かくかくしかじか | 寂しげサラリーマン、時々超高圧ベーシスト in Pyeongtaek

寂しげサラリーマン、時々超高圧ベーシスト in Pyeongtaek

日々の反省と感傷日記。いまは韓国駐在日記をつづっています

ひょんなことからバッハコレギウムジャパンというプロ団体のCDを手に入れた。ブランデンブルグ協奏曲がぜんぶ入ってるやつ。


学生時代にわたしが楽器を少し教わった先生もたしか一枚噛んでたような気がするなあ、とCDの中に入っている説明を見ると、うわー先生おるわ。


そんなわけで最近は通勤のとき車のなかで鳴らしているCDは作曲家を固定していて、朝はショスタコーヴィチの何番でもいいので絨毯爆撃しながらさっそうと出勤して、帰るときは、先生が低音を弾いている究極のバッハで解毒する。そんで酒のんでねる。



ところで、そのバッハCDが手に入ったのとほぼ同時期に、正にほんとに天啓みたいな感じで、かつての先生からけっこう久しぶりにメールが来た。


大昔に教わっていた縁で、先生は何やら聴かせたいコンサートがあるときには、連絡がとれる楽器関係者たちにメールでお誘いを下さることがある。


今回もそれかと思っていたら違っていて、「○○高校のエキストラに行きませんか」という依頼だった。おいおい、、、


ここで言う「エキストラ」というのは、芝居の通行人の役のことではなくて、「自分が所属していない楽団に助っ人として演奏に行くアルバイト」のことを言います。安くて3千円高くて1万円、オーケストラの業界では「エキストラ」「トラ」「虎」などと言っています。


先生のメールは私だけに来てたわけじゃなくて、今も楽器が弾けそうな人を中心に何人かに打診されていたんだけれども、


しかしおれに聞くかねふつう。大学生に行かせてくださいよ。いや、先生はおれが韓国にいることは知らないんだけども(つきあいが薄くて言ってない)。調べてみたら偏差値75の東京の私立高校のオーケストラにだな、このおれが混ざれるわけなかろうがな。丁重に断った。



ところで「かくかくしかじか」というマンガをご存知ですか。


作者自身の半生と、作者が通った絵画教室の先生との思い出を紹介する自伝作品で、作中では、先生に対する感謝と懺悔の念がこれでもかと書きなぐられていて、琴線に触れてきます。わたしも日本を代表するような先生の教えをムダ遣いして生きているので、少し近しいもの感じます。


東村アキコという、ふつうはコメディ書いてる人が作者で、マンガ大賞を受賞したメジャーな作品なので、比較的簡単に手に入ると思います。ダメ人間であればあるほど心に響きますので、身に覚えのある人は買って読んでみてはいかがでしょうか。



わたしの先生については、聞くところによると定年が近くて、所属楽団を辞めるのが近づいているらしい。しかしプロオーケストラにも定年があるもんなんかいな。


まあ、そんなお歳だよなあ、、と思い出してみる。わたしとわたしの先生は「かくかくしかじか」に出てくるような濃い師弟関係では全っ然なかったけれども、まったく誉めてもらえなかったという点ではだいたい似ている。


あるとき、パート練習で先生言ってることが前回の練習と真逆のことになってて、さすがに腹立って「前回のレッスンとちがいますが、、、」とおずおず言ったら、「先生がいい加減なほうが生徒が考えるからいいんだよ」で一蹴された。なんだそれ


生粋の芸術家とは、美術だろうが音楽だろうが関係なく、そういうものなのでしょう。サッカーのフォワードは点取ってくるだけ、みたいな。


そんなこんなで昔なつかしくなった。韓国もマーズがうっとしすぎる。


エキストラお断りのメールとともに、S席買って先生所属のオケを聴きに行くと約束してしまったので、そのうちそうすることにする。マーズがじゃまをするのでかなり先にはなりそうだ