『色』を意思疎通できていますか?
こんにちは!
印刷営業歴23年、取り扱った印刷物10,000点以上の
福富康一(福ちゃん)です。
オリジナルで紙箱を作ったんだけど、
・色が思ってたのとちがう
・ここの色はパソコンの画面で見ていたときはもっと鮮やかだったのに
・全体的に濃い感じがする
・なんとなく思っていたのとちがう
そんふうにがっかりした経験はありませんか?
パッケージ印刷にはトラブルがつきものですが、
中でも一番多いトラブルは「色が思っていた仕上がりと違う」というもの。
その原因は、お客様と印刷会社の事前の意思疎通がうまくいっていなくて生じることが多いです。
一生懸命作ったパッケージがそんな悲しい結果にならないように、
今回は失敗しない紙箱を作るために必ず知っておいた方がいい『色の意思疎通のポイント』をお話しします。
福富が今まで重ねてきた数多くの失敗談(涙)が、これからあなたが作るパッケージの失敗を防ぐ気づきになれば嬉しいです。
POINT.1『色』が思ってたんと違う!が起こる原因
こんな色に仕上がると思ってなかった。
パッケージ印刷に限らず、印刷物全体に言えることですが、
ここの色はもっと鮮やかになるんだと思っていたとか、
事前にプリントアウトで確認したときよりくすんだ色に見えるとか、
色に関する印刷トラブルは、印刷物が抱える問題点のひとつです。
思ってたんと違う色に仕上がった原因。
それは、
出来上がりの色味を事前に共有できていなかったことが多いです。
言い換えれば、
実際にはそうならない色を出来上がりの色と錯覚してしまった。
だから、思ってたんと違う色になったと思ってしまうんですね。
例えば、印刷会社の営業マンのAさんと、
食品メーカーの企画担当のBさんのやり取りを考えてみましょう。
↓↓↓
Aさんは印刷会社でデータを作って、Bさんにメールで【校正】を送りました。
Bさんは事務所にある自分のパソコンで確認して、
事務所のカラーレーザープリンタ(複合機)でコピー用紙にプリントアウトをしました。
そのプリントアウトを企画会議で提出して、
企画部長のCさんと一緒に見て、これでいいね。となりました。
BさんはAさんに校了の連絡をメールでして、
そのメールを受け取ったAさんは印刷を開始しました。
さて、
この意思疎通の流れの中で、『思ってた色と違う』につながるポイントが2つあります。
わかりますか?
それは、次の2つです。
【1】お互いが見ている『色が違う』ことを、お互いに認識しているかどうか
【2】実際の印刷あがりと違う色でお互い確認していることを認識しているかどうか
【1】お互いが見ている色が違う!
実はAさんと、Bさん、そしてBさんの上司のCさん。
全員見ている色が違うんです。
登場人物たちが見ている色は次のようになります。
・Aさんが見ている色は、Aさんのパソコンの画面。
・Bさんが見ている色は、Bさんのパソコンの画面。
・Cさんが見ている色は、Bさんの事務所でプリントアウトしたもの。
この3つは、それぞれ色が異なります。
パソコンのモニター画面はメーカーによって色味が違います。
だからAさんが見ている画面の色とBさんが見ている画面の色は違って見えます。
さらに、プリンター複合機は機械によって色が違います。しかも、温度や湿度によって、日によっても色が違って見えます。
当然パソコンのモニターで見ている色とプリントアウトで見ている色とでは色味が違っています。
だから、同じ色で見ていないということが全員がわかっているかが重要なポイントになります。
【2】今見ている色と、実際の印刷あがりの色は違う!
