「仙波さんご覧になって、何かやっぱり、

自死と報じられているのとはちょっと違うなと、

お感じになるような部分もあったわけですか?」

仙波「ですから、彼(黒木昭雄氏)が亡くなったことが私の耳に入ったのは、

東京のジャーナリストからなんですね。 

亡くなったということを言う前に『仙波さん、次はあなたの番だよ』と。

これが第一報ですよ。

『何のこと?』って言うと、

『黒木さんが亡くなった』と、『次はあなただよ』と。

だったらもう、それが自殺であるとか事故死ということは、

考えられないですね、その内容からは。

ですから現に、岩手県警の不祥事ですね。

初動捜査のミスであるとか、捜査方針のミスであるとか、

そういうことを彼はもう直球勝負してましたからね。

で僕はその経緯知ってましたし、だから、そういう風に、

私が裏金を告発したことはですね、

黒木さんとダブってしまう方が、いるわけですよ」

 

「なるほどなるほど。ジャーナリストは重ね合わせてるんですね」

仙波「そうです。ですから最初の質問であった、

その色々、こう圧力というのはですね、そこなんです」

「うん、なるほど。究極はね、邪魔者を消せという話になるんですけど、

そこまでいかなくても、一番あり得ることは、

社会的な信用性を失墜させる、何かスキャンダルを、

表に露見させるとかですね、色々の形で仙波さんの口封じといいますか、

社会的発言をしていくのを、できるだけさせないようにする、

もしくは、発言してもそれが大きくならないように。 

一生懸命、社会に伝えたつもりでも、

あまり届かないレベルに押し込めておくといいますか、

そういうことになるんだろうと思うんです。

 

もちろん今まで既存メディアでお話したことは、

何度もあると思いますけれども、

十二分にまだ届いていないという思いが、

おありなんじゃないかなと思うんですね。

今日のところは本当にあの全く無編集ですし中継ですし、

ですから、もう思い切って、

言えるだけのことを言っていただきたいと思います。

リスクはあると思いますし、リスクは仙波さんだけでなく、

私にも大部分あるかもしれませんけれども、

そこはですね、ささやかながら、

仙波さんの千分の一、万分の一の勇気を持って、

お伝えするのに、ご協力させていただきたいという風に思いますけど。

 

仙波「もう本当嬉しく感じます。

ただかなり覚悟しないと、私に接するのはですね。 

もう丸腰で戦争に行くこともないですから。

私は現職の時は拳銃持ってましたしね。

少なくとも仕事中は、いつも携帯してましたから。

ところが仕事を離れると、当然、丸腰ですね。

だけど気持ちは、耐えず バリア張ってました。

東京へ出てきても、電車に乗る時は一番前に出ないとか、

ビルをこう上がる時もですね、やはり危険な場所へ行かないとか、

360度、目を光らすとか、そういう状態で、

携帯で話す場合は、もう盗られてもいいことを話すわけです。

どうしても大事なことは、公衆電話使うとか、

今の時代はファックスは取れないんですよ、今の警察の力では。

ところが他は全部取れます、パソコンもですね。 

まあそんなことでやってきましたけど。

 

裏金ということを、市民の皆さんは、必要悪だという方もいるわけですね。 

なにか物を買う時に予算がないと、

じゃあこちらのお金を少し多めに、その要求してプールして、

そのお金を運用すると。

それもある意味、必要ではないかと、言う方もいるわけです。

官公庁には確かに「預け金」という感じでやってる場合もあります。

これは、ないところがないでしょう。

ところが日本の警察の裏金というのは、

そういったもんと類が違うんですね」

 

「例えばこの一つの事業のために、予算を確保したい、

しかし予算というのは、配分がなかなかね、これまでの慣行もあるし、

ピタッと当てはまるような予算が十分に取れるとは限らない。

だから色々なことが起こるから、別種のところに予算を確保しておいて、

この事件やこういう操作のために、つまり公務のために、

こちら側の予算を使うと・・こういうことであれば、

うまく融通して、公務に役立てているんだというのであれば、

まだしも、もちろん良い悪いは別として、見逃せる。

だけどこの場合の裏金はポケットに入れてるという話ですから、 

つまりは公費で捜査に使う、警察としての公務に使うという名目で、

実は私腹をこやしている、という話ですね?

