「この裁判で勝てないのなら弁護士バッジを外します」
「(敗訴したら)刑事事件(の弁護)はやめます」
弁護団の弁護士たちにそこまで言わしめた、でっち上げ事件。
43名にかけられた冤罪は3年8ヶ月かかって全員無罪となった。
1990年に、一人の刑事が聞いた話をもとにして、
「これならイケる」筋書きを立て、証人の証言を誘導し、
市民にシナリオどおりの自白調書にサインを強要。
高齢者や病弱な方々、女性たちも含めた一般市民43名に対し、
暴力団相手の部署に勤務する警察官たちが、
なぶり傷めつける非道な取り調べを当然のように行い、
もちろん暴力もふるい、
目いっぱい公権力をふるった功績としてか、
この刑事は表彰されている。
1993年にどうにかこうにか弁護団のおかげで冤罪は晴らされた。
証人の証言を崩し、アリバイの矛盾を根気よく指摘して、
もともとあり得ない、筋書きのずさんさを証明せねばならなかった。
マスコミに対する警察と検察の出したコメントは、
「有罪と確信していたので遺憾」
「警察の取調べは適正だった」
公権力を背景に持つ組織の人間たちの姿に目をそむけたくなる・・
私たち人間の、ごうまんそのものの姿には、
反省や謝罪を求める気持ちさえ、わいてこない・・
『ある日突然犯人に−無罪判決の教訓−』
タイトルにひかれて選んだ本。
無罪判決を聞く前に、お亡くなりになった方もおられたそう。
取り調べ二日で腎盂炎で入院した女性も・・
人を殺すに刃物はいらないのですね・・あっけない・・
数日の取調べを受けただけで、心を踏みにじられただけで、
死んだように生きてるという状態に陥った人々も・・
どの人も、またその身内も、一生消えない心の傷を負ったと発言してる。
警察の取調べは、札人行為の言い換えになりかねないことを、知る。
250ページ余りの内容ですが、215ページから読みました。
「被告人とされた人達の声」を先に読みました。
罪を着せられ、ウソの自白調書にサインした無念の人々の声。
共通してるのは「信じていたものに裏切られた」というショック。
「反省を」「二度と繰り返さないで」「謝罪は?」
「なぜ警察がこんなことを?」「なぜ検察がこんなふるまいを?」
警察だからこそ、検察だからこそとならないのが、なおのこと痛々しい・・
「警察という肩書きがあるだけで、
中身はやくざと同等」という発言ありましたが、やくざ以下。
やくざは偽らないし隠さない。
誰が見てもわかりやすい。
やくざと同じことする組織で、「正義」の仮面をかぶって、
マスコミに守ってもらって、平素から市民をだまして威張ってる。
その罪はやくざより格段に重い。
ち・が・う・・?
仙波敏郎氏の名を知って以来、
社会正義の仮面を被った人々の実態を、
市民に知らせる告発の書に目を向けるようになった。
正義の仮面をつけた組織の悪行を赤裸々に暴くのは、
まさに公権力の組織内にいた人間たちでもある。
外の人間には想像もつかない日常茶飯・・
信じられないのです・・信じたくもない・・
内部に籍を置き、しかも働きがまじめで優秀だった方々が、
一生かけた取材から筆をとり、
組織内部のことを暴露して下さっている。
それが一人や二人でなく・・ここ最近の話に限らず・・
少なくとも百年前からずっと変わらない警察の日常業務・・
公権力を手にした人間たちが、
民間に向けてふるう暴力の数々の一端が、
記録され、語られ続けてきた・・
自分の耳に聞こえていただろうか彼らの声が?
甘い虚偽の言葉に誘導されてただけ、だったのではないか・・?
暴力団員にとらわれて嘘の証言を強要されていたのなら、
こうまでひどい精神的苦悩と不条理を感じることはなかった?
死と隣り合わせの危機的状況を体験した理由は、
警察や検察組織を日頃から信じて疑わなかったから、なのでは?
神のように無条件に崇拝して、当たり前に国と国の組織を信じてた、
個人の心の支えでもあった警察や検察が、
暴力と嘘で固められた腐敗組織であったことを、
身をもって叩きこまれたからこその苦しみではなかったかとお察しする。
このような告発本を、冷静な気持ちで手に取るのは非常にむずかしい。
しかし次第に、自身の反省へとつながってきた。
彼らを信じるよう、うかうかと誘導に流されてきた、
自分の弱さ愚かさに対する反省へと・・
だまされることに対する猛省へと・・
「警察だから検察だから上等な人間」と信じるのは間違っていた。
高い税金払ってやってるからと、あぐらかいたのが間違いだった。
「白衣を着てるから優秀で清廉潔白な人間」と信じるのも大きな間違い。
みんな自分と同じ弱い人間・・
そのうえ公権力を持たせられてるぶん誘惑に負けて、
始末に負えない・・
自分たちを上等で優秀で清廉潔白で、
何をやっても許されると本気で思う人たちが何をしでかすか・・
自分の判断の間違いは、必ず自分や家族の命を危険にさらすことになる。
自分や家族の命も健康も、なけなしの資産も、
誰が守ってくれるって、自分たちが守る以外ないんだってこと、
自分自身に言い聞かせながら記事を追うようになってきた。
自分のしあわせも、自分で築く以外にありません。
弱くて卑怯な自分自身に、こんこんと言い聞かせています。
被害者の方々の辛酸をなめた体験を、しんしに受け止めたい。
本日も読んでくださり、ありがとうございました。
どうか心安らかにお過ごしください。
日本弁護士連合会:公職選挙法違反事件の無罪判決をうけて (nichibenren.or.jp)