本当の優しさって、なんだろう? | 言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

人の身体は、食べたもので作られる
人の心は、 聞いた言葉で作られる
人の未来は、話した言葉で作られる

いい言葉を聞いて、心を豊かにし
いい言葉を話して、明るい未来を作りましょう

本当の優しさって、なんだろう?

 

甘さと優しさは違う

 

優しさは、時に厳しさでもある

優しさは、情に流されてはいけない時もある

 

それがゆえに、

その時は嫌われるが

後になってわかる。

 

あれが本当の優しさだったんだ、と

 

日本講演新聞の社説に

中部支局長 山本孝弘さんが書いた記事を読んで

そう思いました。

 

山本さんが書いた記事とは・・・

 

今でも忘れられない四半世紀前の
甲子園で起きた出来事がある。

サヨナラボークで試合が決着したのだ。

史上初の結末だった。

豊田大谷対宇部商業の試合は
延長にもつれ込む熱戦となった。

疲労困憊の宇部商業の投手が
15回裏に満塁のピンチを招いた時にそれは起きた。

投球動作に入る際に
違反動作をしてしまったのだ。

それを見逃さなかった球審が
毅然とボークを取ったのである。

ボークはランナーが無条件で
一つ次の塁に進めるので
3塁ランナーがホームインして試合は終わった。



整列する選手を見て
ボークで試合が終わったことを
ようやく理解した観客は
炎天下のスタンドで騒然となった。

試合後にマスコミは
球審がボークに目をつぶらなかったことを責めた。

ルール通りに判定を下した球審に心の葛藤はなかったのか。

球審を務めた林さんのことを書いた
特集記事を読んだことがある。

あの瞬間「ボークを取るな」という
もう一人の自分の声が聞こえたそうだ。

そして試合終了後の
豊田大谷の校歌は耳に入ってこず
周りからの批判におびえる日々が続いたらしい。

しばらくこの話題が世間を賑わせたが、
「選手はかわいそうではあるが、
 球審の行為は正しい」
という冷静な世論が次第に増えていった。

それから15年後、
高校野球関係のあるイベントで
林さんはボークを取られた宇部商業の投手に会ったそうだ。

「山口県から来ました。
 今でも野球をやっています」
と元気に話す彼の目を見て林さんは涙を流したという。

きっと林球審にとって
肩の荷が下りた瞬間だったのではないだろうか。

 

もしも自分が球審だったら

ボークを取ることができただろうか?

 

 

ボークだとわかっていても

見逃したかもしれない。

 

それを多くの観客は望んでいただろうし

そもそもボークに気づく人も少ないだろう。

 

その時は、

見逃してあげることが優しさだと

判断してしまうかもしれない。

 

毅然とボークと判断を下した林さんに

心から敬服します。

 

そして、

林さんのことを憎まずに野球を続けてくれた

宇部商業の投手にも拍手を送ります。