だから全くもって、

最初のお話にあった「預け金」のような形のものではない。

性質がまったく違うということですね。

どういうカラクリ、でそれは作られるのか、

その手口というのを、教えていただきますか」

 

仙波「その前にやっぱり、

今の日本の警察のシステムを分かって欲しいんですけども 、

これは昭和29年に今の警察制度ができたんです。

  「戦後に」

仙波「はい。で33年に北海道巡査になったあの原田宏二さん、

その当時に、もうすでにあったと言います。裏金がですね。

私が愛媛県巡査が昭和42年です。当然ありました

ということは、今の日本の警察制度ができた昭和29年と同時に、

裏金制度ができあがった。全国共通、金太郎飴ですね。

  「全国共通・・はい・・」

仙波「ということは五百人のキャリアが考え出したシステムだということは、

とうぜん推定ですけども、断定してもいいでしょう。同じですから」

 

  「なるほど。ということは、

たいがいは現場で働いている、ノンキャリアの警察官というのは、

そうそう全国を異動することはない」

仙波「ないです」 

  「というと、全国の警察を、上から管理する立場にいるキャリアの、

上級公務員である彼らが、システムを考えて全国一律に」

仙波「そうです」

  「浸透させた」

仙波「そうです。それを私が先輩から聞きますと、

当初はキャリアが、いま愛媛県警二千五百人レベルでは四人ぐらい、

いるわけです。

その四人のキャリアが、ほとんど東京ですから、家が。

彼らが愛媛県に来る 往復飛行機ですね、 

キャリアの給料で、そんなに東京松山を往復できない。

じゃあその家族が来たり、自分が帰ったりする、

その費用を、最初は捻出するためにできたんではないか、

ということを、先輩から聞きました。

それが広がっていって結局、自分の飲み食いに使う、

そのために、さっき言いました全員が犯罪者というのは、

その裏金を作るために偽領収書がいるわけですね。 

その偽領収書って、簡単に言いますけど、私文書偽造ですから、

3月以上5年以下の懲役 ですそれを全ての警官に書かす」

 

  「つまりこれは捜査費?」

仙波「それは捜査費の場合だけ、ですよ。いや、裏金の一部です」

  「裏金のこれは一部。その一部の手口として、捜査費として」

仙波「捜査協力費と言ったほうがわかりやすい」

  

  「捜査協力費、つまり情報を提供してくれた人に対する謝礼として、

領収書を偽造するということですね?」

仙波「で、警察というのは非常に言葉が、言葉遊びがうまいですから、

今おっしゃったように『捜査費』とおっしゃったでしょ?」

  「はい」

仙波「『捜査費』というのは、

警察の中では『国費の捜査協力費』のことなんです。

でも、市民の皆さんは、捜査費と言ったら、

犯罪捜査に使ったお金だと思うわけです」

  「そうですね」

仙波「そういう風に、言葉遊びで騙してるんです。

そして県費の、都道府県費の協力費はというと、

『捜査報償費』と名前を変えているんです。

じっさいの犯罪捜査に使った費用は『捜査費用』といいます」

 

注:警察用語において、捜査費という単語の意味は、

国から出る捜査協力費プラス都道府県から出る捜査報償費を指す。

警察が捜査費というときの意味は、

捜査に情報提供してくれた市民に対して渡す、謝礼金のことであるが、

じっさいは市民に渡されず、裏金としてプールするのが慣行。

社会一般の感覚では、捜査費というくらいだから、

犯罪捜査全体に使う必要経費だとカンチガイしてしまう。

一般の市民の言う、捜査全体にかかる経費は、

警察用語では捜査費用という別の単語となっている。

ややこしいけれども、ややこしいがゆえに、目くらましとして利用される。

 

  「なるほど『捜査費用』なんですね」

仙波「ところがマスコミの方も含めて、

『捜査費』という言葉を、おそらく『査費費用』の意味で言ってるんです」

  「そう。私も今、そういう意味でもちろん言いました」

仙波「そうじゃないんですよね。それは捜査費用。

ですから捜査費というと、

警備公安を中心とした、国の公安に関わるという風な内容の、

捜査協力費のことです。

 

それが大体、年間、国費の捜査協力費がですね、大体年間60億ぐらい。

そして都道府県費が90億円。

トータル150億ですね。 

捜査協力費だけで150億の、99%が裏金ですから。99%ですよ。

本当は僕100%と言いたいんです。

ところが赤旗新聞取ったりですね、

本当に協力してくれた方に、ちょっと石鹸箱持ってくとか、

お菓子持っていくとか、そういう風に使う場合も、

ごくごくまれにあるわけです。

 

それも捜査協力費という協力費、国費も県費も、

元々裏金にするために出来た制度ですから。

もともと裏金ですから。スタートが」

 

  「その・・費用の一部を、コソコソ コソコソと、

私物化してったというのではないんですね?」

仙波「そうではないんです。スタートなんです。

スタートが、もう全て、裏金ですから、

それを考えたのが、やはりキャリアでしょう」 

  「それは確信はあるんですか?」

仙波「もちろん、もう100%です。

私がそのことを裁判所でも言ってますし、今まで97回講演してます。

現職で60回それを言って、

『仙波違ってるよ、何言ってんだ』と誰も言わないですね。

だから私の本にも書きましたそのことを」

 

(2時間17分00秒~2時間28分39秒)

 

 

 

警察の闇を語る/仙波敏郎/裏金告発 (youtube.com)