2015年頃から日本では「所得格差をなくすため」「ワーキングプアの解消のため」等の理由から最低時給や最低賃金を上昇させる政策を実施しました。しかし、この政策の問題点がいくつかあるということを知っているだろうか。

問題点①「リストラが進む可能性がある」
最低時給や最低賃金が上昇するということは人件費が高騰することに繋がる。ということは人件費以上に会社の売上が伸びる見込みがあればよいのだが、必ずしもそうなるとは言い切れない部分がある(2020年2月以降コロナの兼ね合いで経営状態の悪くなった会社が増えているという現実がある)。企業の側からすれば売上を伸ばしたいが人件費はある程度削減したい(又は人件費を売上の一定割合以下にしたい)という思惑がある。そうなると「残業等を減らして労働時間を削減する」「雇用者数を減らしたい(雇用者数を減らせば労務管理のための労力が減る)」と考えている。そうなると「これだけの給料を支払っているのだからこれ位の仕事をきっちりこなしてくれないと困る」「時給○○円なら雇用するけど××円なら雇わない(安い時給なら雇うけど高い時給なら雇わない)」ということが生じてくることが考えられる。こういう意味ではリストラが進むことが考えられる。日本のメーカーが国内から海外に工場を移転しているのは「日本人を雇うより海外に工場を移転して現地の人を雇用した方が人件費が安い」ということがあるからである(まあこれ以外にもあるのだが)。システム開発の仕事などでも人件費の安い国でプログラムを組むだけの仕事をオフショアリングしているケースも多々ある。

問題点②「労働組合がちゃんと機能しているのか」
これは過去に既に話題になっていることだが、「本来ならば労働組合の側が最低賃金や雇用や技術やスキルの承継や人材育成について議論しなければいけない(労働条件改善等のための行動をしなければいけない)のに国の側が政策を立案して推進しようとしたからやむを得ず動いている」という部分があるのではないだろうか。当然雇用を守ろうという考え方(特に仕事の出来ない人の雇用まで守ろうとする)だけでなく「技術やスキルの承継や人材育成」をきっちり出来ていない部分もあるのではないだろうか。

個人的意見だが「最低賃金や最低時給を上昇させる」ことだけをするとリストラが進むことは確実である。それと働く側も「最低賃金や最低時給を上昇するメリットデメリット」についてきっちりと考え賃金上昇以上に自分の価値を高めることを考えて行動することが大切なのではないだろうか(ただ実際にこういうことを理解できている人は余いないが)。