スーパームーンが私の前にいる。
紅いワインがゆらゆら揺れる
もしも願いを叶えてくれるなら
あの日に返してくれませんか?

私は箪笥の上に敷かれた
母の縫った布団の上で
君と一緒に月を見ていた
いつまでも
いつまでも
追いかけてくる月に
驚いてた
目を丸くして

あの日。

私たちは何を失ったのか
気がついていなかった
何かが欠けていくことを
それから訪れていく
私たちの行く末も
なにも見てなかった

ただ
月がそこにあることが
不思議で仕方なかった。
私たちのことを追いかけてくる月を
無邪気に笑っていた

あなたに与えられていたもの
私は気付かないまま
ただただ粗末に時を過ごしていた
浅はかに
憤り、怒り、
君を罵倒した。

本当は君に
憧れていたのかも知れない
思いのままを表現し続ける君に
嫉妬していたのかも

みんな君を愛していた
どんなに私が頑張っても
君の笑顔や言動に
届くことはなかった

そうだよね。

世の中でいちばん美しいこと
それは
自然であること
無理しないこと
そうして微笑む君の姿に
私がかなうはずなかった

そうして君は天使になって。

私は永遠に追いつけない。
ただただ蒼空に浮かぶ月を
追いつけない月に
完敗する。

どうしたら君と
もう一度言葉を交わせるのだろう
君を愛していると
言えるのだろう

私はばかだ。
いつも、おそすぎる。