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コロッケ調教師のナイショ話!

福田真広厩舎 / 大井競馬場小林分場



競馬界では一番の花形・騎手

騎乗依頼を行うのも、調教師の重要な仕事


そこで本日は「騎手への騎乗依頼」のお話。


騎手は誰が決めているの?

調教師が決めているの?

など質問を頂くことがあります。


その答えとして

基本的に「オーナーの意向」です。


オーナーによって、3番手まで指定される方、12番手まで指定される方など様々。

基本的にその順に依頼していきます。


その他「馬に合いそうな騎手で調教師のお任せ」も存在します。

お任せの場合、これまで厩舎の馬で良い成績を出している騎手に、依頼が偏っているのは事実。


主催者から番組表・登録馬が発表され、その翌朝には厩舎担当のトラックマンが通称「ゲラ」と呼ばれる想定メンバー表を作成してくださります。

それを元に、お手馬が重なっていないか等を確認して依頼。


現在、依頼は騎手に直接ではなく、エージェントを通す事がほとんどです。

依頼後、翌日または翌々日に騎乗の可否の返事があり、騎乗出来ない場合には、また次の騎手へ依頼します。


人気騎手の場合、1巡目で騎乗馬が決まってしまう為、2巡目以降で決まらない場合、騎手選定がもつれることもしばしば。


オーナーから「森騎手、矢野騎手、笹川騎手の順で。」と依頼があった場合でも、森騎手に断られた場合、矢野騎手、笹川騎手が騎乗出来る事は稀です。


騎乗依頼は、プロ野球のドラフトのようなものだと思っています。

レース後、ダートコースに大型のハロー車が数台入り、たちどころに馬の足跡が消えていくのは圧巻ですよね。


そこで今回は「馬場整備」のお話。


私はレース後や調教後にハロー掛けにより、馬場が綺麗になっていく姿を見るのが大好きです。


小林分場の馬場開門時間は2:008:30

この時間内に調教を終え、閉門後は馬場整備の時間です。


私は調教後の時間に馬場へ行き、馬場整備を見ていることが多いです。

また雨の後など特に気になる時には、午後の仕事前に実際に馬場を歩き、馬場状態を確認した上で翌日の調教メニューを組みます。

(綺麗な馬場に足跡をつけて、申し訳ありません。)

そのような私の姿を見掛けると、馬場整備されている方が「今日はこうしたよ、明日はこうするよ」「明日の馬場はいいよ」と声を掛けてくださります。


小林分場では、朝の調教後そして午後の合計2回ハロー掛けをしているようです。

朝はボロや落鉄を拾い、粗めにハローを掛け、午後は丁寧に仕上げを行っているイメージでしょうか?

今度、理由を聞いてみたいと思います。

砂の水分量が多い時には、午前・午後の2回ハロー掛けを行うことにより、馬場の乾きも早くなります。


ハロー掛け前↓


ハロー掛け後↓


とても綺麗に仕上がっていますね。

水分量が少ないと更にサラサラになります。


乾いていれば良いという訳ではなくパサパサになり過ぎると、馬が着地した際に砂が弾けて地面を上手く掴めず走りづらくなります。

私の理想は、若干の水分を含み、ややグリップの効くふかふかの馬場です。


ただ気温の低い時期は、馬場凍結の可能性もあるため水を撒く事が出来ず、管理も難しそうです。


今朝の小林分場の最低気温はマイナス6度でした。

また先日、まとまった雨が降ったため、馬場は水分をたっぷり含んでいます。

このような時は、馬場凍結を防ぐため馬場開門の2:00直前までハロー掛けを行い、調教が円滑に行えるよう管理されています。

夜中、そして寒い中、馬場整備を行われている方には心より感謝しております。


今後の課題として、調教時間の中間にハロー掛けが実施され、少しでも故障のリスクが軽減されることを望みます。

馬房の出入り口から馬が出ないようにする棒を「馬栓棒」と言います。


材質は、鉄・アルミ・木など様々

小林の厩舎はご覧の通り、鉄



飼い付け時や、興奮した時に前脚をぶつけてしまう仔もいます。

私の経験では、ぶつけて故障をした仔はいませんが、ぶつけるとかなり大きな音がして、痛そう。


そこで本日は「馬栓棒カバー」のお話。

以前、Twitterでも紹介しましたが、その詳細版となります。


私は、100円均一に売っているプールスティックを購入し自ら作成しています。



大人が真冬にプールスティックを10本購入すると、レジの方は不思議そう。

また、これを抱えて駐車場を歩いていると必ず二度見されます。


それでは、作成方法をご紹介します。

まずカッターナイフで半分に割ります。



更に半分に切り込みを入れます。



このパーツを3つ作り、あとは馬栓棒を中心にテープで巻くだけ。



約3分で、完成!

材料費は200円前後!



早速、完成品を取りつけ。



馬達は最初「なんだ、これ?」みたいな顔しますが、次の瞬間にはバリバリと噛み始めます。


そこで、馬の嫌がる成分が入ったペーストを塗ります。



因みにこのペースト「主成分:トウガラシエキス」

経験のある方ならご存知かと思いますが、このペーストが手に付いている事を忘れて、目を掻いてしまうと、とても熱く痛く感じます。


馬栓棒に脚をぶつける仔の対策は、これで何とかなりますが、馬栓棒に前脚を掛ける仔も年に数頭います。

馬にとっては暇つぶしで遊んでいるようですが、見ている側はヒヤヒヤです。

馬栓棒に掛けた脚が抜けなくパニックになり暴れて大怪我をしたり、屈腱や繋の部分が馬栓棒に当たり腫れたり、こちらは深刻です。


そんな仔には、これ!



ネット状のゴム板で、上下の馬栓棒を固定し脚の入る隙間を無くします。


新しく建て替え計画中の厩舎は、スライド式の扉になる予定なので、今のような心配は無用になるのでしょうか。


気をつけていても事故は起こるもの。

ただ、可能性のあるものは少しでも減らし、万全の状態でレースに送り出したいです。