福岡ER ~日々奮闘中!~

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年間10,000件以上の救急車を受け入れる九州で一番熱いERの日常にせまるブログです!!


汗と涙の感動秘話を是非御覧ください!!

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が皆で力を合わせ、年間10000件以上の救急車を受け入れています



2014年9月 新病院移転


救急搬入ベッド11個(精神科患者用1個)

観察室8床

ER-ICUベッド5床

新興感染症用搬入(陰圧)1個

除染スペース2か所

外来6室


パワーアップした特大ERで

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ERのSです。

新年度、当院ERのスタッフは8名から10名に増えました。

ICUのK先生も含めて11名で救急初期診療を行っています。

 
 
新しいメンバーの1人はわたくしです。1年間は麻酔科に所属していましたが、4月からERに戻ってきました。

今年度も1週間に1日は麻酔を継続して麻酔科標榜医を目指す予定です。

 

もう1人は外科専門医のI先生です。

これまで外科医として主に消化管の手術を執刀されてきていました。

初期研修ではER診療に携わっており、ICUでの全身管理も経験されています。

 

 

これで当院のER・ICUの医師は

 

救急科専門医 7名

集中治療専門医 1名

外科専門医 1名

消化器外科専門医 1名

麻酔科標榜医 1名

整形外科専門医 1名

循環器科専門医 1名

小児科専門医 1名

内科専門医 1名(内科認定医 3名)

糖尿病専門医 1名

DMAT隊員 4名

TMAT隊員 2名

国際緊急援助隊隊員 1名
ICLSディレクター 2名
JATECインストラクター 2名
 
という大所帯になります。
ER型の救急でこれだけ多くの専門医が集っている病院は他にないと思います。
 
それぞれの得意分野を生かし、部署の中で切磋琢磨して、クオリティの高い救急診療を行うことを目指します!!
 
 
【S】

東日本大震災から7年・・・

災害拠点病院になって2年・・・

 

2018年3月3日、当院初の大規模な総合防災訓練を実施しました。


 

朝9時から17時過ぎまでの訓練の様子をご紹介します。

他の訓練の参考にしていただけると幸いです。

 

 

 

当院の職員150名

この地域の医師会に所属する病院から20名

看護学生50名

消防署から救急隊10名

 

合計230名の参加でした。

 

 

 

午前9時、講堂に職員が集合。

 

 

 

 

午前10時

午後10時に発災の想定です。(訓練は午前10時開始です)

 

 

 

まずは各部署のリーダーが災害の宣言を行います。

 

 

ERからは館内放送をかけて、部署ごとに被災状況をまとめて、被災状況報告書を提出するように指示します。

 

 

各部署で準備しているアクションカードを使用して安全の確認を行います。

 

 

 

 

 

 

 

防災センター

 

ME(臨床工学技士)

 

病棟の看護師

 

臨床検査技師

 

放射線部門

 

 

あらゆる部署・職種から情報が集まります。

 

 

 

研修医は災害対策本部設置の手伝いをします。

 

 

ようやく本部の形が少しずつ出来上がってきました。

 

 

午前11時

その間にも少しずつ患者が集まってきました。

 

 

 

患者役の人は自分の状況を記載した想定用紙を持って入ってきます。

これをもとに診療を行っていきます。

 

 

今回はERのスタッフにお願いして、100人の患者さんの想定用紙を作成しました。

 

 

 

 

参集した職員に簡易ベッドを設置するようにお願いしました。

 

 

 

普段、会計などを行っている医事課の職員が患者リストを作成するための受け付けを設置しています。

 

 

トリアージタッグの1枚目を使って患者リストを作成していきます。

 

 

 

 

病棟では重症の患者のピックアップや、退院可能な患者さんの選別を行います。

 

 

 

 

大地震では安全の確認が取れるまではエレベーターの使用は控えることになります。

病棟からは、「エアー・ストレッチャー」という器具を使って、負傷した患者さんを外来に降ろしました。

 

 

 

病院玄関には「災害時受付」を作成して、外部から来院した人の当院登録を行います。

 


 

 

 

 

 

12時-13時 昼休み

訓練なので、いったん昼食を食べて、元気がでたら再スタートです!!

