救急のABCは気道Airwayから始まります。
「Airwayの危機」
気道の危機を脱するために必要なことは、
普通は気管挿管です。
![](https://stat.ameba.jp/user_images/20150426/10/fukuoka-er/42/20/p/o0248011813287329096.png?caw=800)
口から気管に管を挿入する方法です。
水中に沈んでいる忍者が、竹の筒で息をしていた絵を思い出してください。
すいとんの術の竹の筒は、とても重要な気道確保の手段であり、気管挿管チューブと同じ役割を果たしているといえます。
(ちなみに本当にすいとんの術を行おうとすると、とてつもなく苦しいのでやめましょう)
気道確保が困難であるとき、我々はそれを
Difficult Airway
ディフィカルト・エアウェイ
と呼びます。
Difficult Airwayは、救急の現場において最も緊張する場面の一つであり、入念な準備が求められます。
今回は、当院ERの医者が「Difficult Airwayのために準備している8つの事」をご紹介いたします。
①戦略の準備
これが最も重要です。
②ガムエラスティックブジーの使用
細い管を先に挿入して、それをガイドに太いチューブを挿入します。
③気管支鏡の使用
「MAF-TM」
細い管すら入れることが困難であれば、管の先端を画面で見ながら、管をクネクネ曲げながら挿入します。
④ビデオ喉頭鏡の使用
「McGRATH」
口の中をビデオ画面に映し出し、見づらい部位をチェックしながらチューブを挿入します。
⑤筋弛緩薬の上手な使用
筋肉をグニャグニャにして口を大きく開けます。
最近のERでは、基本的には筋弛緩薬を使用することになります。
しかし使い方を誤れば諸刃の刃ともなり、注意が必要です。
諸刃の刃である筋弛緩薬の効き目を、数分で打ち消してくれる薬です。
お守りとしてERに常備されています。
そして、、、気管挿管ができないときは、、、
⑥声門上器具の上手な使用
チューブの代わりに口に入れて、気管に酸素を送り込みます。
⑦首から直接、管を入れる
「Melker Cricothyrotomy Catherter Sets」
⑧首をメスで切開する・・・最終手段
日常から気管切開で技術を磨くことも重要ですが、内科系救急医のために定期的にブタの喉頭で首を切開する練習を行っています。
実際には8つでは語りきれない事柄が、山のようにある分野ではあります。
今後も入念な準備のもと、Difficult Airwayをマネージメントし続ける所存です。