出物腫れ物ところ選ばず(PARTⅡ) | 言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

言葉は言霊 ~話す言葉によって未来が変わる~

人の身体は、食べたもので作られる
人の心は、 聞いた言葉で作られる
人の未来は、話した言葉で作られる

いい言葉を聞いて、心を豊かにし
いい言葉を話して、明るい未来を作りましょう

それは..。


イタリアのツアーで、こんなことがあったのです。

 

 

<ツアー2日目>

レストランでのランチが終わるころ...

 

添乗員(添)

「この後、〇〇へ向かいます。

所要時間は○時間です。

途中、お手洗いがありませんので

ここでお済ませの上、バスにご集合ください」


全員お揃いになったので

時間通りにバスは出発。


すると、10分ほど経った頃、

あるお客様が急にトイレに行きたくなりました。

 

お客様(客)

「すみませんが、

トイレに行きたいので停めてください。」

 

しかし、

運の悪いことに途中にWCはありません。

 


添「大丈夫ですか?」

 

客「バスのトイレを使わせてもらえませんか?」

 

添「少しお待ちください」

 


ドライバーさんに

バス車内のトイレを使わせてほしいと依頼するも

拒否されてしまいました。

 

※トイレはドライバーが掃除するため

嫌がられてしまったのかもしれません。


添「申し訳ありませんが、

車内のトイレはお使いいただけません。」


仕方なく自分の席に戻り

周囲にトイレがないかチェックするお客様

 

すると、

道沿いにモーテルが数件あったそうです。

 

客 “あぁ、トイレを貸してもらえないかな?”

   “どうか停まってくれないかな”

 

ところが、

添乗員はその存在に気づいていないのか

お客様の願いも空しく

バスは通り過ぎていきます。

 


そして、40分経過...

 


いよいよ我慢が出来なくなり

添乗員にトイレに行きたい旨を伝えるも

 

添「止められません。

自分の席に戻ってください」

 


冷や汗をかきながら我慢するお客様に

一筋の光が!

 

少し走るとガソリンスタンドがあったので

緊急停止しました。

 

ところが...。

 

オフシーズンのため

ガソリンスタンドには人がおらず

トイレの鍵もかかったまま。

 

しかもトイレの鍵を持っている従業員が

15分しないと戻ってこないことがわかりました。

 

添「あと15分で戻ってくるかどうかわかりません。

目的地まではここから20分ほどですから

このまま行きましょう」

 

客「.....」


しかし!

車は渋滞に巻き込まれ

20分で行けるはずが40分かかってしまいました。

 

結局、

お客様は1時間半も我慢して

ようやく目的地に到着したのですが

そこにはトイレがなかったので

仕方なく人目のある道路わきで

「青空トイレ」になってしまいました。

 


マイカー客からクラクションを鳴らされ

揶揄されながらも

何はともあれ、用を足すことが出来たお客様。

 


ホッとして一服していると、

他のお客様が観光を終えて戻ってこられ

次々とバスに乗り込んでいきます。

 


そこへ添乗員がやってきて、

 


添「次の所へ行きますから

バスへ乗ってください!」

 

と素っ気なく言ったので、

これまでの経緯から

お客様がブチ切れてしまったのです。

 


それから日を追うごとに

添乗員との関係が悪くなっていき

やること全てが裏目に出てしまいました。

 

帰国後、お客様からクレームが入り

企画担当者と添乗員部門の責任者である私と

ご自宅に謝罪に伺うことになったわけです。

 

 

なかにはクレーマーもいますが

そのお客様はいたって普通の方でした。

 

定年まで

大手銀行で顧客対応をされていたので

無理難題はおっしゃいません。

 

だからこそ申し訳なく

お客様の話を聞いてるだけで

お腹が痛くなってきそうでした。

 

 

出物腫物ところ構わず...。

 


もし、私がそのツアーを担当していたら

どうしただろう?

 

バス車内のトイレを使わせてもらえるよう

ドライバーにお願いしただろうなぁ。

 

「私が掃除するから使わせて!」

 

または

チップを渡して

「お願い!」ってするかも。

 

お客様が困ったり、苦しんだりした時に

「何をするか」で

その人の本性がわかるものです。

 


余談ですが、

お客様対応が終わり、会社へ戻る途中、

乗換駅で下車して、

昼ごはんを食べることにしました。

 

喉がカラカラに乾いていたので

ランチビールを“一杯”のつもりが

“いっぱい”になってしまい

目的駅までの道中

トイレに行きたくなってしまいました。

 

膀胱が破裂するんじゃないかと思う位で

 

「あぁ、あのお客様も同じ状況だったんだな」と

改めて謝罪の念が強くなりました。


昼間から飲んだくれていたわけじゃないですよ!

「お客様の苦しみを体験するため」ですからね!