生レバーの提供禁止?? - wasting time?


 激安ユッケの食中毒騒動に端を発して、生レバーからも出血性大腸菌が検出され、この夏にも飲食店でのレバー刺しの提供が全面禁止になろうとしている。
 確かに食の安全から考えると、死者の出る確率が高いものを消費者に自己責任で判断しろというのは困難な話ではあるが、だからと言って即全面禁止という判断が決して良いものと考えるのには無理があるように思える。文化だからと言って、盲目的に続けるだけでは同じ過ちが起きるだけである。
 原発問題にも似ているが、人々は自らが置かれた状況によって判断は大きく変わるのが常で、どちらが正しいかと議論しているだけでは、人間や文化は発展してゆかない。
 今回の一件は餅やこんにゃくゼリーや生ガキや原発と違って、フグの食文化と非常に似ている気がする。フグの調理師免許発足以前は確かではないが死者や中毒者は多く見られていたはずだし、今も裏メニューや自ら釣ったフグを自ら捌いて、死亡したり中毒症状に落ちった人は少なからずいるのである。なのにフグは全面禁止にはならない。お気づきのように、フグ食文化には専門の調理師免許(自治体によって違いはあるが・・・)が功を奏しているのではないだろうか。つまりは今回の一件で議論してゆかなければならないのは、責任の所在であり、人々の責任ある行動により、安全な生肉文化の継続をより良く発展させることが肝になるのではないだろうか。
 生肉調理師免許が制定されることには数多くのメリットが考えられる。まずは生肉文化の継続。日本独特ではあるが、これだけ様々な生肉が安全に食べられるのは、世界でも稀な自慢できる日本の文化の特徴なのだ。次に調理師の地位向上。フグの調理師同等の精肉分野で新たなマーケットの確立ができる。次に免許を持った人員獲得のため、価格破壊に歯止めがかけられ正当な価格での提供が消費者への信頼へとつながる。簡単に言うと格安のフグがあると逆に怪しいと感じるように。良い食材や手間のかかる調理というのは当然価格に反映され、飲食店も簡単に価格競争にさらされるどころか、フグのように専門店のマーケットも期待できる。そして何より、免許があることにより責任の所在がはっきりするため、罰則規定などによる抑止力が働き、調理師のモラルやスキルの向上が図れる。
 いかがでしょうか、いっそのこと生肉調理師免許制度を早急に導入して、文化の更なる発展と新たなるマーケットの確立を推し進めてみる方が、生産者消費者お互いにメリットが多くなるのではないだろうか。死亡者が出るということは大変残念で痛ましい事件ではあったが、こういう時こそ萎縮するのではなく、日本中みんなで力を合わせて更なる進化を遂げようではないか。