今回からは、ローズウッドのサイドバック物を引き継いで、カワセ楽器の Master を3回に分けてご紹介します。

 Master は、私にとって TAMA と同じくらい大好きなお気に入りのメーカーです。

 ここで先にシリアル番号からの年代特定についてお示しします。75年から85年の間は4桁の頭の数字の 1が75年、2が76年で後ろ3桁がその年の通番と考えています。したがって8の場合は82年になります。1年程度の誤差はあるようですが、このように考えて年代特定をしておりますので、ご意見はあるかとは思いますがご了承ください。

 Master は、お茶の水の老舗中の老舗、カワセ楽器のオリジナルブランドで、その生産は1960年代にまで遡ります。今のように大手楽器店が勃興する前の時代からカワセ楽器はプロのミュージシャンも御用達のアコギ弾きにとっては憧れのプロショップでした。そんなカワセ楽器が、マーチンやギブソンにも負けないクオリティーの高いギターを国内で製造販売していたのが、この 『Master』 ブランドです。

 この個体のスペックは、オール単板のローズウッドSIDE&BACK、マホガニーNECK、エボニー指板&ブリッジ、ロング・スロット・サドル、ノン・スキャロップ・ブレーシング、そしてヘッド及び指板にはセル・バインディングが巻かれるなど、かなり気合いを入れて作られた感が伝わってくる仕様です。

 音は粒立ちの良く、かなりブライトで硬質なサスティーンを伴ったラウドなサウンドで、私も大変気に入っています。

 

(画像1)ポジションインレイがきれいです。

 

(画像2)

 

(画像3)

 

(画像4)きれいな良い材です。

 

(画像5)割れ止めはありませんが、単板です。

 

(画像6)

 

(画像7)手工品の良さが出ています。

 

(画像8)グローバーペグです。

 

(画像9)ロングサドルですが、交換されています。

 

(画像10)読みにくいですが、100Mです。

 

《まとめ》

 カワセ楽器の Master は、間違いなく1970年代の国産アコギを代表するギターです。

 Master は、マーチンより安価でいて同等以上のクオリティーを目指して制作されたもので、サイドに割れ止めのないオール単板ギターとして製作されていました。よりリーズナブルなサイドバック合板モデルは BILLY と言うブランドで、どちらも当時JUMBOギターを手がけていた田原楽器で製作されていました。

 特にMASTERは手工制作で、カスタムオーダーも受けていましたが、この個体もカスタムオーダー品らしく、ヘッドとフレットのインレイが独特で、オリジナリティー溢れる個体となっています。

 

《次回のアコギ》 

 次回の紹介アコギは、Master M100 です。