さすがのウェストール

 

 

 

読後感の苦さが半端ない。

とはいえ、これはある意味、ハッピーエンド、なのかもしれない。

 

母の再婚によって家庭居場所を失くした(と感じている)少年。

古い水車小屋でかつて起こった殺人事件。

カブ畑に立つ三体のかかし。

重い筆致で描かれる風景と、過去の殺人事件と少年とのからみ。

かかしの正体とはなんだったのか。

軽いホラー小説ではあるが、なんというか…。

反抗期の少年が、父を英雄化してしまって、母の再婚相手とうまく付き合えず(というか最初から拒否)、次第に家での居場所を失くしていく。

その心情と、80年代(70年代か?)のイギリスの少年たちのリアリティ溢れる風景が相まって、読後感が半端なく重い。

ウェストールらしい。

 

というか。

作品としては、「機関銃要塞の子供たち」や「弟の戦争」よりテーマは軽い(自分的に)。

だがしかし、この筆力というか。

近頃、軽い作品ばっかり読んでいたもんだから、ガッツリ重い。

読後感の重さというか、引っ張られ具合が、半端ない。

 

小学校の図書館にあった物を借りてきたのだが、今の子供達に受けるかどうか、と言われたら…。

難しいな…。