もう2か月も前になりますが、長塚圭史原作、吉田鋼太郎演出、石原さとみ主演の舞台「アジアの女」を観ました。
ストーリーをまったく知らず、しかも事前に調べることもしなかったので、最初は何の話なのかさっぱりわかりませんでした・・・
どうやら大震災があったらしく、石原さとみ演じる真希子は半壊した自宅に山内圭哉演じる兄と住んでおり、そこに吉田鋼太郎演じる一ノ瀬が兄を訪ねてくるところから物語が始まります。
真希子はコンクリートの地面を「花壇」と言い、毎日花が咲くことを信じて水を上げており、一見、おしとやかで兄思いの女性に見える真希子の狂気のような違和感を感じます。
真希子の兄も毎日ただ飲んだくれているだけ、兄を訪ねてきた一ノ瀬もいもしない虫を四六時中追い払っており、2人もちょっと普通でない感じを漂わせていたりします。
第一幕はこの3人に真希子に言い寄る警官を加えた4人でドタバタ劇のように話が進みます。
このドタバタを何の話かよくわからないままポカンと観ているワタシ・・・
しかし、第二幕で鳥井という女が登場し、お金を稼ごうとする真希子に「ボランティア」なる仕事を紹介することで、物語が一気に展開します。
また、一ノ瀬と真希子の兄の関係、真希子と兄が半壊した自宅から離れようとしない理由などがわかってきて、私の頭の中の「」が消えていく・・・ストーリーが見えるまでにとっても時間がかかりました
一ノ瀬と真希子の兄の掛け合いはテンポがよく、全体的に暗くなりがちな舞台に笑いを添えていました
これがないと、私はちょっと観続けるのが辛かったかも
最後は、愛する外国人の男性のもとへ向かった真希子が、日本人との抗争に巻き込まれて亡くなり、再び小説を書き始めた一ノ瀬とそれに力を貸す真希子の兄に向って目の前に、余震の影響で建物が崩れ落ちてくる・・・そして、コンクリートの花壇と思われていた場所に赤い花が咲き、それに背を向けて真希子が光に向かって歩いていく・・・
今まで観たことのないタイプの舞台で、最初はストーリーや背景がよくわからずポカン、でしたけど、観ているうちにストーリーに引き込まれていきました。
吉田鋼太郎&山内圭哉の芸達者コンビが舞台を底上げして見ごたえのあるものにしていた気がします