相続対策保険ではこんな所にも注意が必要! | 福岡の資産税専門税理士・行政書士のブログ        ■相続のアドバイスと不動産賃貸経営のパートナー■

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  山本扶美子税理士事務所
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 平成25年分の確定申告、それから年末調整に向けて、「生命保険料控除証明書」が届いている時期かと思います。

 この証明書には、加入内容がすべて記載されているわけではないので、加入から相当期間が経過していたりすると、記憶違いなどで、ご自分が把握されている内容と、実際が違っていたりする事がよくあります。

 また、当初の加入目的とは現状が違ってきているため、保険の見直しをした方がよい場合などもあります。

 以前、ご相談のお客様で、保険金受取人がお亡くなりになったため、他の方へ変更しようと思っていたところ、その手続きを忘れたままで次の相続が発生してしまい、相続人のあいだでもめてしまった・・・という方がいらっしゃいました。

 時期的によい機会ですので、一度、内容をご確認されてみてはいかがでしょうか?

 それから、こんな方もいらっしゃいました。

 父親を亡くされた、娘のAさん。
 実はAさん、前妻との間の子供さんで、そのことを配慮して、父親から生前に、それなりの贈与を受けていたため、遺産分割の際、Aさんはなにも相続しないつもりでした。

 相続人は他に、後妻の子供さんが2人いるので、もめないためにも
、正式に相続放棄の手続きをとったそうです。

 ところが、父親が契約者(保険料負担者)で被保険者である生命保険契約に係る死亡保険金の受取人がAさんとなっているものがあり、その保険金1,500万円を受け取る事となったのです。

 この保険については、生前に父親から話を聞いていたので、相続の放棄をしても、保険金の受け取りについて問題ない事は確認していました。

 ですが、問題はそこではなかったのです。

 父親から、
「相続人が3人なので、死亡保険金については1,500万円までは非課税となり、相続税はかからないから!」
と聞いていたそうですが・・・

 残念ながら、色々とめんどうな事になりそうです。


 まず、Aさん、相続を放棄したため相続人ではありません。

 これにより、Aさんに相続税法上の生命保険金の非課税規定は適用できない上に、相続人でなくても、みなし相続財産として相続税が課税されてしまいます。

 つまり、基礎控除を超えていたため、相続税の申告をしないといけなくなってしまった訳です。
 当然、いくら保険金を受け取ったのか他の相続人にも分かってしまいます。

 しかも、保険金を受け取ったのはAさんだけで、結局、生命保険金の非課税規定は誰も使えなかったため、これにより相続税額も上がってしまいました。


 それだけではありません。

 被相続人からの相続開始前3年以内の贈与については、相続税の課税価格に含め直して相続税額を計算しますが、Aさんもそういった贈与を受けていたため、これについても他の相続人の知るところとなってしまったのです。


 せっかく、もめないために相続放棄をしたのに、これがかえって裏目となって出てしまいました。
 本当に残念です。

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