Arto Lindsayの2004年のアルバム。アート・リンゼイはポストパンクでありノーウェーブシーンの中心的バンドであった“DNA”のギタリストとしてキャリアをスタート。John Zoneなどとも親交があり、当時のNYのアンダーグラウンドシーンを象徴するアーティストであった。DNA解散後はブラジル風なポップスサウンドを聴かせる“Ambitious Lovers”を結成。その後90年に入ってソロ活動をスタートさせている。
ソロ活動では、3歳から17歳まで育ったというブラジル音楽をベースにパンク、エレクトロニカ、ジャズといったNYならではの多様な音楽を独自のハイセンスかつハイブリッドな感性で融合させている。
このアルバムもブラジル音楽の影響をベースにしながらも、エレクトロニックなビートをクールに操り、独特な音世界を作り上げている。どちらかというとアバンギャルドな要素よりも、オーガナイズされたラウンジサウンドに近い極めて上品なサウンドで、素朴でストレートな彼の歌声が印象的。それぞれの曲のメロディーの完成度も高く、エレクトロニックなダンスビートに浮遊する歌メロが非常に心地よい。
ペドロ・サー、ダヴィ・モラエス、ヴァーノン・リードといった違ったジャンルからのゲストが参加、また今年2005年に発売された日本盤はコーネリアスとマシュー・ハーバートが参加した2曲が追加収録。どのアーティストの参加曲でも彼の音楽の持つ懐の大きさが証明されている。(日本盤は“Salt plus two”というタイトルでオリジナルと同じデザインの黄色のジャケットでリリース)
このアルバムは彼の音に対するこだわりや美意識とポップミュージックにおける大衆性が見事に交差したアルバムとなっている。