3名の人が見ている色は、実際に印刷した結果の色と違います。
なぜなら、紙箱の色を決める要素は次の4つだからです。
1.用紙 (紙が違えば色が変わります)
2.印刷機 (印刷機が違えば色が変わります)
3.印刷インキ (インキが違えば色が変わります)
4.表面加工 (表面加工が違えば色が変わります)
つまり、本番の印刷物と同じ紙で、同じオフセット印刷機で、同じインクで、同じ表面加工で印刷したものでないと、
色が変わってしまうということ。
だから、モニター画面で見ている色や、事務所のプリンターで印刷した色と、本番の印刷物の色は異なっている
ということになります。
つまり、この例の登場人物は、
誰も実際に印刷した結果の色を見ていない。
しかも、AさんとBさんCさんが同じ色すら見ていないという状態なんですね。
このように、
思っていた色と違う印刷物が出来てしまう原因は、
事前確認の仕方にあるといえます。
POINT.2『色』が思ってたんと違うを防ぐ方法=本機校正
紙箱の色を決める要素は次の4つでした。
1.用紙
2.印刷機
3.印刷インキ
4.表面加工
なので、校正の段階で、この4つを揃えて印刷したもので確認しないと、
本番の色味を確認することはできません。
だから、もしもシビアに色味を事前に確認したい場合は、
この4つを揃えた校正を印刷会社に依頼しましょう。
その校正を『本機校正(ほんきこうせい)』と言います。
本機校正とは、本番と同じ印刷機で刷る校正方法のこと。
用紙やインキなども同じですし、表面加工も本番と同じものをかけることができるため、
完成品に最も近い色味で事前に確認出来る校正方法です。
シビアに確認したいときには本機校正と覚えておきましょう。
しかし!
良いことばかりではありません。
本機校正の最大のデメリットはコストと納期です。
本機校正は、本番と全く同じ印刷方法で刷るため、
費用がずいぶんかかります。
また、本番印刷と同じ印刷手順を踏みますので、
本機校正の提出にも、本番印刷と同じだけの納期がかかります。
例えばパッケージ印刷の場合は、紙箱の一般的な本機校正だと、最低でも1回につき40,000円以上?くらいはかかるイメージです。
これを2回も3回もやっているとコストがどんどん増えていきますし、校正期間も長くかかります。
そもそも完成品の価格が10万〜20万円くらいの紙箱でしたら、色確認に4万円もかけてしまうのはもったいないと感じることも多いでしょう。
POINT.3コスパよく色校正をする方法とは
簡易的な校正方法はありますか?
と、よく聞かれます。
私が印刷業界に入った20年前だったら、
・平台校正
・デジコン
・プルーフ
などなど、様々な校正方法がありましたが、
どれも一長一短でした。
しかも最近の印刷不況の影響で、色校正にかけられるコストが削減され、
新商品開発期間が短くなったことで、納期はどんどん短縮傾向にあります。
ゆっくり色校正をしている時間が無くなってきています。
その結果、色校正を行っている業者さんも次々と減ってきました。
そこで近年メインどころになってきているのが、
カラー印刷の箱だと、オンデマンド印刷機でプリントアウトを出して確認するという方法が挙げられます。
オンデマンド印刷機はオフセット印刷機同様、網点で色を再現するため、
インクジェット印刷機に比べるとオフセット印刷機に近い風合いで再現できていると感じます。
もちろん、色の見え方には個人差もありますから、あくまでも簡易的な校正だとお互いが認識していることが前提です。
オンデマンド印刷機は、通せる紙にも制限があるし、印刷方法も本番と違うし、表面加工も本番と同じものはかけられないので、やっぱり本番とは色味は違います。
でも、全体的な雰囲気が大きく離れにくいので、業務用のプリンターなどで確認するよりは、グッとトラブルは防げるのではないかと期待しています。
POINT.4色は変わる と認識することが何より大切
色は変わる。
なぜなら、紙がちがうんだから。印刷方法がちがうんだから。
そのように、
自分が今見ている色が本番の色味とは異なる可能性があるんだということを事前に理解しておくことがとても大切です。
色を正しく認識することが、色を確認する第一歩。
ここの色味は成り行きでいいんだけど、
どうしてもここの色が気になるから、こんな色に仕上げて欲しい。
そういった具体的な会話が始まると、トラブルが大きく減っていきます。
ぜひ、今みている色と、実際の印刷上がりが異なる理由を理解して、
事前に気になるところをじっくりと話し合ってみてくださいね。
あとがき
紙箱にはあなたの商品の魅力をお客様へ伝える大切な役割があります。
『色』はあなたのブランドイメージを表現する重要な要素。
思った通りの色で仕上がるように、校正方法は適切かどうか、
気になることは無いかどうか、お話してみてくださいね。
大洋印刷(東広島市)は60年以上のオリジナル紙箱印刷の実績があるパッケージ印刷会社です。
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