貿易のありようが、日本を変えてきた。
貿易のありようが、私の生活を作り、私の思考を形成してた。
やっと・・この話ができる時を迎えたと思う。
日本の食糧自給率は危機的に低い・・
それは耳にタコできるほど聞いている。
国内の生産現場が手薄となって、
食糧も日用品も、ありとあらゆる製品が、
海外から供給されている・・
日本のものづくりが、技術力が、失われてく・・
それも耳タコ。
ずっと言われ続けながら何も変わってないどころか、です。
自然農なんかが一つのブームになったり、
「自給自足」を人生のテーマに感じたりするのも、
当然という社会状況じゃないかと個人的には思う。
大学に進学して東京に住まうようになったころ、
私は一冊の本に出会いました。
『もうひとつの日本地図』(1985年)。
現在アマゾンで4万円近い・・
この本は、各地に移住した方のメッセージで構成されている。
一軒当たり見開き2ページ。
思い思いの写真と文章がつづられ、住所と連絡先が書かれてる。
今でいうホームページ・・個人宅の・・
「訪問者歓迎」というところがたくさんありました。
今でいうWWOOF(ウーフ)ですね・・
田舎生活体験・移住生活体験を、個人宅でやってるところが掲載されていた。
全国にたくさんあって・・学生だった私は隅から隅まで目を通しました。
「脱サラして自然豊かな環境で子供たちを育てたい」
「自給自足的な生活をしたい」
「何もかもお金で済ませる生活は、よくないように思う」
およそ動機として、そんな印象があった。
東京を疎開して・・
わざわざ過疎地に移住したり・・限界集落へ、離島へと移住したり・・
そんな流れを感じました。
高学歴・高収入だった方が少なくありませんでした。
すべてを捨てて家族を連れて、移住・疎開したという感じ・・
そんな人たちと過ごすうちに、
物との関係が、自分の中で非常に希薄な状態だってことに、
当時の自分は気がついたのだと思います。
自分の持っている物への愛着が、ないのです。
だって・・外には新製品があふれてるでしょう。
買い換えたくて買い換えたくてしょうがない気持ちを刺激されます。
食べ物だって同じで・・自分の手に入ったとたんに、
「それよりこっちのほうが、もっといいよ」
「こんなものもあるよ」という情報が入ってくる。
ず~っと、ず~っと、そんな気持ちで生活させられる・・
愛着など持つ暇はない。
そして常にお金が必要なんです。
金銭欲が刺激されますよね。
どんなにひどい労働環境でも、ひどい労働条件でも・・高収入を求めて・・
意にそぐわないことばかりやらなきゃいけない・・
つまり幸せな生活のためには、
その何倍もの不幸・辛酸をなめなきゃいけないという構図です!
自分は『もうひとつの・・』の中から何件かに手紙を書き、
何件か訪問して短期滞在をして・・
家族の一員のように過ごすことができた。
これは大きなショックでした・・
人生初・・味わったことのないファミリー気分を味わいました!
ホストファミリーは、見知らぬ人々を自分の家に受け入れる人たちで、
家庭経営・管理の才があるというか・・
家族や身内とは大きく異なってました!
そして、移住を希望するなら手伝ってくれる・・
彼らには、互いに助け合える、移住者のコミュニティを求める気持ちもあった。
新参者としてのつらさ・・それを話してくれたところもありました・・
それで・・より奥地へ、自然環境の厳しいところへと向かう傾向も・・
話はずいぶん脱線しましたが・・
彼らとの会話は大学の講義より刺激的だった。
そして・・貿易に頼りすぎる日本の流れ、そこに危機感を持っておられた。
それと・・厳しい自然の中で生活することを楽しむ・・
楽観的に生きる姿勢を身に着けておられた。
食べ物だけでなく、自分の手で作れるものは自分で作る。
でないと、お金がかかってしょうがない。
お金をつくるには・・多少なりとも不幸な時間を過ごすでしょう・・
人にやらせるから、お金がかかる。
自分でやれば、お金かからない。
調べて研究してみて理解して、失敗を恐れず、いろいろやってました。
そのことを趣味として楽しんでもいました。
個人単位でいえば、自給自足というのはそういうことだろうと思う。
そして、そのような個々人の生活の営みが、
食糧自給率を底上げし、
食糧生産の空洞化および食糧以外の生産の空洞化をなくしてくことでしょう。
日本全体として、貿易に頼る体質を抜け出して、
お金を稼ぐことよりも、生活を充実させ、生活を楽しむということに、
シフトしてく・・これから必ず、そうなってくる。
それが許される状況になる。
自由貿易という考え方が消えていく。
不換紙幣がなくなって金本位制になって、貨幣そのもののありようが変わる。
基軸通貨が消え、通貨は世界平等となり、
「安い土地」「安い労働力」を海外に求めることもなくなる。
生産のありようも、貿易のありようも、変わる。
国内に目が向くようになり、国際競争・ビジネス中心の思考が、
生活中心の思考へと、シフトする。
自分はそのように予想する。
今日明日というわけにもいかないでしょうが、
世界全体の大きな流れとして・・
今の自分は日本の将来に、大きな希望を感じてる。
また旅に出たいな・・