続きです
河津桜を見た後、河津駅から、各駅停車の電車に乗り、終点「熱海」駅を目指した。
行きと違い、この電車はJR伊東線に直通で、乗り換えなしで「熱海」まで行けた
電車の中に貼ってある「JR伊東線」と「伊豆急行」の停車駅の表を見た。
JR伊東線は「熱海」〜「伊東」
伊豆急行は「伊東」〜「伊豆急下田」(河津駅は、伊豆急行線内)
ひと駅ひと駅の、駅名をじっくり見ていくと、やはりJR伊東線の中の、とある駅名に目が釘付けになる。
実は、JR伊東線の中に、私が生まれた時に住んでいた町があるのだ
親戚がいるわけではない。
父の転勤でたまたま住んでいた場所。
私は結婚してすぐに一度だけ行った事がある。
自分のルーツ巡りをしたかったというか、生まれた時の場所に行ってみたかったのだ。
夫に付き合ってもらい、母からもらった手書きの地図を頼りに、行ってみた。
しかし3歳までしかおらず、その後は東京に引っ越してしまったので、何もこの町の事を覚えていない。そして引っ越し後は、一度も行った事がなかった。
物心つく前で、記憶がない場所へ、手書きの地図ではやはりわかりづらく、個人商店のお店の人に聞いたりしながら、道に迷いつつも、やっと辿り着いたのを覚えている。
この町で覚えている景色や家は、写真で見て覚えている景色のみ。
でも、到着したら、ああ、ここだ❗️とすぐに分かった。
懐かしかったけれど、人が住んでいるお宅なので、あまりジロジロ見ないようにして、少し周りをまわって見るのみにした事を覚えている。
電車の中で、その町に訪れた17年前の光景がハッキリと浮かんだ。
もう結婚して17年か…
車窓
電車から眺める海が美しくて、あっというまに1時間くらい経った。
電車で座って1時間も揺られていると、体が休まったのか、だいぶ腰が良くなってきた。
そうすると、このまま帰るのがやはりもったいなく感じた。時計を見ると、まだ11時ちょっと前。
じゃあ、降りちゃう、あの駅で
到着!えいっ!
↑私の生まれた時に住んでいた駅。
乗ってきた電車が、遠く小さくなるまで見送り(笑)
突然決めて、降りたものの、本当に私、昔住んでいた家に辿り着けるの大丈夫?
というツッコミを自分自身に入れてみた
なんの計画もなく、思いつきで行動するのって、以外と好きで嫌いじゃないけれど、
でも、まだギックリ腰から回復したばかりで、そんなに調子が良くないし、たくさん歩けるの?
迷ったら、時間オーバーで、アウトよ
自分の腰、体が心配と思ったら、心も少しだけ不安が横切った。
その時、先程から強かった風が、さらに強くなった。いわゆる突風のような風も吹いてきた。
コンタクトでなくて、メガネをかけてたから良かったけれど、メガネでも、目をつぶってしまうほどの風。
これって、この風って、もう春一番なの‼️
前が見えない
でも、降りたからには行くよ、私
↑駅前の大きな木
お天気は良くて、暖かくて最高なのだけど、風が強くて、強すぎて、楽しくは歩けない。
そしてちょうどお昼どきのせいか、誰も歩いていない。
道は覚えていないけれど、方角だけはわかる。
気分に任せて、思いつきでどんどん歩いてみた。
15分くらい歩くと、公園が現れた。
ああ、この公園知ってる
記憶にはないのだけど、あの遊具の山の、石の所に乗って遊んでいる写真を見た事がある。
(昔は白だったけど、今は緑に塗られてる!!)
やっぱり方向は合ってる!大丈夫!
けれど、この後20分経っても、家が見つからなかったのだ
戻って公園の付近を、こっちかな、あっちな、とぐるぐるまわってもなし。
仕方ないので、どんどん先の道を行く事にした。
けれど、どんどん行く時と、急に山から下ってくるような2車線ある大きな道に出てしまったので、これは絶対に違うと思い、引き返す事にした。
体が飛ばされそうになるくらいの、突風も吹き、時々車は通るけれど、人はいない。
けれど、人がいたとしても住所もわからないし、手書き地図もないから、聞く事も出来ないし…
既に駅から40分くらい歩いていて、そろそろ腰もまた痛くなりそうな感じ。痛くなる前に、駅に戻らなきゃ。
せっかく来たけど、残念。また今度来よう、諦めも肝心
けれど、その瞬間は突然来た。
戻っている道の途中、何気なく左側を見たら、あったのだ、その家が
え、え〜‼️ここ❓
ずっと進行方向の左側にあると思い込んでいた。
しかし実際は進行方向の右側にあったのだ。
(引き返してきたので、帰りは、左側にある事になる)
つまり、行きはその場所は、反対側ばかり見ていて、気付かずにスルーしてしまっていたのだ
(本当は、大通りの一本裏道の、左側にある家で、大通りから見た場合は、反対側から入る事になる。)
見つけられて、感動
都会ではもうあまり見ない、平屋の一軒家。
同じ作りの平屋一軒家が、7軒並んでいる。
6軒、人が住んでいるのに、私が住んでいた家だけ、もう誰も住んでいなかった。
最初は家の周りをまわって見ていたが、道には誰もいないので、家に近づいて、窓から、部屋を覗いてみた。カーテンはかかっておらず、雨戸も閉まっていなかったので、中が見えた。
畳の部屋。そして、奥の台所も少し見える。
もちろん、3歳までしかいなかった私は、間取りもはっきりとは覚えていないが、写真からの記憶を辿りに、住んでいた頃を思い浮かべてみた。
日差しが差し込んで、部屋の中は明るかった
もうすぐ49歳になる私。
生まれた時から3歳までの私に、想いを寄せてみた
そして49年前の私に、もし、想いが届くのならと思い(本当に届いたら、ファンタジーだが)、心の中で呼びかけてみた。
「大丈夫、何があっても大丈夫。あなたは生きてるよ、49年後も生きてるよ。
辛いこと、悲しいこと、耐えられそうにない事が今後起きたとしても、大丈夫。だから、心配しないで」
もっと余韻に浸っていたいのだが、風の強さと腰の痛みがきて、もう限界。
駅に戻ろう!また来るよ!
(いや、もしかしたらもうこれが最後かも。だって既に50年くらいは経っている家だもの。次来る時は、壊されてるかもしれない。あるいはリフォームされて前の面影がなくなってしまうかもしれない。あの当時のまま残っていた事の方が奇跡)
あなたがきっと今回呼んでくれたんだね。
ありがとう会えて嬉しかったよ、お家さん
しかし、帰る前に、この後呼ばれるように辿り着いた場所があるのです。
さあ、駅に戻るまで、残り約30分での出会いの場所とは❗️
こんなに長く書くつもりはなかったのですが、長くなるので、次へ。
〈続く〉