塩竈古来の藻塩 | ふくらく通信「ゆるゆる歩記」

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東北人です。日々思う事や、ゆるゆる歩いて見つけた町の魅力など、なんだりかんだり語っています。

千賀の浦に沿う町、塩釜は、はるか平安の都に通ずる町だ。

 

平安の頃、国府多賀城への海からの入り口であり、古くから製塩の地でもあって栄えた。

平安の人々は、「千賀の塩釜」と詠い、憧れの美しい地として塩釜を見ていたようだ。

 

塩釜には、塩土老翁(しおつちのおじ)という神が、民に塩作りを教え、釜で海水を煮て塩を作ったという逸話があるそうだ。

 

塩土老翁は、古事記の「塩椎の神(しおつちのかみ)」だと言われており、海水の神で各地の海岸にうち寄せることから、広く見聞して物知りであるとされている。

 

塩竈の地名は、その神と釜を祀ったことが由来と言われている。

その地名発祥の地というのが、「御釜神社」だ。

 


 

仙石線の「ほんしおがま駅」から西方向に進むと、商店が並ぶ「本町」の通りがある。

この本町の中央辺りで、宮町への道と交わる十字路の角に、「御釜神社」はある。 

(2008年4月26日記載「千賀の塩竈」より)

 

 

2008年4月に、「千賀の塩竈」を記載してから、ついでに

「古来の塩竈の塩を、今また売り出せば良いのに」と、あちこちで喋っていたら、どこかで見聞きした人もいたようで、近頃は、本当に古来の塩竈の塩が店に出回るようになった。

自称、町の応援団としては、念が伝わったかと、嬉しく思う。

 

塩竈の古代製法の藻塩は、最初は惣菜や菓子などに使って売られることが多かったが、この頃は藻塩そのものが出回っている。

 

我が家も今は、この藻塩を使っている。


   

 

「漁師赤間謹製」とあるものだ。

少し茶色の「しおがまの藻塩」は、塩気もなかなか力強いが、海藻アカモクの養分を含んで、ほんのりと磯の香りがし、後で、だし汁のような旨味が口中に残る塩だ。

 

    

 

この藻塩をご飯につけ、松島の海苔を巻いた握り飯にすると、これがまた旨い。

我が家では、天ぷらにも「しおがまの藻塩」をつけて食べる。

具の旨味が引き立って美味しいのだ。

               

また、近年はもう一つ、「塩竈の藻塩」を作る会社が出来た。その塩も様々に利用されており、中には、藻塩を使ったチョコレートも作られている。

 

(クレオバンテールの藻塩チョコレート)

 

食感も工夫し、藻塩の使い方が絶妙で、見事なチョコレートだった。

 

 

3・11大地震による、津波被害の著しい港町だが、それぞれに一歩ずつ前進している。

 

 

塩竈では、はるか先人の塩作りを継承し、町の古き文化を、今また復興に活かそうと工夫しているのだ。

その藻塩を、味わってみて欲しい。

豊かな海と、人の暮らしとの関わりが、この藻塩の美味しさと共に伝わってくるだろう。

 

参考:鹽竈神社の御由緒 御祭神/御釜神社 特殊神事 藻塩焼き神事/御釜神社由緒/

    シーフーズあかま/クレオバンテール