雨音がする
とつとつと降り続けている
君とみていた月はずっと濡れたまま

現実を受け入れることができず
赤い液体を流し込む
すべてを飲み込めるように
食道へと放り込む

再び手をつなぐための
ちょっとした準備だったはずなのに
乗り越えられないまま
永遠に逢えない世界へと
飛び込んでしまった君へ

僕は過信していた
こんな日は絶対に訪れるはずがないと
そういう意味では運の良い僕に
最も厳しい審判が下されるとは
思いも寄らなかった

君のことが許せないという人もいる
不思議と僕は腹は立っていない
なんとなく
先を越された気さえ、してしまう。

あのさ
多くの大人は寂しく
どんな状況でも飢えや渇きに似た孤独を抱えて生きてる
恋や愛がその何かをいくらか癒してくれたりもする
それでも、
そこから恐ろしいほどの奈落へ落とされることもある
誰かを完ぺきに幸せにできるなんて多くは錯覚でしかない
でも、それでもいいんだよ
絵に描いたような楽園なんて
探したってどこにもない

君はその現実に絶望したの?

大概の人は
だから
今いる場所を楽園だと思い込もうとする
良いところを拾って
自分の人生は素敵だと
自ら言い含める

そうじゃなかったら
新しい何かをずっと求めて生き続ける
ここじゃないどこかを
できるだけ具体的に描けるように
先へ進むための努力を良しとして
日々を生きる

月を二人で眺めていた頃のような
無限に広がる夢の世界を味わい尽くすには
確かに二人とも年を取りすぎてしまった

でもさ

限界があると思うことさえ
錯覚なのかもしれないんだよ

本当のことなんて
何もない
誰も君の人生を知らない

だから
求めること。

求め続けること。
生きて生きて生きて
ただ求め続けること。

君に伝えたかったこと

いつも一歩遅い
悪い癖だね


もう遅いんだ
濡れた月。
私だけに見える蒼い月
あの日からずっと
胸の奥深くに抱えてる


もう二度と逢うことの許されない君へ



Sanremo 2012 FINALE -21/33- SuperOspiti I CRANBERRIS in Zombie - 18022012