今、毎日ものすごく楽しみにしているWeb漫画がある。

結構有名だと思うが、韓国発の漫画「結婚商売」。

中世ヨーロッパ…っぽい架空の地の恋愛物。

悲惨な人生を送った主人公が「やり直し」を神に願い、人生巻き戻って、やり直すお話。

原作は完結しているらしいが、毎日、無料で2話読めるので、ジリジリしながら読んでいる。

無料期間が終わったらきっと課金だな…。

 

巻き戻りはありがちなネタで、Web小説・Web漫画で百花繚乱。

だが、これはまず、多分中世ヨーロッパ(おそらく11世紀くらい?)を参考にしたのであろう時代考証が、他の「ふわっとした」設定のものに比べたらずいぶんまとも。

「魔法」が存在しない架空の地のファンタジーとして、わりとちゃんとしている。

ただな…

無敗の騎士であるヒーローが、なぜか、執務の際にはメガネをかけているのだが…

えっ、近眼?

執務の際にメガネをかけるくらいの近眼なら、戦闘の時も困るんじゃね?

老眼じゃないよね??

ちょっと時代背景的にメガネはどうか…という気もするが、たぶん、単純に作者の趣味なんだろう。

そして、韓国っぽいエグさと無駄に長い感があまりない。

他にも韓国発のWeb漫画を無料分乱読したけれど、最後まで読みたい!と思ってるのは、この「結婚商売」と「オークの樹の下」だけかな。

 

で、何が言いたいかというと…

Web小説やWeb漫画でありがちの、主人公が異世界転生・異世界転移した時の表現。

「中世ヨーロッパ風の建物・街並み云々…」

 

あれな。

 

すっごい座りが悪い。

 

言いたいことは分かるし、読者は細かい設定を求めているわけでも、詳しい時代考証を求めているわけでもない。

サクッと読めてスカッとすればそれでいい。

 

だがな。

 

中世ヨーロッパのお城は…

 

ガチで要塞。

なんだがな。

 

レースも天蓋付きベッドも花柄の壁紙も天井画も、たぶん、ないよ、中世ヨーロッパのお城。

おそらく、作者や読者が想像してるお城は、ベルサイユ宮殿とか、ノイシュバンシュタイン城とか。

そんなお城でないの?

そして、たぶん「中世ヨーロッパ風の」そんな世界で女性が身に着けているのは、バッスルスタイルやクリノリンスタイル、ロココ調のドレス。

バッスルスタイルやクリノリンのドレスは19世紀。

ロココ調のドレスは17~18世紀。

中世ヨーロッパの男性の軍服に金モールなんてついてないよ。

西洋史をかじった人間からすると、なんかもう、すっごい違和感しかない。

今の時代、ちょっとググればすぐ出てくるのに、なんでそこに手を抜くのかがちょっとわからない。

日本で言えば「奈良~鎌倉時代の街並みに江戸時代の裃を着たサムライ、江戸時代後期~明治の服装の女性」という取り合わせだな。

逆を言えば、現代日本の街並みにサムライ、みたいな??

そもそも、「中世」ヨーロッパ、というのは5世紀くらいから始まって15世紀に興った「ルネサンス」で終焉を迎える。

って中学の世界史で習わなかった??

残念な頭の勉強できない中学生だったけれど、すっごい記憶に残ってるけど。

(間違いなく習ったのは中学の時のざっくりした世界史。なぜなら、高校時代は社会は選択科目で日本史だったから)

 

言いたいことは分かるし、読者だってそこまで求めてはいない。

それは十分わかっている。

ちょっとググってみたら、こういう「なろう」系で出てくる「中世ヨーロッパ風」というのを「ナーロッパ」というのだそうだ。

アマチュアが好き勝手に描くふわっとした設定のサクッと読めてスカッとするファンタジー小説。

分かっている。

分かっているのだが…

 

どうにもこうにもこの「中世ヨーロッパ風の~」という表現だけは座りが悪い。

 

ファンタジー愛読歴40数年のおばちゃんからしたら

ファンタジー舐めんな。

とも言いたいし。

アマチュアモノカキ歴これまた40数年のおばちゃんからしたら

例えアマチュアでもド素人でも「書く」ことをおろそかにするな。

とも言いたい。

図書館に通わなければ資料が手に入らなかった時代とは違う。

チョロッとググれば、何でも出てくる時代だ。

なぜ書く前に「ちょろっと」調べないんだ??

ド素人とはいえ「書いたものを発表する」というのは、それなりに責任も伴うのだ。

なんてことを言いたいが、それを言ったところで、どうせ「固えこというなよ」と非難ごうごうの嵐だしな。

そんなweb小説を「なんか座りが悪いなあ…」と、「アサリの味噌汁飲んだら、一個だけアサリに砂が入ってたけど、無理やり食べた」みたいな気持ち悪さを感じつつ読んでるしな。

 

別に詳しく説明しろと言っているわけではない。

ざっくりでいいし、イメージさえ伝われば別にいい。

「中世ヨーロッパ」ではなくて「2~300年くらい前のフランスの(もしくはイギリスの)街並み」くらいの表現は出来んもんか。

「昔のヨーロッパの街並み」だけでもいい。

それだけでもだいたいの想像はつくと思うんだが。

「ベルサイユ宮殿みたいなお城」とか「ノイシュバンシュタイン城みたいなお城」

…が無理なら「シンデレラ城みたいなお城」でいいじゃん。

 

ガチファンタジーじゃないんだから、設定云々とかうるさいことはいわないよ。

魔法の設定だって、はっきりいってどうでもいいよ。

「ゲド戦記」並みの深さを誰も求めちゃいないよ。

サクッと読めてスカッとしたらいいんだからさ。

 

ただただ

「中世ヨーロッパ風の~」

ってのだけはやめてほしいと切に願う。

「中世の」なんてつけなくていい。

逆に頭が悪い感満載になる。

「昔のヨーロッパの街並み」だけで伝わるからさ。

それで十分だからさ。