<北九州つめ切り事件>無罪確定看護師の解雇撤回で和解

ここ10数年の間に少額裁判をはじめ日本も訴訟大国になったもんだなぁ。これも欧米化ということで、グローバリゼーションの一環なのかと残念な溜め息がでてきそうである。なんでも状況の一面や一方の言い分で物事を判断しようとすると、問題の本質や真実までも歪められ、取り返しのつかない事態をまねきかねない。一時のヒステリックな感情ほど愚かな結果を引きだしてしまうものはない。2007年6月に起こった北九州爪はぎ事件(当時の名称)もその一つだ。単なる冤罪事件として無罪が確定し、最終的に看護師と病院側で円満退職という形で和解が成立し事件は終焉を迎えた。医療関係者側からするとこのように晴れて無罪が確定すればよいというものではない。問題はここにある。こうも簡単に訴訟になり事件化し社会問題になるようでは、医療人たちは怯えきってうかつに医療行為が出来なくなるし、将来医療人をめざす人たちのモチベーションすらそぎ落としてしまうということである。そうなると、結果的に医療人は減少し患者となる一般の人間が満足な医療行為を受けられなくなる社会を生み出すということである。この現象は既に産科において大きな問題となっているくらいである。医療行為とは、傷病疾病を治癒させるためになら唯一人を傷つけることが許された職業である。なので法的には免許を持っていれば医療行為で、免許がなければ傷害いうことになる。確かに医療過誤は問題である。故意か過失かも重要である。しかし十分な議論なしで訴訟や警察沙汰への直結は非常に危険である。生まれてきた子供に少しでも障害があると産科医は訴えられる時代である。過酷な環境の労働条件に加え、訴訟のリスクまで高いと誰もなり手はいなくなり、結果的に出産は自宅で自分で行わなければならない時代が来るのもそう遠くはないのではないだろうか。訴訟社会、監視社会、他力本願、何かあれば他人のせい的社会、日本人の美徳までグローバル化するのであれば、それはもう日本人とは言えないのではないだろうか。


「牡蠣」もいいけど「蟹」のおいしい季節になりましたね!!!