その背中に、明るい道筋をと願う | ふくらく通信「ゆるゆる歩記」

ふくらく通信「ゆるゆる歩記」

東北人です。日々思う事や、ゆるゆる歩いて見つけた町の魅力など、なんだりかんだり語っています。

名取市役所から東へ進むたびに、次第に様子が変わる。

田畑に物が散乱し、瓦礫は進むたびに多くなっていった。
 

震災から1ヶ月過ぎの先週、所用があって、作業の邪魔にならないようにと、気を使いながら、閖上へ行った。

車が壁に刺さっていた知人宅、その後に車が取り除かれた状態を確認。
 

閖上は、通り道が出来ていた。
 

 

重機で瓦礫を集め、道の端に寄せている。
最前線で働く自衛隊員たちに、頭が下がる。
任務とはいえ、毎日のこの作業は、大変な作業であると一目で察しがつく。

 

 

店や家が並んでいた通りも、何もかもが滅茶苦茶だ。
ここが、あの場所だったろうかと、分らなくなる。

 

水揚げがあると、赤貝丼ののぼりが出ていた港の周辺、かつて猫が横切った長閑な光景はもう無い。

あんなに緑に囲まれていた道も、浜辺のようになっていた。


 

帰り道、田んぼの一角に座り込む男性の背中を見た。
切なかった。

 

塩害の二文字が浮かぶ。
 

実は、3月末から、塩害土壌の改良対策について調べていた。

先週初めには、他所のブログでも、情報が欲しいと呼びかけてみた。

直接返答は無かったが、調べ続けていたら、ブログの3日前に熊本県が動き出していたことが分った。

嬉しかった。
 

 

熊本県では、八代海岸の田畑が1999年の台風で浸水。

その時、県や自治体が連携して塩分除去の土壌改良をした経験がある。

その技術などをまとめた情報を提供して、職員の派遣も検討しているというのだ。


 

その情報は、農林水産省に提供してあるというので、省の情報を見てみると、除塩作業の仕方が公表されていた。
熊本では、その他にも、石灰を使っ塩分除去促進の方法や、塩害にあった土壌でのキャベツトマトなどの試験栽培結果も提供しているという。

 

 

除塩作業は、潅水除塩という方法で、根気の要る仕事であった。


今回は、大規模な水切り溝の設置や、排水路の掘り下げとなるだろうか。

広大な農地だから、一層、県や地域と生産者との連携が必要になるだろう。
 

水切り溝や排水路作りの後、石灰などを入れて耕起したり、弾丸暗渠と言われる方法で管のような溝を施し、湛水して排水するという作業を、繰り返し行っていくそうだ。
それでも、洗い流す水の量に比例して、塩分は低減していくという。

 

こうした取り組みがあることを、もっと知らせて欲しいと思った。

 

先達の力を借りながら、県や地域と共に行う事業として、早く具体的構想を提案できれば、落胆する生産者の不安を軽くできるのではないか。
 

あの背中が忘れられない。

その背中に、明るい道筋を示して欲しいと願っている。