先日、日本講演新聞が主催する講演会で
経済コラムニスト大江英樹さんの話を聞きました。
長年にわたる投資教育の経験から
資産運用の基本や行動経済学
シニア層のセカンドライフプランにもお詳しい大江英樹さん。
日本人は、お金の話をするのを嫌がりますが
とても大切なことです。
たくさんの学びがあった中でも
老後2000万円問題についての見解は
大・大・大衝撃でした。
老後2000万円問題
老後の生活は2000万円足りないから
今のうちに保険や投資で
自分の老後に備えておくべき。
というものです。
しかし、そもそも
老後2000万円問題は存在していない!
とおっしゃるのです。
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メディアが連日ニュースで取り上げていた
老後2000万円問題です。
実はこんなからくりがあったそうです。
この問題は、2019年に金融庁が
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今後、高齢化が進む社会において
認知機能が低下した高齢顧客に対して
社会全体として問題意識を持ち
金融機関も適切な対応をすべき
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として、51ページにわたり報告書にまとめたものだそう。
まさにその通り!
この中で、2000万円という表記は、
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まだ20~30年の人生があるとすれば
不足額の総額は単純計算で
1300万円~2000万円になる
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という箇所のみだそう
図表は、
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上)の
夫婦のみの無職世帯の家計収支
を表したもの。
年金生活ですから
収入は年金のみの209,198円
実支出額が、263,717円となり
差額が不足額となり54,519円という計算。
毎月の不足額、約55,000円を
30年間継続すると
約55,000円×12か月×30年=1980万円
これがいわゆる「2000万円問題」
しかし、大江氏はこう言います。
素朴な疑問
1、毎月赤字が出ていてなぜ平気なのか?
2、食費(64,444円)も通信費(27,576円)も多くないか?
確かに、毎月赤字だったら切り詰めますよね。
それに高齢夫婦が
食費や通信費にこんなに金額を使うかという話です。
絶体に使わないでしょう。
さらに衝撃的な事実が!
図表の中には
高齢夫婦無職世帯の平均純貯蓄額2,484円
とあります。
要は、
2000万円足りないのではなく
2500万円のゆとりがあるのです。
毎月55000円の赤字だから
30年間で2000万円足りないのではなく
2500万円の貯蓄を持っているから
毎月55000円を計画的に取り崩していける
これが真実というわけです。
さらに
数字は毎年変化し、状況によって変わる
ともおっしゃっていました。
2019年に発表された報告書は
2017年の数字をベースに算出されたものですが
その後、
実収入額も実支出額も変わってきています。
特に2020年以降は、コロナ禍において
外出も控えるようになり
実支出額も減っています。
(2020年の実収入額が増えているのは
給付金が支給されたため)
算出基準となるのが
2017年ではなく2020年であったら
老後2000万円ではなく
老後55万円問題になるわけです。
周囲が発するマイナス情報に煽られ
信じてしまうのが人間。
収支は世帯によっても違うし
時期によっても変わってきます。
だからこそ、正しい知識を持つ必要があるなぁと痛感しました。