東日本大震災から7年・・・
災害拠点病院になって2年・・・
2018年3月3日、当院初の大規模な総合防災訓練を実施しました。
朝9時から17時過ぎまでの訓練の様子をご紹介します。
他の訓練の参考にしていただけると幸いです。
当院の職員150名
この地域の医師会に所属する病院から20名
看護学生50名
消防署から救急隊10名
合計230名の参加でした。
午前9時、講堂に職員が集合。
午前10時
午後10時に発災の想定です。(訓練は午前10時開始です)
まずは各部署のリーダーが災害の宣言を行います。
ERからは館内放送をかけて、部署ごとに被災状況をまとめて、被災状況報告書を提出するように指示します。
各部署で準備しているアクションカードを使用して安全の確認を行います。
防災センター
ME(臨床工学技士)
病棟の看護師
臨床検査技師
放射線部門
あらゆる部署・職種から情報が集まります。
研修医は災害対策本部設置の手伝いをします。
ようやく本部の形が少しずつ出来上がってきました。
午前11時
その間にも少しずつ患者が集まってきました。
患者役の人は自分の状況を記載した想定用紙を持って入ってきます。
これをもとに診療を行っていきます。
今回はERのスタッフにお願いして、100人の患者さんの想定用紙を作成しました。
参集した職員に簡易ベッドを設置するようにお願いしました。
普段、会計などを行っている医事課の職員が患者リストを作成するための受け付けを設置しています。
トリアージタッグの1枚目を使って患者リストを作成していきます。
病棟では重症の患者のピックアップや、退院可能な患者さんの選別を行います。
大地震では安全の確認が取れるまではエレベーターの使用は控えることになります。
病棟からは、「エアー・ストレッチャー」という器具を使って、負傷した患者さんを外来に降ろしました。
病院玄関には「災害時受付」を作成して、外部から来院した人の当院登録を行います。
12時-13時 昼休み
訓練なので、いったん昼食を食べて、元気がでたら再スタートです!!
ここからは、さらに参加者が増えます。
夜間は人手がないので、仮の災害対策本部を1階のERに置いていましたが、
職員の参集にともなって、災害対策本部を1階から4階に移動させます。
本部の窓際に、衛星電話を設置して、固定回線が途切れていても電話やインターネットが使えるようにします。
患者さんがぞくぞくとやってきました。
トランシーバーを駆使して対応します。
歩ける患者さんには、自分でトリアージタッグや紙カルテに個人情報を記載してもらいます。
いまはパソコンによる電子カルテの時代です。
研修医は初めての紙カルテの記載に四苦八苦している様子でした。
紙の伝票を使うのにも慣れていません。
伝票を運ぶメッセンジャー役も大変です。
メッセンジャーが検査室に運んだ伝票を受け取り、結果を手書きで返すというところまで行いました。
また救急車で搬入する模擬患者さんは、控室から救急搬入口まで、実際に救急隊員に搬送してもらいました。
14時
近隣の病院から来院したチームが、医師会の災害対策調整本部を設置しました。
医師会の調整本部の第一の任務は、この地域の病院の被災状況の把握です。
EMISと呼ばれるインターネット上のシステムにログインし、病院ごとの被災状況を把握します。
この日はEMISを訓練モードに変更しており、地域の12の病院に実際にEMISに被災状況の入力を行って頂きました。
その情報を当院に詰めている医師会のチームが収集していきます。
15時
院内の災害対策本部では、4階に病床を増床することを決定。
自力歩行が可能な患者さんの中からピックアップして、4階に移動してもらうことになりました。
簡易ベッドを大量に設置して、新病棟を作ります。
災害時には、病院の入り口と出口を別々にして、できるだけ一方通行にすることが大切です。
裏の出口のそばに簡易薬局を設置して、実際に薬袋を渡す作業まで行いました。
また医事課の職員は、トリアージタッグの情報から作成した患者リストを、随時パソコンに打ち込んで行って外来患者数を正確に把握していきます。
16時 訓練終了!!
長い訓練はようやく終了。お疲れ様でした。
講堂に戻って、本日中の反省を話し合いました。
医師会チームのリーダーをしていただいた済生会二日市病院の宮川貴圭先生にEMISに関する発表をしていただきました。
そして訓練の最後に、小波瀬病院・災害医療対策室室長の馬渡博志さんに病院防災に関するショートレクチャーをしていただきました。
レクチャーの中で東日本大震災の多くの写真を提示されました。
病院防災について切迫感をもって感じさせられる凄いレクチャーでした。
病院防災は、病院に関わる全ての人を対象にして計画していかなければなりません。
院内のコンビニやコーヒーショップ、院内の床屋の店員、清掃業者の方々、職員の保育園、提携する老健施設など、まだまだ巻き込んでいかなければならない人がいます。
また透析室・手術室・カテーテル検査室・化学療法室・内視鏡室・食堂などの特殊部署の訓練を加えていく必要があります。
これが今後の課題になっていきます。
過去の災害で亡くなった方たちに報いるために。
未来の災害で出来るだけ多くの命を救うために。
いま我々医療者にできること。
それは「準備すること」だと思っています。
【S】
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