「スポーツ吹矢と出会い」

 

大阪あべの支部 志水博明

 

「センスあるね。」

銀座教室で初めてスポーツ吹矢を体験した時の、公認指導員から掛けていただいた言葉は今も頭から離れない。本当に素質があっておっしゃっていただいたのか、それとも単なるお世辞だったのかは分からない。だが、その言葉が私をここまでスポーツ吹矢にのめりこませた、その原点となったことは間違いない。

 

 社会人として目の前の仕事に追われるように毎日を過ごしていた当時の私には、特に生きていく中で目標を持つこともなく、また、新しい出来事に出会う経験も年々少なくなっていた。そんな中、たまたま見ていたテレビの一コマでスポーツ吹矢が映し出された。「スポーツに疎い私にもこれならできそうだ。」私はビビビッと感じ、銀座教室に足を向けたところ、冒頭の言葉をいただいたのである。

 

吹くと矢が的に刺さる。単純な動作だが、自分の吹いた矢が初めて的に刺さった時のこの感覚は快感とも言えるもので、気が付けば休むことなくひたすらに的に向かって吹き続けていた。当初はなかなかうまくいかなかったが、真ん中に当たった時はどこか誇らしげでもあり、こうして私はスポーツ吹矢との出会いにのめりこんでいった。

 

 銀座教室では会員、指導員を問わず皆様にかわいがっていただき、これまでの生活で経験できない出会いを多く経験できた。だが一方で年齢層の違い等もあり、わざわざ銀座教室まで練習に行くことが億劫になった時期も生まれた。教室に行けば楽しい時間を過ごせると頭では分かっていたが、一方で筒をわざわざ持って電車で銀座まで行くことを考えると周りの目も気になりなかなか足が向かない、そんな葛藤する時期もあった。

 

 練習を重ねるうちに、昇級・昇段試験の合格の度に認定証をいただくこともスポーツ吹矢に対するモチベーションの1つとなっていた。五段に合格した頃から、新たな目標として、大会に挑戦するようにした。スポーツ吹矢の面白さは他の誰かに勝つことではなく、己に勝つことである。現在は、目の前の11つの大会に全力で向き合うことを目標に置いている。大会ではたくさんの失敗を重ねるとともに、他の出場者の所作を見て、話して、交友を深めて学んできた。少しずつではあるが自身の技術も向上してきたと信じたい。特に六段合格以降は多くの方からお声掛けいただけるようになり感謝の念でいっぱいだ。注目されるぶん、基本動作をはじめ手本となるような振る舞いを心掛けている。地域を超えて、世代間を超えて幅広い仲間ができたことはスポーツ吹矢がもたらしてくれたご縁である。

 

スポーツ吹矢と出会い、良き仲間に出会い、

スポーツ吹矢と出会い、人生の目標を持つことができた。

スポーツ吹矢との出会いに感謝し、今後もスポーツ吹矢を愛し続けます。