 

 

ここからは、さらに参加者が増えます。

 

 

夜間は人手がないので、仮の災害対策本部を1階のERに置いていましたが、

職員の参集にともなって、災害対策本部を1階から4階に移動させます。

 

 

 

 

 

本部の窓際に、衛星電話を設置して、固定回線が途切れていても電話やインターネットが使えるようにします。

 

 

 

  

患者さんがぞくぞくとやってきました。

 

 

トランシーバーを駆使して対応します。

 

 

 

 

 

歩ける患者さんには、自分でトリアージタッグや紙カルテに個人情報を記載してもらいます。

 

 

 

いまはパソコンによる電子カルテの時代です。

研修医は初めての紙カルテの記載に四苦八苦している様子でした。

 

 

 

紙の伝票を使うのにも慣れていません。

 

 

 

 

伝票を運ぶメッセンジャー役も大変です。

 

 

 

 

メッセンジャーが検査室に運んだ伝票を受け取り、結果を手書きで返すというところまで行いました。

 

 

 

 

 

 

また救急車で搬入する模擬患者さんは、控室から救急搬入口まで、実際に救急隊員に搬送してもらいました。

 

 

 

 

 

 

14時

 

近隣の病院から来院したチームが、医師会の災害対策調整本部を設置しました。

 

 

 

 

医師会の調整本部の第一の任務は、この地域の病院の被災状況の把握です。

 

 

 

 

EMISと呼ばれるインターネット上のシステムにログインし、病院ごとの被災状況を把握します。

 

この日はEMISを訓練モードに変更しており、地域の12の病院に実際にEMISに被災状況の入力を行って頂きました。

その情報を当院に詰めている医師会のチームが収集していきます。

 

 

 

 

15時

院内の災害対策本部では、4階に病床を増床することを決定。

自力歩行が可能な患者さんの中からピックアップして、4階に移動してもらうことになりました。

簡易ベッドを大量に設置して、新病棟を作ります。

 

 

 

 

 

災害時には、病院の入り口と出口を別々にして、できるだけ一方通行にすることが大切です。

 

 

 

裏の出口のそばに簡易薬局を設置して、実際に薬袋を渡す作業まで行いました。

 

 

 

また医事課の職員は、トリアージタッグの情報から作成した患者リストを、随時パソコンに打ち込んで行って外来患者数を正確に把握していきます。

 

 

 

 

16時 訓練終了!!

 

長い訓練はようやく終了。お疲れ様でした。

 

講堂に戻って、本日中の反省を話し合いました。

 

 

 

  

 

医師会チームのリーダーをしていただいた済生会二日市病院の宮川貴圭先生にEMISに関する発表をしていただきました。

 

そして訓練の最後に、小波瀬病院・災害医療対策室室長の馬渡博志さんに病院防災に関するショートレクチャーをしていただきました。

 

 

 

レクチャーの中で東日本大震災の多くの写真を提示されました。

病院防災について切迫感をもって感じさせられる凄いレクチャーでした。

 

 

病院防災は、病院に関わる全ての人を対象にして計画していかなければなりません。

 

院内のコンビニやコーヒーショップ、院内の床屋の店員、清掃業者の方々、職員の保育園、提携する老健施設など、まだまだ巻き込んでいかなければならない人がいます。

 

また透析室・手術室・カテーテル検査室・化学療法室・内視鏡室・食堂などの特殊部署の訓練を加えていく必要があります。

これが今後の課題になっていきます。

 

 

 

過去の災害で亡くなった方たちに報いるために。

 

未来の災害で出来るだけ多くの命を救うために。

 

いま我々医療者にできること。

 

それは「準備すること」だと思っています。

 

【S】

 

ERのSです。

 

当院では、救急医学会認定のICLSコース(蘇生トレーニングコース)を年間に5回以上行っています。

 

通常のICLSコースは1日コースで、心肺停止した患者の初期対応を対象にしています。

 

しかし当院のICLSコースは2日コースで、心肺停止になる前の患者の対応もシミュレーションします。

例えば心拍数が30回しかないような徐脈の患者や、心拍数が200回になって冷や汗をかいているような頻脈の患者さんの対応です。

 

 

 

心拍数が30しかないような場合で、いまにも心臓が止まりそうな心電図波形の場合にまずすべきことは

①循環器科の医者に連絡することです。

 

当院の循環器科は24時間院内に待機していますので、常に連絡することができます。

しかし万が一、循環器科の到着が遅れたとします。

その場合にすべきことは

 

②経皮ペーシングを行う事です。

 

経皮ペーシングとは、皮膚の上に電極を張り付けてそこから心臓に電気を送って、心臓を動かす方法です。

心臓って、電気の刺激で動いているんです。

機械の力で一時的に心臓を動かすというわけです。

 

 

 

先日、KBCの「アサデス。」でも、経皮ペーシングを使っているところが放送されました。

「アサデス。」の放送については前回のブログをご参照ください。

 

前回のブログ『今年も福岡ERがKBC「アサデス。」で特集されました』

http://ameblo.jp/fukuoka-er/entry-12249470790.html

 

 

 

高齢患者さんが心拍数30回を切るほどの徐脈で来院されました。

当然、すぐに循環器科の医師に連絡をとりました。

 

 

しかし患者さんの状態が急激に悪化。

運の良い事に、この時のERには循環器科専門医の救急医N先生がいました。

 

 

迅速に経皮ペーシングを実施します。

患者さんの状態は見る見るうちに良くなりました。

 

