豊田泰光著『まぐれと極意』を読みました。

豊田さんは、昭和30年代西鉄ライオンズ黄金時代の主力選手です。野球界で培った経験を基に日経新聞にもコラムを書いておられますが、これは月刊誌「日経ベンチャー」に連載されたコラムをまとめたものです。

この本に書かれている「勝負論」「リーダー論」は、下手な経営論を読むよりも、よほど為になると思います。


稲尾和久という西鉄ライオンズの大エースがいました。稲尾投手は3年連続して30勝以上、昭和36年には42勝というとてつもない勝ち星をあげています。特に昭和33年巨人との日本シリーズ、3連敗4連勝で優勝した時の鉄腕ぶりは「神様、仏様、稲尾様」として今や伝説です。

豊田さんは稲尾投手が投げている時に何度かエラーをしたそうです。稲尾投手についての記述です↓

「野手がミスを犯したとき、稲尾は決して怒りを表さず、「いいよ」と許すこともなく、多くの場合、自らの豪腕で窮地を脱した。私を責めることも許すこともせず、ただ黙々と全力で次の打者に立ち向かった・・・・・仲間にたくさんの貸しを作っても、それを返せと口にすることなく静かに去っていくという生き方もあるのだ。そんな宿命を真正面から受け止めてこそ超一流の投手であることを、稲尾は教えてくれた。私は今でも彼の生き方にあこがれる」


痺れます。
仲間のミスを責めもせず、かと言って許しもせず、自らの力で窮地を脱し、見返りは求めない・・・

こんな人、あなたの周りにいますか?

「男が男に惚れる」とはどんな男か?この本を読めば分かります。



余談ですが・・・稲尾さんが亡くなった時、テレビで追悼番組をやっていて、ありし日のインタビュー映像が流れていました。

稲尾さんは若き日、連投につぐ連投で肩を酷使、選手寿命は短かったのです。その事を後悔していないかどうかと聞かれて答えたものです↓

「後悔なんて全くありませんよ。だってそのおかげで、神様、仏様になれたんですから」


そう言って、ニコッと笑った稲尾さん。僕はこの時も痺れてしまいました。



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