穏やかな閖上の港町

そこで生まれた一風変わったたこやき

大きな団子みたいなたこやき

(本来はソースのみだが、この日は当世風にマヨネーズつき。大粒を3つ串にさし、特製ソースの中に入れて絡めるのが特徴。甘辛いソースと、柔らかくも弾力のある食感、具材の味が調和し、一見素朴だが巧みな品。)

 

長らく作られてきたけれど

あの日波にもっていかれて

思い出だけが残った

 

波に消えてもう戻らないけれど

人々が慣れ親しんだ店

人々が好きだった味

 

だからみんなで思い出辿って

もう一度作り上げた

新しいけれど昔の味

 

閖上たこやきは、日和山(湊神社)向かい側にあった店で、橋浦きよさんが作っていた。

津波の犠牲になり、その味も途絶えた。

 

だが、人々の思い出のたこやきを、もう一度みんなで食べよう、閖上のことを様々な人々に知ってもらおうと、有志が閖上たこやきの再現へと動き出した。

 

きよさんの作った味を知る人々が、味の記憶を出し合って、あれこれ試しては作り直し、ようやくあの味に近づいた。

 

閖上たこやきの復活が素晴らしいのは、不安や悲しみの中で、みんなが力を出し合って何かを成し遂げたからである。

 

きっといつか、こうした経験が励みになったことに、様々な人が気づくだろう。