だと認識する。
そこに存在していてくれた事で十分だ。
あの日に帰ろう。
心から笑いあったあの日に。
君を抱きしめ僕はこの世界から消えた。
もう何も苦しむ事はないんだ。
daydream
黄昏に近い季節の白昼夢。
大好きな歌を口ずさむ人の前で、全く違う事を考えていた。
夜のその場所はやけに静かなのに、風の音がやけに耳についた。
少し肌寒い空気の中で、右手にある温もりだけリアルだった。
包みこんだ華奢な手に、包まれていたのは僕だった。
四つ葉のクローバーを探そうと言ったきみの無邪気な笑顔を見て、全てを投げ捨ててもきみを守ろうと思った。
ズボンの膝を汚して見つけた希望を君にあげた。
きみの笑顔が汚れないよう祈りをこめて。
暗闇の中の白い時間を僕は見ていた。
互いが求め合った。
長い時間をかけてやっと見た僕らは、決して同じ景色を見る事はなかった。
ここまで見てきたものがあまりに違いすぎて、2人で見た朝の光に僕は目を閉じて閉まった。
勝手だけど、これで良かったんだと思う。
僕らは今まで目を背けてきた現実とやっと向き合う事が出来たから。
さようなら。
iPhoneからの投稿
大好きな歌を口ずさむ人の前で、全く違う事を考えていた。
夜のその場所はやけに静かなのに、風の音がやけに耳についた。
少し肌寒い空気の中で、右手にある温もりだけリアルだった。
包みこんだ華奢な手に、包まれていたのは僕だった。
四つ葉のクローバーを探そうと言ったきみの無邪気な笑顔を見て、全てを投げ捨ててもきみを守ろうと思った。
ズボンの膝を汚して見つけた希望を君にあげた。
きみの笑顔が汚れないよう祈りをこめて。
暗闇の中の白い時間を僕は見ていた。
互いが求め合った。
長い時間をかけてやっと見た僕らは、決して同じ景色を見る事はなかった。
ここまで見てきたものがあまりに違いすぎて、2人で見た朝の光に僕は目を閉じて閉まった。
勝手だけど、これで良かったんだと思う。
僕らは今まで目を背けてきた現実とやっと向き合う事が出来たから。
さようなら。
iPhoneからの投稿
10 years later
もう思い出せない事ばかりなのに、
また君に会ってしまう。
意味なんてない只の偶像。
わかっている。
僕は忘れてしまったんだ。君の声。
だから君は喋らない。
こんなに近くにいて、地球の裏側まで届く程深く繋がっていたのに、今は果てしなく遠い時間と距離。
10年後の未来に僕らは立っている。
2人で夢見た未来はここにはないけど、今日を生きている。
想像した未来はそこにはありますか?
見えない不安を振り払うように、無理やり前を見てきた。
そうする事が当たり前になった。
ほんとに変われるのはいつからだろう?
僕は君のたった一言が欲しくて、ただそれだけが生きる意味だった。
それを手に入れた後は、何かを失う事と代償に、自分で雁字搦めにした鎖は解けた。
やっと10年経ったよ。
今の君に会いたい。
もうあの頃の君に会うのはやめにしたいんだ。
また君に会ってしまう。
意味なんてない只の偶像。
わかっている。
僕は忘れてしまったんだ。君の声。
だから君は喋らない。
こんなに近くにいて、地球の裏側まで届く程深く繋がっていたのに、今は果てしなく遠い時間と距離。
10年後の未来に僕らは立っている。
2人で夢見た未来はここにはないけど、今日を生きている。
想像した未来はそこにはありますか?
見えない不安を振り払うように、無理やり前を見てきた。
そうする事が当たり前になった。
ほんとに変われるのはいつからだろう?
僕は君のたった一言が欲しくて、ただそれだけが生きる意味だった。
それを手に入れた後は、何かを失う事と代償に、自分で雁字搦めにした鎖は解けた。
やっと10年経ったよ。
今の君に会いたい。
もうあの頃の君に会うのはやめにしたいんだ。