キングダム・オブ・ヘブン
キングダム・オブ・ヘブン05/27/2005"リドリー・スコット"&"歴史スペクタクル"これが見ないでいられようか!「グラディエイター」以来、このての映画はできる限り劇場で見ることにしている。「トロイ」も「アレキサンダー」も劇場で見た。「お母さんは鎧をつけている男の人に弱いね」と娘にからかわれても「おっしゃるとおり」とうなづくしかない。でもね、それだけがお目当てというわけではない。要はドラマ。そこにどんなドラマが描かれているか、それが一番の楽しみなんです、いやほんと。「グラディエイター」の面白さは、マキシマス(R・クロウ)とコモデウス(H・フェニックス)の対立と葛藤にあったし、「トロイ」では、陽と陰のヒーロー、ヘクトル(E・バナ)とアキレス(B・ピット)の対比。人間の愛憎と葛藤から生まれるドラマこそが私にはスリリング。もちろん、スペクタクルな戦闘シーンにも魅せられます。「グラディエイター」の冒頭の戦闘シーンでは、隣で観ていた娘に危ぶまれるほど号泣してしまったし・・・。そうそう、あの雪。殺戮の大地に粉雪がハラハラと舞うんです。スコット監督は雪がすきですね。「キングダム・オブ・ヘブン」でもやはり雪が舞っていました。”戦いの後に雪が舞う”です。さて「キングダム・オブ・ヘブン」ですが、特に印象に残ったのは、エルサレムの王とイスラムの指導者サラディン。1100年代のこの地域(聖地、現代のイスラエル)の歴史については全く知識が無く、キリスト教徒とイスラム教徒が共存しようとした時代があったことにまず驚いた。エルサレムの王にエドワード・ノートン。ライ病のため仮面をかぶったままなので予備知識がなければ彼だとはわからなかっただろう。表情をまったく見せずに、その立ち居振る舞いと台詞だけでこの悲劇の王に魂を吹き込んだノートンはさすがだ。騎士バリアン(オーランド・ブルーム)の表情の乏しさが前半気になっていた私には、仮面をかぶっているはずのノートンの方がよほど表情豊かに見えた。この王の静謐さと気高さ。死に逝く日々のなかで真に民のことを想い、無駄な争いを回避しようと努力する姿には心打たれた。どこかの国の大統領に爪のあかでも煎じて飲ませてやりたい。一方のイスラムの指導者サラディン。シリアの映画スターであるハッサン・マスートという役者さんが演じているのだが、そのカリスマ性たるやかっこいいなんてもんじゃない。こんな指導者のもとでなら、たとえ戦いで命を落としても本望ではないかと危険なことを云いたくなる。この二人に共通しているのは「指導者」であって、「権力者」ではないということ。権力の美酒に酔うことなく毅然として信念を貫く。ただ、映画前半のバリアン紹介と歴史背景描写が、おおまかなあらすじだけを追っているようで、物足りなかった。鍛冶屋だったバリアンが十字軍に参加し騎士へと成長していく様をもう少し丁寧に描いてくれるとありがたかった。オーランド・ブルームといえば、私には「トロイ」の世界一情けない王子パリスの印象が濃く(あれはあれである意味凄いのかもと思いつつも)どうも役者としての小粒感がぬぐえなかったのも一因か?しかし後半、この主人公が輝き出す。無表情が寡黙さと一途さを感じさせるようになってくる。彼の選択には異論もあるが、それでも彼なりの信念に基づき知恵を振り絞って戦いにのぞんでいく姿には心打たれるものがあった。エバ・グリーンという女優さんはほんとうに美しい目で魅力的ですが、何故二人が惹かれ合うのかがよく分からず、いくらお約束といってもこれは要らなかったかな?と思いました。こういう映画に女性が絡んでくるのはほんとうに難しいです。