【第9回】本
「ヘタな人生論より良寛の生きざま」(河出書房新社)
(著/松本市壽)
![エビスゆうの ふくな『キヅキ』-良寛さん](https://stat.ameba.jp/user_images/20120626/17/fukumono/c0/7c/j/t02200303_0234032212048409752.jpg?caw=800)
盗人に取り残されし窓の月
私の大好きな良寛さんの有名な俳句。
この句が、パリの地下鉄で人気投票の1位になったことを
覚えている人もいるのではないでしょうか。
良寛の生きた時代は、不況と不作の厳しい時代で
百姓一揆ががしばしば起きたようです。
そんな折、質素(貧しい)暮らしをしていた良寛さんの
二合庵にも泥棒が!本書では、
「月の照るある夜、良寛の寝ている枕元を探してはみたが、
もっていくものがない。
金は敷布団の中にでも隠していると見たのか、
それを剥ぎにかかる。
先ほどから寝たふりをしたまま良寛は、
わざと寝返りを打ち、敷布団をもたせてやった。
騒ぎたてれば刺されたかもしれない。
泥棒が去ったあと、嘆息しながら俳句をひねる」
こんな状況の中、なぜ!こんな俳句が出てくるのか!
著者はその理由として、
「良寛にしてみれば、やせ我慢でも何でもない。
月夜の晩でも風流を解する余裕すらない、哀れな泥棒を嘆いたのだ」
と書いています。
損得だけでは量れない心の有り様が、
この短い言葉の中に詰まっていて、なんて凄いんだろう!
と、思わずにはいられません。
クールなパリっ子たちでさえも、魅了したこの俳句。
月を眺めながら、本当の意味で『キヅキ』となるまで、
何度も詠んでみます。
「ヘタな人生論より良寛の生きざま」(河出書房新社)
(著/松本市壽)
![エビスゆうの ふくな『キヅキ』-良寛さん](https://stat.ameba.jp/user_images/20120626/17/fukumono/c0/7c/j/t02200303_0234032212048409752.jpg?caw=800)
盗人に取り残されし窓の月
私の大好きな良寛さんの有名な俳句。
この句が、パリの地下鉄で人気投票の1位になったことを
覚えている人もいるのではないでしょうか。
良寛の生きた時代は、不況と不作の厳しい時代で
百姓一揆ががしばしば起きたようです。
そんな折、質素(貧しい)暮らしをしていた良寛さんの
二合庵にも泥棒が!本書では、
「月の照るある夜、良寛の寝ている枕元を探してはみたが、
もっていくものがない。
金は敷布団の中にでも隠していると見たのか、
それを剥ぎにかかる。
先ほどから寝たふりをしたまま良寛は、
わざと寝返りを打ち、敷布団をもたせてやった。
騒ぎたてれば刺されたかもしれない。
泥棒が去ったあと、嘆息しながら俳句をひねる」
こんな状況の中、なぜ!こんな俳句が出てくるのか!
著者はその理由として、
「良寛にしてみれば、やせ我慢でも何でもない。
月夜の晩でも風流を解する余裕すらない、哀れな泥棒を嘆いたのだ」
と書いています。
損得だけでは量れない心の有り様が、
この短い言葉の中に詰まっていて、なんて凄いんだろう!
と、思わずにはいられません。
クールなパリっ子たちでさえも、魅了したこの俳句。
月を眺めながら、本当の意味で『キヅキ』となるまで、
何度も詠んでみます。