今回ご紹介するギターは、Hay Wagon HW-200です。
‟HayWagon“は、プリマ楽器が1977年よりわずか2年間だけ販売していた東海楽器製OEMのアコースティックギターで、生産期間が短いため本数が少なく、クオリティの高さも相まって、中々市場に出ることの無いモデルです。
このHW-200は、フラッグシップモデルのHW-250に次ぐモデルで、当時価格が20万でした。私もカタログでしか見たことのないモデルで、ネットに売り出された時には本当に興奮しました。ボディーは美しいアバロン貝のトリムとスノーフレークのインレイで、ペグもゴールドのGroverとなっています。
このギターはアメリカインディアナ州からの購入で、当初出品者はサイド・バックが合板(ラミネート)としていましたが、他のネット情報でHW-200はサイド・バックが単板という記載もあったことから、少し期待を持っていました。到着後サウンドホール内をチェックすると、割れ止めがあり、バックの杢目も表裏一致していてオール単板であることが判明しました。派手な杢目が功を奏したようです。本当にラッキーでした。
音は低音がしっかりと出つつ、音量がありながらも暖かく優しい音色を兼ね備えた一本です。ひび割れや補修歴等の大きな欠陥はありませんが、サイドに少し薄い白濁があるのが残念です。
(画像1)全体的にきれいです。
(画像2)
(画像3)大きな傷はありません。
(画像4)指板の減りもありません。
(画像5)単板らしくブックマッチが少しずれています。
(画像6)貝のロゴが美しいです。
(画像7)ゴールドペグもきれいです。
(画像8)薄っすら白濁があります。
(画像9)
(画像10)
(画像11)割れ止めは、サイド1箇所ずつです。
(画像12)下2桁が製造年と思われます。
(画像13)1977年当時のカタログです。
あまりギターに関係のない記述が多いです。
(画像14)
(画像15)
(画像16)サイド・バックの単板表示はありません。
《まとめ》
今回の HayWagon は、この当時の他のギターとは少し違う印象があります。まず販売元のプリマ楽器が、クラリネットやサクソフォンの管楽器を主に扱う会社であることから、材質や作りの技術、また音質で勝負するというよりは、むしろアコギを一つのファッションとしてとらえ、そのイメージを前面に出した売り方をしているところがその違いです。そのせいかカタログを見ても、ギター以外の記述が多いように思います。
ジャパンヴィンテージと言われるアコギは色々ありますが、このギターは品質や音だけではなく、その時代の生活や匂いまでも今に伝えているような気がします。ある意味現代へと引き継いできた、文化的な時代の輝きのようなものを感じざるを得ません。