ことのは 122 対話とは『きき合う営み』である | マネジメントの「ことのは」  ==福岡明善の「学びのヒント」==

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こんにちは。

 

“マネジメント人財の目利き&「大人の学び」の案内人”福岡 明善です。

 

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ことのは 122

 

対話とは『きき合う営み』である

 

永井玲衣、朝日新聞デジタル、2023年8月11日)

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 哲学対話についてご存じの方は多いと思います。

 

私は詳しくないので、以下の資料(「哲学対話とは何か」

 https://beyondboundaries.jp/reading/220315-1/ )を参考にすると、

 

     「哲学対話」とは、

     哲学者の名前や概念など哲学史の知識を一切必要とせず、

     「自由とは何か」、「働くとは何か」といった問いをめぐって、

     10名前後のグループでの対話を通じて

     考えを深める実践である。

     「相手の話を否定や揶揄しない」、

     「その限り何を発言しても自由」

     といったいくつかのルールがあり、

     ファシリテーターの進行のもとで対話が行われるが、

     なんらかの結論や意見の良し悪しを求めるものではない。

     対話を通じて思考を深めることがその目的である。

 

という定義のようです。

 

 永井玲衣さんは、哲学対話を実践されている哲学者です。

永井さんは、次のようにお話しされます。

 

 

 

     哲学対話では約束事をします。

     『よくきく』『自分の言葉で話す』

     『〈結局、人それぞれ〉で終わらせない』

     といったものです。

     『わからなくなっていい』

     『良いことを言わなくてもいい』

     場所だと伝えます。

     それは、

     私たちが普段とらわれている『大丈夫じゃなさ』の

     裏返しでもあります。

     つまり、

     私たちは、しゃべりすぎているし、

     急ぎすぎているし、

     良いことを言わないといけない、

     と思っている。

     ある意味それをひっくり返すのです。

 

 

 

 その上で、

永井さんは「対話」を以下のように位置づけています。

 

 

 

     対話って、話すとか語るとか、

     言葉がポンポン行き交うものだと思われがちですが、

     『きき合う営み』だと思います。

     相手の言葉の奥行きと、

     そこにあるものを確かめていく道のりです。

     誰かの言葉に耳を澄ますだけでなく、

     どういうことなんだろう、

     なぜここで言いよどんだのだろうと、

     考え確かめていく。

     どうしてですか、

     と尋ねる『訊(き)く』もあるはずだし、

     共に悩むなど時間的なものを共有する営みでもあるはずです。

 

 

 

 一方、「対話」は必ずしも万能ではありません。

 

永井さんは、次のようなことも仰っています。

 

 

 

     対話にすごく希望を感じながらも、

     対話にすべては担えない、

     とも思っています。

     決断しなければいけない場面や、

     問題に対して『それは違う』と

     はっきり態度を示す場面は別です。

     例えば、

     入管法の改定に『おかしい』と

     反対することは対話とは違います。

     でも、

     『多様な人と共に生きるってどういうことなんだろう』

     といった対話をしていないと、意思表示はできない。

     実は、

     結論を出すことや態度を示すことにちゃんとつながっているんだ、

     ということは言いたいです。

 

 

 

 「対話」は、「会話」とは違います。

「協議」や「議論」とも異なります。

では、

私たちは「対話」をどれくらい意識的に実践しているのでしょうか。

 

 永井さんのお話をうかがって、

そのようなことをあらためて考えさせられました。

 

 では、また。Bonne journée !

 

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