こんばんは
ママ獣医師の鈴木綾香です
今日は定期的に伺うようになった16歳の柴犬ちゃんのところへ行ってきました。
後ろ足が弱くなり、だんだんと自分の力で踏ん張ったり、歩けなくなってきたということで、鍼治療に加えておうちで出来るリハビリの指導もしています。
高齢の柴犬ちゃんを飼われてる方は、ご存知の方も多いのですが、柴犬ちゃんは、歳をとってくると徘徊や夜鳴きも強く出る子達が多いです。
この子の場合も、左旋回といって、立たせるとずっと左にグルグル回ることが多く、病院では痴呆だから仕方ないと、ステロイドを処方されていました。
西洋医学しか知らなかった頃の私も、そうすることが多かったし、夜鳴きする子には寝かせるために麻酔薬や鎮静薬を処方することもありました。
この子は、甲状腺ホルモンも0に近いというくらいなくなっていて、すぐ倒れて動けなくなっていたそうで、甲状腺ホルモン剤も飲んでいました。
私が獣医師になって働き出してすぐから担当になった高齢の柴犬ちゃんがいたのですが、その子もどんどんこんな風に立てなくなってきて、夜鳴きもし、ステロイドも使っていたので肝臓も悪くなり、最期は黄疸も出て、本当に点滴くらいしかなすすべもなく、だからといって回復する傾向もなく、ただただ亡くなった時に、自分の無力さを感じて涙したことを覚えています。
その子のために何かしてあげたい!とその当時からリハビリの勉強会に行ったりしてましたが、リハビリ=大きな設備がないとダメだ、プールなどがないとダメだと思い込んでいた私は、少ない診察時間でちょっとだけマッサージをしたりするくらいしかできず、ずっとモヤモヤした気持ちでいました。
今、中医学やリハビリについて深く勉強するようになって思うことは、こういう子に対して、
出来ることは山ほどあるな
ということです。
当時の私も、ただ『痴呆だから仕方ない』『年だから仕方ない』と思っていて、効くお薬もないからステロイドや鎮静剤を使うしかないのだと、思い込んでいました。
でも例えばこの柴犬ちゃんにしても、
どうして足腰が弱ってきたのか?
どうして失禁も出てきたのか?
どうして甲状腺ホルモンがなくなってきたのか?
どうして耳が遠くなってきたのか?
今思うとこれらは全て、中医学でいう
腎の弱りから来ている
と考えられるので、
じゃあ補腎してあげよう、関節が痛いなら鍼やマッサージをしてあげよう、筋肉が落ちてきているなら、筋肉が少しでもつくようなリハビリを考えてあげよう、、、
といろいろやれることが出てくるのです。
私がやれることを中医学だけでなくいろいろと総動員して、この子にとってベストな治療を考えていきます。
夜鳴きだって、起きたいのに起きれないから鳴いてる子もいる、不安でたまらないから鳴いてる子もいる。
今はその原因を突き止めて、そこに対する治療をしていけるので、夜鳴きを根本から治すことだってやれます。
当時、夜鳴きに悩む飼い主さんから安楽死を頼まれて泣く泣くやったことも正直あります。
あのとき今のような治療法を知っていたら、もっと助けられる命があったかもしれない。
実は、今、本の執筆をしていて、どうやったら多くの人にこんな治療法を知ってもらえるかな、どうやったらたくさんの子が助けられるのかな、そう思いながら四苦八苦しながら書いています。
こういう子たちの治療の選択肢がもっと増えて、本当は寝たきりにならなくてもいい、安楽死なんてしなくてもいい、いつかそんな動物医療の世界になってほしいです。
私が将来作りたいと思っている施設もそのための施設です。
やらなきゃいけないこと、やりたいことがたくさんあって、頭の中がグルグル、グルグル回ってる毎日です、、、
でも時間がない、、、
誰か私に時間をくださいーーーーー