 

 

その後、循環器科で血管の中から一時的なペースメーカーを入れる治療を行われて入院しています。

 

 

今後は、永久的なペースメーカーを植え込むか検討されることと思います。

 

ICLSコースでシミュレーションしている事が、まさに現場のERでも行われています。

 

 

 

 

 

 

ERのSです。
 
2月15日、今年もKBCさんの「アサデス。」で当院ERを特集していただきました。
3年連続での特集ですので、KBCさんも現代の救急医療の問題点をしっかりと認識しています。
 
 
 
「高齢者救急」
 
取材に来られた日も、多くの高齢者の方が救急搬入されました。
89歳 男性
 
90歳 男性
 
78歳 男性
 
98歳 女性
 
最近ではこの様に100歳近い方の救急搬送も増えている印象があります。
 
 
 
 
このような高齢者の救急搬入は、全体の約6割に上ります。
 
 
 
高齢者は持病を抱えている方も多く、救急医療での診療がとても複雑化する原因になっています。
また老々介護をしている方も多く、付き添いの方も認知症を持っている場合などでは、本人も付き添いの方も、何の病気を持っているかも分からないケースが多い事も問題です。
 
 
 
 
 
 
「安易な救急要請」
 
一方で、タクシー代わりとも思われるような救急要請が社会問題になっています。
消防ではこれを「安易な要請」と呼んでいるらしいです。
 
 
 
我々のERにも、「安易な要請」と思われる患者さんの搬送は多いです。
しかし軽症で救急要請をする方というのは、強い不安を持っていることも多く、一概に悪いと決めつけてしまう事も出来ない側面もあります。
 
 
 
 
「#7119」
そこで福岡県では、どのような症状であれば救急要請をした方が良いのか、電話相談できるシステムを開始しています。
 
 
 
 
これは看護師が24時間365日、電話口で症状を聞き、救急要請するべきかなどのアドバイスに乗ってくれるシステムです。
 
 
1日に80~100件の相談とのことですから、かなりの患者さんの電話相談に乗って頂いていることになります。
 
 
「安易な要請」をただ批判するだけではなく、前向きに対応していこうという素晴らしい試みだと思います。
 
まだまだ始まったばかりのシステムですから、多くの課題もあると思われます。
多くの課題を乗り越えてこのようなシステムを成長させていけるかどうかは、利用者である(我々)患者さん自身にかかっています。
 
 
 
 
ぜひ、救急要請すべきか迷った際には「#7119」に相談して頂きたいなと思います。
 
 

ERのSです。

救急部の仕事は、毎日多数来院する救急患者を診療する事だけではありません。

 

災害が起きた時に対応する事、そのために準備する事も重要な使命の一つです。

 

 

12月17日、多数傷病者来院訓練を実施しました。

警固断層でマグニチュード8、震度7の大地震が起きたという設定です。

 

 

 

地震が起きたら、まずは職員の安全確認をします。

ここで、リーダーが『災害の宣言』を行う事が重要です。

 

ここからは『災害モード』での活動が必要となります。

 

 

 

 

ここで分厚い災害マニュアルを取り出しても、実際の役には立ちません。

 

そこでアクションカードという簡易の災害マニュアルのようなカードを沢山作ってあります。

 

 

まだまだ未完成ですが、このようなカードを集まった職員に手渡して、それぞれの業務を確認してもらいます。

 

 

 

 

 

 

災害がおきた場合、通常では考えられないくらい多くの患者さんが病院を訪れることになります。

 

ですから優先順位を決めて、緊急性が高い人から診療を開始しなければいけません。

 

そのために、緊急性に応じて「赤・黄色・緑・黒」と色分けをして、患者さんの診療スペースを分けることになります。

 

これをゾーニングと呼びます。

 

ゾーニング開始を決断し、簡易ベッドを院内に並べます。

 

多くの病院では正面玄関を診療スペースに使うことになりますが、当院はERが非常に大きいという特徴があるため、ER内に簡易ベッドを並べる形としています。

 

 

 

 

 

ゾーニング完了後は、トランシーバーをうまく使って患者さんを誘導していきます。

 

 

 

 

電子カルテが止まった場合に備えて、紙カルテでの診療も訓練しました。

 

 

今回は紙カルテの診療用に作られた、新しい検査・処方伝票の使用も試しました。

新しい伝票を3000部用意して災害に備えています。

 

 

 

 

当院では今後も定期的な災害訓練を予定しています。

患者数把握訓練、自主参集訓練、病棟避難訓練、手術室対応訓練などです。

 

 

 

訓練の後には1時間ほどかけて活発な討論がなされました。

現在、討論内容について検証し、つぎの訓練の準備をしているところです。

 

 

われわれは今後も災害拠点病院としての仕事を完遂していきます。