今回ご紹介するギターは、タカミネの Elite TW-100です。『エリート』は、1960年代から1970年代中ごろにかけて製作され、1979年頃からエレアコに移行し、Takamineブランドに集約されます。本器は、Martin社のD-41タイプで、このTWシリーズの最高峰モデルとなります。大変レアなモデルで、私もカタログ以外で実物を見るのは初めてでした。

 ヘッドプレートはハカランダ、珍しい縦インレイのロゴ、オリジナルのエリートペグ、ソリッド・アバロンのヘキサゴンインレイ、ホワイト・セルバインディング、ボディトップは無垢のソリッド・アバロンのトリムです。

 トップはスプルース単板、サイド・バックは合板ですが板杢の美しいハカランダ材が使用され、ブリッジにもワンポイントでアバロン装飾が施された豪華な仕様です。サウンドホール上部の指板デザインも可愛くあしらわれています。

 流石に製造が高峰楽器製作所ということで作りも丁寧で、少し硬質で締りのある低域とハカランダ特有の立ち上がりの良い音抜けと粒立ちが魅力で、高音域も煌びやかに伸びのある鳴りがあります。

 この当時は、6万円でもオール単板ギターが手に入る中で、合板ギターで10万円のこの価格はかなり強気の値付けだったのではないでしょうか。

 

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日焼けはしていますが、トップの割れや補修等はありません。

 

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(画像4)きれいな杢目のハカランダです。

 

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(画像7)縦ロゴは、このモデルだけです。

 

(画像8)オリジナルペグです。

 

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ブリッジの装飾は、後から入れられたものかと思いましたが、他にも同じ装飾がなされていたので、これはオリジナルのようです。

 

(画像10)シリアルや型番は無く、刻印だけです。

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カタログには、これ以上のモデルは掲載されていないため、

TW-100が最上位モデルと判断しました。

カタログにはありませんが、このモデルには12弦もあります。

 

 

《まとめ》

 私は主にオール単板物を中心に集めていますが、合板ものも何本か持っていて、それらには個々に何らかの魅力を感じています。このギターについても同じで、タカミネのフラッグシップモデルというだけでなく、音質が気に入っています。

 私の経験では、一般的なサイド・バック合板ギターは、音は大きいのだがどこか大味で、繊細さに欠けると言うのが印象でしたが、このギターは違っていました。音質もさることながら繊細さがあります。これがタカミネの生音なのかと感心する一方で、合板ギターも侮れないといと言うジャパンヴィンテージの奥深さを再認識することとなりました。