久しぶりにものすごーく読みたくなって、うちの若に図書館で借りてきてもらった。
多分、わかーいころ、「点と線」を読んだ…んだと思うんだけれど、まったく記憶にない。
「黒革の手帳」は、多分、テレビドラマ化されたのを見た…ような見てないような…。
いやまあ、さすがの松本清張。
あらすじは、ググればいくらでも出てくるので割愛。
昭和の泥臭さ満載である。
今読めばね。
松本清張全集で読んだのだが、版を重ねて1969年から2010年まで。
文体と文章に、令和の小説にありがちな「軽さ」がない。
「軽い」のが良いか悪いかは別問題。
けれど、やっぱり、この重さのほうが肌になじむ昭和生まれ…。
それよりなにより…
奥さんが夕方おでかけするから、旦那さんのために作った晩御飯(お刺身と大根の煮つけ)を食器棚に入れたり…
(昭和中期、冷蔵庫なんて一般家庭になかったから。てか、冷蔵庫なかった時代は、刺身が生ぬるかったのか…)
喫煙率が高かったり
煙草をケチって半分に切って使ったり
新幹線内から山陰地方への出張が一日がかりだったり
電話を管理人さんが取り次いでくれたり
なんていう、昭和の事情を、今どきの若い子は注釈なしでわかるんだろうか。
ということが気になって仕方なかった。
松本清張より、横溝正史が本とは読みたかったんだが。
若に「横溝正史…金田一耕助シリーズっつっても、わかんないかー」と言えば
「あっ、コナンの前にやってたやつね」
……。
それは孫。
今どきの若いもんは、コナンは「体は子供心はオトナ」で、金田一は「じっちゃんの名に懸けて」なんだな…。
まあ、ルパンも3世だしな…。
それにしても、昭和の作品は、タイトルがいい。
端的で鋭く、それでいてロマンを感じる。
「砂の器」「黒革の手帳」「点と線」
横溝正史なんて
「病院坂の首くくりの家」とか。
「悪魔が来りて笛を吹く」とか…
土蔵と赤い肌着(着物のね)なイメージ…
昨今のなんか変なタイトルのラノベに辟易していた身には、逆に新鮮。
なんとかならんのか、あのセンスのないタイトル…。