20年前に書いたもの。私も若かった(笑)
DATE: 05/22/2005 16:38:45
映画が終わるとまた始めから見たくなる。いつまでもそこに座って夢の世界を漂っていたくなる。シャンデリアが姿を現して、時代が過去へと遡る。それと同時に私も現実を離れて一気にスクリーンの世界へと入っていく。映画「オペラ座の怪人」は本当に久しぶりに映画の醍醐味を私に体感させてくれた。オペラ座という魅惑的な空間で繰り広げられる哀しく切ない恋愛劇。豪華絢爛な美術と衣装。加えてメロディアスな美しい曲の数々・・・。しかし、私がこれほどまでにこの映画に夢中になった原因は、ジェラルド・バトラーが演じたファントム、その人である。
まず、あの声にノックアウトされた。姉は「天井から聞こえてくる 'Insolent boy!' できゃ~となった」と後に告白してくれたが、私は違う。”Music of the night”の出だしの’Night-time sharpens’・・・・・それを聞いた瞬間電流が体中を駆けめぐった。いやおおげさでもなんでもなくほんとのことです。もともと私は男性の低い声にとても弱いのです。特に歌声。この場合上手い歌である必要はありません。むしろそんなに上手くない方がいいんです。けれど説得力があることと、悲しみを秘めていることは重要です。深い孤独を感じさせる声に弱いのです。それに加えてGBの歌は、テンポが2分の1秒くらい遅れるのです。ほんの、ほんの少しずれて入ってくるその声にヘロヘロになりました。その声の正体はあの方ですよ。多くの人に指摘されているとおり、たとえ仮面をかぶっていても十分すぎるほど美しくもりりしいあのお顔ですよ!これが深みに落ちないでいられましょうか?
これも大変めずらしいことですが、かなりの映画通が揃っている私の周りの婦女子全員がこのファントムにはやられました。皆少しづつ”落ちどころ”は違ってもGB=ファントムにクラクラになり映画館通いを余儀なくされたことに間違いありません。
この映画の凄さは、パーフェクトに夢の世界だというところです。私は数年前にブロードウェイの「オペラ座の怪人」を見ているのですが、その時にはすんなりとこの世界に入っていくことができませんでした。時差ぼけがひどくうつらうつらしながら見ていたので偉そうなことは言えませんが、ミュージカルの楽しみでもある生歌・生演奏をまず楽しむことができなかったのです。オペラもどきの歌がなんとなく中途半端な印象でついていけなかったのです。今思えばなんともったいないことを!と思います。ですから映画版もそれほど期待していたわけではない。ところが開けてびっくり玉手箱とはまさにこのこと。シャンデリア演出も見事なら、鏡の中に姿を現したファントムが黒革の手袋に包まれたむっちりとした手をクリスティーナに差し出し、地下深い自分の住処に導いていく過程で何の違和感もなく異次元の世界に入っていけたのです。それは「一体こんなファントムをどこから連れてきたんだい?」という、GB=ファントムへの新鮮な驚きがあったからこそなのです。キャスティング候補にあがっていたバンデラスやトラボルタではこうはいかなかったと思うのです。うっとりと気持ちよく夢の世界に導かれ、そしてあの声で♪Softly Deftly と耳元に囁かれ、気がつくと夢見心地で♪Floating Falling している自分がいました。その後は怒濤のごとき流れに身を任せファントムと一心同体となり、例え人を殺そうが、多少わがままであろうが、仮面をはごうが何しようが全ては許容範囲内・・さらに♪The point of no return♪で最後のとどめをさされ、嬉しくて哀しくて切なくて、”クリスティーヌがダメなら、わ、わ、わたしがいる!わたしならラウルなんて決して撰ばないわ!どこまでもあなたについていきます!!!!」更なる心の叫びが誰もいなくなった洞窟に響き渡っておりました・・・・・。あ~疲れた(笑)
さて、タイトルの「不思議」についてです。
見事に監督の狙い通り、その掌中にハマった私ではありますが、どうしても分からないことがひとつだけあります。それはあの指輪です。仮面舞踏会でクリスティーヌの胸に揺れていた指輪。あれは婚約指輪としてラウルからクリスティーヌに贈られたものですよね?それを見て怒ったファントムは「The chains are still mine」と云って鎖ごと奪い取ります。この場合のchainsは「絆」を表しているので、「お前はまだオレのものだ!」てなところでしょうか。それは解るんです。で持って行っちゃうのも解るんです。でも問題はその後。♪The point of no return♪のあと洞窟でクリステーヌに渡す指輪ですが、あれは同じものですか?ラウルの婚約指輪をクリステーヌに渡して「オレと一緒になってくれ」と云うんですか?ファントムが新たに用意した指輪なら解るんです。でも他人(しかもにっくき恋敵)のものをこんなに大切なときに使ったりするでしょうか?それが気になって気になって、自分なりに「いやあれはファントムが自分で用意したものだ」と思いこむことにしました。それならクリスティーヌがこれは受け取れませんと返しにくるのも解るし、ラストシーンのバラにその指輪がついているのも解るんです。
こんなことをいつまでもグチグチと思いめぐらしている私が「この映画は完璧な夢の世界」な~んて云ってるのもおかしな話ですかね(笑)