ウォン高の中で韓国経済を思うの巻 | 寂しげサラリーマン、時々超高圧ベーシスト in Pyeongtaek

寂しげサラリーマン、時々超高圧ベーシスト in Pyeongtaek

日々の反省と感傷日記。いまは韓国駐在日記をつづっています

悪い目で見ようと思えば、いかなるものでも悪く見えるというものではありますが。


韓国企業・韓国経済のおおまかな特徴↓



①実質的な企業数が少ない


 人口が比較的多くないのだから数も少なくて当然なんだが、要は、でかい企業グループがいくつかあって、そこに富が集中しすぎている。

 たとえば日本最強企業であるところのトヨタが担う日本経済なんて、たぶん全体の1%いくかどうかでしょう。売上高、GDP、法人税支払額、いろんな切り口があるでしょうが、ふつうの先進国では、特定の企業に偏って成り立っていることはまずない。


 しかし韓国は、上から10グループでほとんど国を席巻していて、ユニークな中小企業や挑戦的なベンチャー企業はあって無きがごとし。

 

 得意分野ごとでハマりさえすれば、世界最強の企業グループ群にもなりえる。しかし逆にそのグループがちょっと不景気になると、たちどころに国そのものが決定的なダメージを受けてしまう。 



②輸出が旺盛


 あんまり自国内にでかい市場がないので、加工貿易の構えで、特に中付加価値品を中国にばかすか売りさばいている。日本をはじめ先進国からキー部品を調達し、「ちょうどいいレベル」に品質を整えて、「そこそこの金額」で売る。

 素材から生み出す自信がまだないのか、いまのところは低付加価値でもなく高付加価値でもなく、ちょうどいい価値のものを世界中に売りまくっている。韓国の輸出は、技術はそりゃああるけれども、どちらかというと販売力に支えられる部分もあろう。さいきんは、多少は素材産業も育ちつつあるが、世界一の品質を作り続けるのは難しいようだ。



③法人税率が低く、外国人株主比率が高く、配当性向が低い


 法人税率低いねえー。20%ちょっと。日本が高いのかもしれんけど。したがって、企業が稼げばほとんどその企業の体力としてたまっていって、国にはそれほどは還元されない。

 韓国の優良企業では、驚くべきことに外国人株主が過半数を超えている。ひどいとこは金融機関のくせに実質的には外国人のものだったりする。IMF管理下に置かれた時の悲しい遺産であろうか。

 したがって、配当なんかしようもんなら、輸出でせっかく稼いだ外貨の半分以上が、そのまま海外の手に戻ることになる。鵜飼の鵜。現代の植民地。かわいそうな言われようだ。


 したがって、社員の給料を上げるか、国内でなにか投資するとか、無理やり国内に養分を固定しないといかんのだが、特定企業にばっかり利益が偏っているので、マクロな視点では給料なんか上げようもないし、投資をやろうにもムダ金ばらまいてもしょうがないから限度がある。


 そんなわけで、まずは外国人の手から株を取り戻して、次は法人税率を上げればいいバランスになってきそうだが、自己株式の買い付けをやろうとする企業はあまり聞かない。


 ものすごい勢いで主要グループの現金保有残高が増えてるらしいので、私としては自己株式の冗談みたいなレベルでの買い付けをやったらいいのにと思う。

 けど、そもそもの配当性向が低いから、近視眼的にはメリットを感じにくいのかもしれない。


 または、さらなる後進国に現地法人をやまほど作ったり、現地企業に出資したりして、自分たちがやられていることをどこかでやり直せばいいのだが、すでに先進諸国が進出しまくっていて、争いはし烈なようである。



④外食しようとすると韓国料理屋ばっかり


 いきなり毛色が違うテーマだが、ここには韓国経済の恐ろしい一面がよく表れている。

 韓国で食事をしようと街へ出ても、バリエーションのないことに驚く。そして、味がどこでも同じなことに驚く。味の好みの保守性に代表されるように、他国と比べて嗜好の違いはもちろんあるが、たとえば韓国の田舎で洋食を探すのは至難のわざである。


 要は、どこかで修業した料理人が腕をふるおうとして店を開いている、というのだけが外食産業ではなくて、素人に毛が生えた程度のおやじおばはんもたくさん店を出しているのだ。


 そんなんだったら当然、自分が育った地方の料理を出すので限界、というわけで、似たような店が雨後のたけのこのごとくニョキニョキと立っている。田舎はことさらこの傾向が強い。

 駅前を200メートルあるけば、同じ傾向の店が10個や20個すぐ見つかる。もちろんミクロなレベルで差異はあるが、そんなもん自分ちの母親と友達のうちの母親の料理に差があるのと同じことだ。

 したがって、味そのもので差異がないうえに過当競争をするから、当然店はぼこぼこ潰れる。笑っちゃうぐらいぐらいのペースで。半年もたたないうちに、200メートルの両サイドのどこかで何かの店が必ず潰れていて、代わりに新しい店が開店している。ほんとに。いつも道を通るたびに「あれーー変わってる」と言っている気がするのは私だけではないはずだ。


 いったいなんでこんな珍妙な外食産業の形態になっているのか。

 なんでまた素人が好きこのんで飲食店を経営しなければならないか。


 それは、仕事がないからだ。韓国人経営陣が悲しそうに言うのは、韓国にも60歳近辺での定年制がなくはないものの、そんなもん有名無実で、よほど偉くなるのでないかぎり、40歳やせいぜい50歳で仕事(ポスト)がなくなってしまうのだと。まことに厳しい Up or Out。ウソかホントかしらんが、あながち嘘ではないようだ。


 その年である程度の金を持たされて放り出されて、いったい何をするか。

 レベルを下げてどこかに転職するか、さもなくば飯屋か農業をするしかない。

 隠居はまずできない。福祉制度がぜい弱で、年金が月4万円あるかどうか。日本と物価が同じぐらいなので、それは無理です。


 韓国には政府・行政の仕事がたいへん多いようだ。有能な人材が治めることを願ってやまない。



⑤労働市場の流動性の異様な高さ


 早い話が、若いやつらがすぐ辞めて行って、代わりの若いやつもすぐ採れるということ。日本人駐在員はまず必ず驚く。半端じゃないよ。これがワールドスタンダードなのかと。


 ほかに特徴的なこととして「退職金の途中清算制度」というのがあって、ずーっと退職金を企業に溜めさせるだけでなくて、適当に貯まった時点で引き出しすることもできる。経理上・税務上はひどく面倒な制度だ。


 説明は割愛するが、退職金を途中で引き出すと、結局は損だ。小口で何年か毎に出すよりは、30年積み立て続ける方が実額としては多くもらえる。


 こんな制度必要なのかと疑問にも思うが、利用希望者は必ず居る。いったい何に使うのかしらんけど。家とか買うの?


 うがった見方をすれば、韓国の若者はキャッシュが好きで、貯蓄をほとんどしていないかもしれないね。でも退職後どうすんのか心配ないの?たいして手に職ももたずに。

 しかしそんなこと決まっている。豚の焼肉屋か、おしゃれなカフェを開くのだ。味はほかと同じだけど。




とまあ、悪意だけをもって書き連ねるとこうなる。

いつか善意でも書いてみたいものです。まだあと2年か3年は居るつもりなので、いつか別の面が見えてくる機会もあるでしょうて