耳に飛び込むアナウンス | 言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

人の身体は、食べたもので作られる
人の心は、 聞いた言葉で作られる
人の未来は、話した言葉で作られる

いい言葉を聞いて、心を豊かにし
いい言葉を話して、明るい未来を作りましょう

バスや電車に乗ると、

車掌さんによる車内案内がありますが

中には抑揚付けすぎ!!という方もいます。

 

バスの揺れではなく

抑揚の波による「酔い」が起きそうなことも・・・

 

中には、聞き心地の良い方に出会うこともあり

そんな時は、このエピソードを思い出します。

 

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ある日の夕方、地下鉄に乗っていた時のことです。

終点の駅に到着する間際に

こんなアナウンスが耳に飛び込んできました。

 

 

「ポツリ、ポツリと雨が降ってまいりました。

傘のお忘れ物が多くなります。

どうぞ傘をお忘れにならないようにお持ちください。

次は終点○○駅です。

ご乗車ありがとうございました。」

 

 

そのアナウンスが擬音語で始まっているため、

多くの人がアナウンスに注目したようです。

 

その日の天気予報は夕方から雨。

傘は持ってきたが、

いよいよ雨が降り始めたのだと「ハッ」と気がついて、

傘を持って多くの方が降りて行きました。

 

このアナウンスは、

雨が降り始めたという自然現象のお知らせに加え、

傘の忘れ物防止という二重の効果があったと思います。

 

ちょうど一番後ろの車両に乗っていた私は、

幸運にもその車掌さんとお話しすることが出来ました。

 

車掌さんは50歳を超えたくらいのお年で、

髪はロマンスグレー。

笑顔が素敵な男性でした。

 

いつでもではなく、

気がついた時に今日のような「アドリブのアナウンス」を

「定型アナウンス」に追加して行っているとの事。

 

それもお客様が下車準備をするタイミングを

見計らって行うとの事。

 

そのタイミングとは長年の勘のようなものらしいのです。

 

「とても良いアナウンスだと思いました」

とお伝えすると

「気がついてくださってありがとうございます」

と帽子を脱いで深々と丁寧に頭を下げられました。

 

こちらが恐縮してしまうほどでした。

 

サービス業に携わる私たちは、

アナウンスをする機会が沢山ありますが、

お客様に聞き入ってもらえるアナウンスを

常に行うことは大変難しいと思います。

 

 

定型文、ありきたり、抑揚がない...

 

そんなアナウンスは中々聞いてもらえないからです。

 

残念なことに、町で耳にするアナウンスには

なんとこの手のものが多いことか。

なかなか聞き惚れるアナウンスに出会うことは少ないように思います。

 

私が出会ったアナウンスの達人の秘訣は、

 

「お客様の知りたいことを心に描き」

「そのタイミングをつかむ」

「出だしの言葉がポイント」とおっしゃっていました。

 

確かに、「ポツリ...」という音の表現は、

あまりアナウンスでは聞かれないので

注目を集めることが出来たのでしょう。

 

“最後に一つ注意事項”がありました。

 

「ただし、アナウンスのやりすぎ、凝りすぎには注意が必要です」

 

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確かに、耳に残るアナウンスは少なく、

逆に、耳につくアナウンスは多いです。

 

独特のイントネーション

心のこもっていない感謝の言葉

全く思っていない謝罪の辞

 

注目するがゆえに不快になることもしばしばです。

 

だからこそ、

時々、心地よいアナウンスをする車掌に出会うと安心します。

 

まさに、その日がそう。

 

私自身も心地よいアナウンスが出来るよう

もっと精進しよう。

 

よしっ!